髙橋:当社でもまねできますね。確かに今非効率だし、つらい時期かもしれませんが、来年、再来年に得られる成果が大きそうです。
山本(勇):そうですね。一部のスキルは高くても、ほかのスキルが不足していると、「こんなことをやりたい。やったらいいのではないか」というアイデアがどうしても表面的なものになります。そこにもっと深みをつけたいと思ったのです。
山本(昌):確かに近視眼的に見ると非効率かもしれませんが、長い目で見るとさほどでもありません。いろいろなセクションを渡り歩き、たくさんの引き出しを持った人間が生まれますから。例えば「ここで人が足りない」となれば、すぐに応援できます。
それに非効率な働き方をすることが社員のモチベーションの高さにつながります。一時的に効率が落ちても、利益率が落ちても、彼らのモチベーションを上げていくことのほうが重要だと思う。長期的な視点では間違いなく強い体質の会社になります。恐れずに思い切ってシャッフルするほうがいいでしょうね。
髙橋:人間には「変わりたくない」という本能があります。社員から反発はなかったのですか。
山本(昌):なかったですね。
山本(勇):どうしてそんなにすっと受け入れてくれるのか不思議なくらいでした。うちの会社の場合、変わることが当たり前で、それが企業文化になっています。変化を受け入れないと、うちではやっていけない。そういう文化がもともとあるので、あまり抵抗感がなかったのではないでしょうか。
実際、部署のマネジャーだけ残して、リーダーは全部撤廃しました。今までリーダーをやっていた社員でも、仕事によっては入社3年目ぐらいの若手に教えてもらわないといけない。
当社の場合はクリアしましたが、ベテランがそこを受け入れられるかどうかがポイントではないかと思います。下のメンバーはいろいろな経験が積めるので、モチベーション高く働いてくれます。片や、ベテランは下の子に教えてもらわないとできない仕事に今さら付かなくてはいけない。これは結構、受け入れるのが難しいと思います。