スズキのインド戦略

スズキのインド戦略
「小さなクルマ、大きな未来」をスローガンにグローバルに自動車を提供しているスズキは、早い時期からインド市場に進出。累計2000万台を生産し、2018年3月時点でインド乗用車市場の50%のシェアを占めている。インド市場は今後も成長し、2030年には1000万台規模になることも予想され、同社は増産体制を強化している。今後はどのような戦略を描いているのだろうか。

4つの領域を強化して
年間500万台を目指す

 「国民車構想」を提唱していたインド政府とスズキが四輪合弁契約に調印したのは1982年のことだ。翌年には現地で生産を開始し、2011年に累計生産台数1000万台を突破。こうした中、自らインドで指揮を執った蓮池利昭氏は「販売、サービス網の拡充」「生産能力の拡充」「R&Dの強化」「品質の向上」の4つの領域での取り組みを紹介した。

 販売サービス網の拡充では、地域性と商品性を考慮して販売網を強化しているのが特徴だ。各販売店の強化と同時に商用車専門店舗を設けて中古車事業も強化。2015年からは富裕層向けの新販売チャネル「NEXA」店の展開を開始している。現在約2600の販売店と約3400のサービス拠点を展開し、2017年は164万台を販売したが、2030年には販売店とサービス拠点を1万以上に拡充し、年間販売台数500万台を目指す。

 生産能力については、2017年2月にインドで3拠点目となるグジャラート工場が生産を開始。今後も拡張し、2020年には75万台の生産能力を備える予定だ。「500万台を生産するには、あと225万台分の生産能力が必要。市場の動きを見ながら工場を増やしていきます」(蓮池氏)。

 同社は今後も電動化に向けた生産能力拡充にも力を入れる。東芝、デンソーと合弁でリチウムイオン電池工場を建設し、インド国内での安定供給を図る構えだ。

 500万台の目標を達成するためには、商品ラインアップの拡充も必要になる。そのために強化しているのがR&Dだ。設計者を増員するとともに、日本の本社に設計者を派遣。開発を経験させることにより能力の向上を図っている。また、2016年からは日本と同等のテストコースを稼働。各種実験も可能な体制を整えた。これまでもインド発の世界戦略車を送り出すなどインド国内の開発能力を高めてきた同社だが、それをさらに加速させている。

 最後の品質については「インドの要求品質ではなく、グローバルに競争できる品質を求める」(蓮池氏)ところが特徴的だ。基本方針は、先進国で求められている品質レベルをインドに採用することだ。国内の学校に対して講師を派遣するなど人材育成の支援も行っている。

 「スズキはインドとともに成長してきました。インドは行くたびに街や人が変わっていて熱気を感じます。まだまだ成長していく市場です」と蓮池氏は将来への期待を語った。