自動運転を支えるボッシュのセンサー技術

ADAS・自動運転を支えるボッシュのセンサー技術
自動車産業の中核的なプレーヤーであるボッシュは、自動運転の開発にも積極的に取り組んでいる。重要な要素技術の一つがセンサーだ。同社はカメラやレーダーなど様々なセンサー類を組み合わせて、常に変化する周辺環境を360度監視する技術を進化させている。さらには、クラウドを活用した次世代の自車位置推定技術の開発も進めている。

センサーの特性を生かしつつ
組み合わせて360度監視を実現

 自動車による交通事故の9割は人為的なミスに起因するといわれる。ボッシュは「事故死ゼロ」を目指して、自動車の様々な機能を進化させてきた。近年特に注力しているのが、ADAS(先進運転支援システム)と自動運転の開発である。

 「多くの国が高齢化社会を迎えつつある中、高齢者でも安心して移動できる手段が求められています。こうした点からも、自動運転の開発には大きな意味があります。ボッシュは2013年からドイツと米国で、2015年からは日本でも公道での自動運転による走行試験をスタートさせています」と語るのは、ボッシュの安部大輔氏である。

 自動運転の主要な要素技術としては、周辺環境や自車の状況を把握するための「sense」、状況判断や予測などの「think」、走る・曲がる・止まるという動きに関わる「act」がある。ボッシュは全てに取り組んでいるが、今回、安部氏がフォーカスするのはsenseである。

 自動運転車を取り巻く環境は多様だ。昼間と夜間の環境は大きく異なるし、大雨もあれば、何らかの障害物が行く手を遮ることもある。こうした周辺環境の検知、つまりsenseは、安全性を確保する上での前提となる。

 周囲を全方位で監視するために、ボッシュはカメラやレーダー、超音波センサーなどの技術を磨いてきた。

 「カメラは高度なセンシングが可能ですが、暗い環境が苦手。一方、レーダーは暗闇でも十分に機能し、カメラに比べて圧倒的に通信データのサイズを抑えることができるという利点があります」と安部氏は言う。ボッシュは様々なセンサーを組み合わせることで、360度センシングを実現しようとしている。また、センサー類は自車位置の推定にも用いられる。次世代の自車位置推定技術について、安部氏はこう説明する。

 「走行中のADAS車から大量のデータをクラウドにアップロードしてマップ化、その上で地図サービス事業者のダイナミックマップと統合して自動運転車に配信します。自動運転車はこの情報と自車のセンサー情報を基に位置を推定しながら走行する。こうした技術開発が進められています」

 長年にわたって培ったコンポーネントやシステムなどの技術を生かしつつ、次世代技術の開発を加速するボッシュ。同社の取り組みに様々な関係企業が注目している。