世界自動車販売市場予測、成長戦略の光と影

[パネルディスカッション]世界の自動車販売市場予測と自動車市場、成長戦略の光と影
自動運転、電動化がモビリティーのキーワードとなり、モビリティーサービスの新規参入企業も増えている。だが、明るい話題ばかりではない。サービスが普及することで自動車販売台数が減少し、米国の環境規制緩和で電動化にブレーキがかかる恐れもある。今後、自動車市場はどうなっていくのか。自動車業界に精通したアナリスト2人が各々の視点から変化を予測した。

地域ごとに異なる販売予測と
懸念されるEV普及の課題

 世界経済の成長見通しは不透明な状況だ。「米中リスクが高まり、日本は低成長。全体としても今後大きく伸びるわけではありません」と川野氏は見通しを語る。新興市場も国ごとにバラツキがある。ただ、原油価格は低水準が続く見通しだ。

 こうした中、6トン未満のライトビークルは、新興市場の成長もあって中長期的に成長する。特に伸びが予測されるのがSUVだ。ただ、ブランド別には競争が激化する。「メーカーとしては選択と集中が必要になります」(川野氏)。

 2025年までのレンジで見ると、変化の推進力は地域ごとに異なる。まずリーマンショック以降、成長基調にあった中国の成長率は鈍化するとみられる。2016年に過去最高を記録した米国は車種別には差があるが全体としては横ばい傾向。インドは世界の4%と、シェアが小さいがプラスにはなる。

 懸念は欧州の先行きだ。ライトビークルの回復サイクルは頂点を過ぎた可能性があり、Brexitリスクが高まり排ガス関連の懸念が増大している。しかし、川野氏は「複数のシナリオが考えられるが悪い形にはなりそうもない状況とみています」と語る。

 杉本⽒は「電動⾞、特にEV(電気⾃動⾞)は⾼い将来性がある技術と考えます。しかし、過度な期待も禁物でしょう」と指摘。⽶国ではトランプ政権が⾃動⾞燃費の規制緩和を提案し、電動⾞の普及が⼤幅に遅れる⾒込みである。欧州では⾛⾏中のCO2排出量に対する規制がさらに強化されるため、EVが有望視されているが、その実現のためには遅れがちな充電インフラの整備が急務である。中国ではEV補助⾦が年々縮⼩されている。

 EVの本格普及のためには、航続距離の⼤幅な引き上げ、充電時間の短縮化、電池の⻑寿命化などによる中古EV価格の引き上げなどが不可⽋。また、「発電段階でのCO2排出量を削減しないとEVが普及しても社会的な意味はあまりありません」と杉本⽒。

 EVの抜本的な性能向上を⽬指し、全世界で全固体電池の研究開発が活発となっている。「次世代電池の量産まで、ハイブリッド⾞が電動⾞の普及に相当貢献するでしょう」(杉本⽒)。また、ガソリン・ディーゼルエンジンの性能向上、燃料電池⾞の普及も不可⽋。「あらゆる地域の⾃動⾞の燃費向上の責任をEVだけに背負わせるのは酷です」と語った。