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自前主義/完璧主義を捨てたパナソニック

中竹竜二さんとビジネスの世界により適した今求められている新しいリーダー論を探る連載。パナソニック専務執行役員、CTO(最高技術責任者)であり、ビジネスイノベーション本部長を務める宮部義幸さんに話を伺います。

中竹竜二さん(以下、中竹):パナソニックは2017年に技術部門の組織を大きく変えました。その目玉として本社部門に「ビジネスイノベーション本部」を設立しました。この組織は「従来のパナソニックにはなかった試み」と聞いています。一体どんな組織なのでしょうか。まずは、その経緯と狙いについて教えてもらえないでしょうか?

宮部 義幸 氏

宮部義幸さん(以下、宮部):パナソニックは2018年に100周年を迎えます。創業者である松下幸之助が大阪の町工場で二股ソケットを作ったことから始まり、数々の製品を開発し、工場で生産し、販売店を通じて皆様に提供してきました。この仕組みは100年間でやり尽くし、ある意味「完成された成功パターン」と言っていいほどのものになりました。

しかし、これから次の100年はどうでしょう。この「成功パターン」が今後も続くかといえば正直厳しいと言わざるを得ないと思っています。

これからの100年も存続することができるのか?

中竹:どうしてですか。

宮部:ご承知の通り、エレクトロニクス産業では、韓国や中国メーカーが台頭し、数々の若いテックベンチャーが次々と登場しています。カギとなる要素技術も競争ルールもめまぐるしく変わっています。これまでの「成功パターン」だけでは対応できないことが増えていくでしょう。

弊社では10年ごとに技術トレンドを予想する「技術10年ビジョン」を策定しているんですが、この予測内容も変化しています。かつてはAIとか環境エネルギーなど要素技術にフォーカスしたものが多かったのですが、最近は「ビジネスモデル」そのものが重要な要素として取り上げられるようになってきました。いくら、技術的に先端を極めようが、優れたビジネスのモデルがなければ、お客様に届けることさえできないというわけです。

そこで、技術部門がビジネスモデルを変える役割を担うことを目指して、「ビジネスイノベーション本部」を設立しました。この組織がパナソニックの既存事業では納まりきらない新しい技術やサービスにチャレンジする舞台になります。