モビリティーカンパニーへの変革

モビリティーカンパニーへの変革
2018年1月、米国のラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2018」で、トヨタ自動車の豊田章男社長は“自動車メーカーからモビリティーカンパニーになる”ことを宣言した。IoT、AI、ロボティクス、ビッグデータ、クラウドなどの技術革新を背景に、自動車産業は大きく変わろうとしている。同社はどのようにしてモビリティーカンパニーへの道を切り拓いていくのか。

電動化、知能化、情報化を
融合し、進化を加速させる

 現在、トヨタ自動車が取り組んでいる変革は大きく分けて3つある。電動化、知能化、情報化だ。「電動化はCO2削減に不可欠です」と寺師茂樹氏は語る。同社は2030年に販売台数の50%以上を電動化することを目標に掲げている。「今の約3倍というチャレンジングな目標ですが、数年早まるペースで進んでいます」(寺師氏)。

 同社が描く未来は、電気と水素を活用した多様なエネルギーから成り立っている社会だ。そして、そこで必要になるのが様々なニーズに対応した電動化技術である。パワーコントロールユニット、モーター、バッテリーの3つがコア技術として挙げられる。

 「特にカギとなるのがバッテリーです。当社は創業期から電池の重要性を認識しており、電池の開発から生産まで自ら行う数少ない自動車メーカーです」と寺師氏。1997年に発売されたプリウスにニッケル水素電池を搭載し、2003年にはリチウムイオン電池を実用化した。そして現在は全固体電池の実用化を目指しており、これが実用化されれば航続距離が大幅に伸びることが期待されている。

 2つ目の知能化で取り組んでいるのは、自動運転車だ。寺師氏は「モビリティー社会の究極の目標である事故ゼロを目指す」と語る。2020年頃に、高速道路などの自動車専用道路での自動運転技術を活用したシステムの実現を目指している。

 「難易度の高い首都高をクリアできれば、日本のほとんどの自動車専用道路で通用すると推定しています。自動運転によって様々な刺激を受け、より楽しい時間を過ごすことができます。また交通事故や死傷者を減らすことで、より豊かで生き生きとした生活の実現を後押ししたい」(寺師氏)

 そして3つ目が情報化だ。「この分野は昨今大変注目されていますが、新しく、変化も速く、ますます加速しているだけに、仲間づくりが必要です」と寺師氏は語る。実際に同社では多くの企業と提携して情報化を推進している。

 モビリティーカンパニーへの変革を進める同社を象徴するのが、新たなモビリティーサービスを実現する「e-Palette Concept」だ。その実証実験には多くの企業が参加予定となっている。「当社が目指すのは、全ての人に移動の自由を届けること。モビリティーは社会に不可欠なパートナーになります」と寺師氏はモビリティーの未来像を語った。