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第10回・変化を恐れず社内を変え続ける

HILLTOPの山本昌作副社長、山本勇輝経営戦略部長に聞く

部署を廃止して現場のモチベーション向上

山本(昌):私が会社を変えていきたいと思ったのは、この瞬間からですね。それが今もずっと続いています。

 当時、社長である父を説得し、売り上げの約8割を占めていた下請けの仕事をすっぱりやめました。新たに取り組んだのが多品種単品生産や試作品の開発です。単品物は量産品に比べ、設計したり加工の手順を考えたりするなどの知的労働が多くなります。

 それでも再注文となると、単純なルーティンワークが主になっていきます。そこで、過去の加工データや情報を整理するほか、熟練技を数値化してデータベース化し、その部分を機械に任せていきました。これで社員はより知的な作業に集中できます。

 HILLTOPには部品の加工をする、いわゆる職人はいません。加工プログラムを作成する「プログラマー」と呼ばれる社員が材料とデータを工作機械にセットするだけです。夜間、無人の工場で工作機械が稼働し、翌朝には製品ができています。

髙橋:今年の4月に、部署を実質的にすべてなくしてしまったとか。どんな意図があるのですか。

山本勇輝経営戦略部長(以下、山本(勇)):製造部門の8部署を撤廃しました。

 同じ部署で、同じ仕事をやり続けていると、そこにしか興味を持たなくなり、俯瞰してものづくり全体を見られなくなります。製品はリアルなものなので、パソコン上でバーチャルにプログラミングするだけでは足りない。自分の手で仕上げて、金属を削る振動を感じるなどの経験をしないと、ものづくりがもっと好きになれないし、深掘りできないのです。

 このため、部署をなくしました。社員には1つの部署にとどまらず、ローテーションでさまざまな仕事をしてもらいます。昨日まで現場で金属を削っていたと思ったら、今日はパソコンでプログラミング。明日は検査をする予定、といった感じです。実際には、毎日仕事が変わるメンバーもいれば、1週間ごとや1カ月ごとに変わるメンバーもいます。

 いずれにせよ、めちゃくちゃ非効率です。若手とベテランをシャッフルにしてぐちゃぐちゃにかき混ぜていますしね。ただ、やっている社員たちは面白い。日替わりで全く違うことができますから。

山本勇輝(やまもと・ゆうき)
1980年京都府生まれ。大谷大学卒業。広告代理店営業を経て、2006年に山本精工(現HILLTOP)に入社。14年米国現地法人を設立し、社長に就任。NASA(米航空宇宙局)や配車サービスのUBERなど米国企業800社の試作開発を手掛ける
写真:宮田昌彦