日経ビジネスONLINE Special 週刊日経ビジネスオンライン SPECIAL日経ビジネスオンライン

ソフトバンクの人材採用戦略

インターンなどの手法を使って事業にマッチした人材を採用

 ソフトバンクの採用規模は大きい。年間の採用人数は新卒が約400人、中途採用は約300人、直雇用の販売クルーは約600人だ。源田氏は「できるだけ当社のことをわかっている人に来てほしい。そのためには、当社がどのような仕事をしているのかをリアルに伝えることが大事です」と語る。大量の母集団を形成して選抜するマス向けのアプローチにかけるリソースを減らし、余ったリソースを攻めの採用活動にシフトしてきたという。

ソフトバンクの採用が目指す方向性

 中途採用では、社員紹介から採用に結びつけるリファーラル採用、採用イベントによるブランディングなど、主体的、能動的に実行する採用活動である「ダイレクトリクルーティング」が活用されている。これらの活動が功を奏し、エージェント(人材紹介会社)からの採用は50%を切った。

 「当社にはイメージがしづらいビジネスもあります。そこではダイレクトリクルーティングが有効です。SNSなどでパーソナリティーを確認した上で個別にアプローチしています。少人数で行う説明会などの採用イベントも実施しています」(源田氏)。

 新卒採用では、4年前から「ユニバーサル採用」を掲げて通年採用などに取り組んでいるのも大きな特徴だろう。入社時30歳未満であれば新卒だけでなく第二新卒も採用し、同時期から海外採用にも積極的に取り組んでいる。「通年採用を導入しているのは、あくまでも学生のため。学生が自分の意思でチャレンジできるようにすることが大事と考えたからです。優秀な人材には常に門戸を開いておけるのがユニバーサル採用の大きなメリットです」と源田氏は語る。

 同社は採用手法についてもユニークな取り組みを展開している。特定の分野でNo.1の人を採用する「No.1採用」、国内外を問わず優秀な人材との接点を構築する「グローバル採用」、ハッカソンで優秀な学生を発掘する「ハッカソン採用」などだ。「グローバル採用」はアジアでは主にエンジニアを採用し、2018年度は7カ国でリクルーティング活動を行った。また、「ハッカソン」は参加者15人が5チームに分かれて競い合うもので、技術力のレベルがはっきりするという。

 このようにユニークな採用手法の中で同社が最も重視しているのがインターン採用だ。「就活インターン」では、名刺やPCも用意し、2週間、または4週間、社員と同じように働いてもらう。「リアルな仕事を見せたい」という同社の採用活動を象徴するものだ。ほかにもソフトバンク色を出さずに地方創生とICTをテーマにインターン活動をする「地方創生インターン」も実施している。

 「2018年度は就活インターンに約400人を受け入れました。インターン参加者の本採用選考では、インターンとしての部門の評価ももとにしているので、仕事との相関関係が高く、マッチングが成立しています。離職率が低いだけでなく、実力を発揮するハイパフォーマーが生まれているのも大きな特徴です」(源田氏)。

AIやチャットボットで採用の運用系業務を効率化

 しかし、これらの攻めの採用活動は手間がかかる。採用担当者がやるべき業務がマス採用よりも飛躍的に増えるからだ。そこで同社は、運用系の業務をITに置き換えるというチャレンジも積極的に行っている。

 その一つが、2017年5月から始まった新卒採用選考におけるAI活用である。この新卒採用のエントリーシートの評価にAIであるIBM Watsonを活用している。

 「全てのエントリーシートをチェックするのにこれまで膨大な時間がかかっていましたが、それが75%削減されました。そこで生み出された時間を戦略的な採用活動にあてることができます」と源田氏は評価する。複数の担当者ではなく、IBM Watsonという統一された基準で判断するため、より公平な選考が可能になるというメリットもある。

採用業務の時間比較

 また、チャットボットによる問い合わせ窓口の自動化も業務の効率化につながっている。「新卒採用に関する問い合わせは年間約4000件あり、その対応に820時間かかっていました。それをチャットボットで対応することで80%削減することができたのです」と源田氏。こうしたテクノロジーを駆使した取り組みが、同社の攻めの採用を加速させている。

お問い合わせ