日経ビジネスONLINE Special週刊日経ビジネスオンライン SPECIAL日経ビジネスオンライン

第9回・ メガネを超え、人の能力を広げたい

ジンズの田中仁CEOに聞く

日経BP総研 中堅・中小企業ラボ

2018年10月22日(月)

東京・武蔵境自動車教習所の髙橋明希社長が、経営者としての腕をさらに磨くため、キーパーソンから「人材採用・育成」「働きがい」などについて学んでいくシリーズ。第9回目は、アイウエアブランド「JINS」を展開するジンズの田中仁CEOがゲスト。昨年12月、会員制ワークスペース「Think Lab」をオープンするなど新しい試みに精力的に挑戦する田中氏に話を聞いた。

世界で一番集中できる場所を目指す

髙橋:今日は、「Think Lab(シンク・ラボ)」におじゃまするのがとても楽しみでした。世界で一番集中できる場所を目指しているんですよね。

田中仁CEO(以下、田中):科学的エビデンスに基づいた最高に集中できる環境を提供しています。例えば、人間が両目で見える視野120度の中に10~15%の緑があるとストレス低減効果があると言われています。そこでThink Labのどこにいても、10~15%の緑が目に入るように植物を置いています。

 また、川のせせらぎや小鳥のさえずりが聞こえますよね。実は、こうした耳で聞き取れる音以外に「隠れた音」も流しています。自然が多い場所では、人の可聴領域(音を聞き取れる周波数の範囲)を超える隠れた音が存在し、ストレス低減に効果があるとされているのです。

田中 仁(たなか・ひとし)
1963年群馬県生まれ。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。88年 ジェイアイエヌ(現ジンズ)を設立。2001年アイウエア事業「JINS」(ジンズ)を開始。06年大証ヘラクレス(現ジャスダック)に上場。13年に東証一部上場。地元・群馬で起業家育成や街づくり活動にも取り組む
写真:鈴木愛子

ジンズ

1988年に会社を設立、アイウエアブランド「JINS」を国内外で483店舗展開。売上高は548億円(2018年8月期)、従業員3930人

髙橋:こちらが深く集中するのに最適なスペース「オープンデスク」ですね。

田中:全員が同じ方向を見て仕事ができるようにしています。他者と視線が合うと集中が阻害されますから。

 椅子も工夫しています。視線の角度が思考パターンに影響すると言われています。人は視線が下がると、論理的思考が強くなるそうです。この椅子に腰掛けると、背筋が伸びて自然と下向きの視線になるので、ロジカルシンキングが必要な作業向きで、目の前の作業に没頭できます。

 一方、こちらはクリエーティブな作業向きです。上向きに傾斜した机と背もたれが倒れる椅子で、視線が自然と上がります。視線が上がると発散思考が強まり、アイデアが生み出しやすくなる。そのときどんな仕事をしたいかにより、適したデスクと椅子を選ぶといいわけです。

 実際、当社の社員を対象に、集中度を計測できるメガネ型ウエアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」で調べたところ、通常のオフィスと比較して集中力が2倍にアップしました。集中力が倍になれば、長時間働かずに済みますよね。

髙橋:素晴らしいですね。なぜ、こうしたスペースをつくろうと考えたのですか。

クリエーティブな作業に向くデスク。椅子の背もたれが倒れて視線が上向きになるので、発想を広げやすくなる