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第5回・社員に優しく厳しい経営

日本レーザーの近藤宣之会長に聞く

「進化した日本的経営」を実践する

髙橋:厳しいですね。人を大切にして生涯雇用を約束する背景には、圧倒的な実力主義があるのですね。

近藤:当社は生涯雇用です。現行の制度では70歳まで働けます。また通年採用が基本で、新卒一括採用をしていません。学歴や性別や国籍に関係なく、多様な人材を雇用しています。そして、本人のライフスタイルや価値観に合った処遇と機会を与えます。簡単なことのようですが、これらを実践している企業は少ない。私は「進化した日本的経営」と呼んでいます。(構成:荻島央江、編集:日経BP総研 中堅・中小企業ラボ)

髙橋明希、近藤宣之氏
写真:鈴木愛子

インタビューを終えて

私がスタンフォード大学に来たときに驚いたことの一つが、産学がしっかりと連携している点だ。日本では学術の世界と実際の経営の世界が乖離しているように感じていたが、シリコンバレーの経営者は学問を大切にし、学術と経営をうまくリンクさせ、活用している。

今回、近藤会長のインタビューで、経営学を実際の経営と融合させ、科学的に分析をして意思決定することの大切さを学んだ。決して学術と経営を乖離してはいけない。うまく自社に活用することが経営者のスキルの一つである。しかし、すべて科学的な分析では組織内に閉塞感も生まれる。何事もバランスが必要で、社員が働く上での安心感とのバランスをうまく保っているのが近藤会長である。それを「進化した日本的経営」と表現されていた。

進化した日本的経営のためには、社員全員が理念やあるべき姿を共有し、それに沿った教育システムや評価制度を構築することが必要だ。日本レーザーはそれを実践している。ベースにあるクレドは、誰が読んでも同じ解釈ができる。非常にシンプルだ。

私は経営も生き方もよりシンプルなものにシフトさせていきたい。シンプルになれば、目的に向かって全力で走り、分析し、次の行動に向かいやすくなる。日本の大多数をしめる中小・中堅企業の経営者がそれに目覚めたときに、世界に誇れる会社がもっと生まれるのではないかという希望を感じた。(髙橋明希)