グラブのデジタルプラットフォーム

グラブのデジタルプラットフォーム〜東南アジアでどうイノベーションを起こすのか
2018年3月、米ウーバーテクノロジーズが東南アジアでのビジネスをグラブ(Grab)に売却した。これによりグラブはウーバーのドライバーや顧客のほか、フードデリバリーサービスのUber Eatsも引き継いだ。東南アジアのライドシェア市場の地位を揺るぎないものにしたグラブは、今後どのような展開を考えているのだろうか。

幅広い分野で事業を展開
次の一手は「ACES」

 グラブが設立されたのは、2012年。当初は深夜タクシーの安全を確保するために、透明性の高い配車サービスを提供することが目的だった。「東南アジアの交通環境は日本とは大きく異なります。公共交通は不十分で、道路は渋滞し到着時間は予測不可能、安全性も低い。こうした課題を一つひとつ解決していきたい」とドミニク・オング氏は話す。

 同社が掲げるミッションは3つ。決済も含めた安全な移動手段の提供、全ての人に行き渡るデジタルサービスの開発、そしてドライバーやエージェントなどパートナーの生活向上だ。現在、8カ国235都市で事業を展開中だが、2017年までは100都市だったことを考えると急速に成長していることが分かる。

 「交通手段の提供だけでなく、生活や金融のプラットフォーマーとして東南アジアでNo.1になることを目指しています。食品や小包の配達、マイクロファイナンスなどのサービスをアプリを通して提供していきます。現在のダウンロード数は1億2500万で、スマートフォン4台に1台の割合で利用されています。これまで25億回のライド(乗車)を提供し、2018年末には収益が10億ドルを超える予定です」(オング氏)

 同社のビジネスの特色は3つの柱から理解することができる。1つ目はモビリティー。地域の特性に配慮して自家用車やタクシー、二輪車、自転車などマルチモードに対応している。2つ目はデリバリー。食品や小包をオンデマンドで配達する。「日中に仕事が少ないドライバーの新たな収入源にもなります」(オング氏)。

 そして3つ目が金融サービスだ。オング氏は「東南アジアの6割の人たちが銀行口座やクレジットカードを持っていません。しかし、グラブのアプリを使えば金融サービスが受けられるようになります」と語る。今後はドライバー向けのクレジットカードやマイクロファイナンスも展開する予定だ。

 そんなグラブの次の一手は「ACESにある」(オング氏)という。Autonomous(自律)、Connected(つなぐ)、Electric(電動)、そしてShared(共用)である。2018年8月にはシンガポールでEV(電気自動車)向けの高速充電インフラを構築するために、現代自動車、SP Groupとの戦略的パートナーシップを締結するなど、ACESのそれぞれの分野でDrive.ai、トヨタ自動車といったリーディングカンパニーと幅広く提携を進めている。