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第10回・変化を恐れず社内を変え続ける

HILLTOPの山本昌作副社長、山本勇輝経営戦略部長に聞く

自ら変わり続ければ、変化は怖くなくなる

山本(昌):長いこと同じ仕事をしているから、そこに根が生えてしまう。ジョブローテーションがごくごく当たり前にあったらそうはならない。

 小学校、中学校でもクラス替えがあるでしょう。少なくとも席替えぐらいあるじゃないですか。ほとんどの製造業は、ずっと同じクラスで、同じ席に座っている人たちばかり。だから動くのが怖くなる。だからしょっちゅう変えたらいいのです。毎月、席替えぐらいすれば、どんどん変化しますよ。

髙橋:いいですね。うちの会社で、例えばインストラクターが事務の仕事をしたり、営業に行ったりを日替わりでしたら、どんなふうに良くなるかなとわくわくします。最初は大混乱が起きるかもしれませんが。

山本(昌):大混乱を起こしてもいいのですよ。同じ働き方を5年、10年続けたとして、5年後、10年後にまだ通用するかというと疑問でしょう。世の中はどんどん変わっていくのに、ずっと同じスタイルでやり続けて、受け入れられるわけがない。それを10年後になって初めて気づいてももう遅い。経営者は、社員に常に変わっていくことを要求していくべきです。私はそう思います。

(構成:荻島央江、編集:日経BP総研 中堅・中小企業ラボ)

インタビュー後にHILLTOP本社前にて。社屋も自由な発想を重視する社風を表わしているようだ
写真:宮田昌彦

インタビューを終えて

一番印象的だったのが、「中小企業だから」という言い訳を一切しない姿勢だ。日常的に私たちはこう言い訳をし、何かを実現できない理由にしている。しかし、HILLTOPはずっと以前から言い訳をすることなく、自社が目指す理想を追いかけている。

誰でも変化することは怖い。現状が一番心地よく、安全だからだ。これは自分の身を守るための人間の本能かもしれないが、HILLTOPのみなさんはそこを軽々と突き破る。

HILLTOPはアイデアを出し合う頭脳集団だ。人間には限りない能力があるが、流れ作業の繰り返しではそれを十分に引き出せない。そこでHILLTOPは大胆にも部署を撤廃し、社員に日替わりで違う仕事をさせている。こうして互いにアイデアを出し合えるスペシャリストであり、ゼネラリストでもある人材を育成している。

またHILLTOPは2014年に米シリコンバレーに現地法人を設立している。中小の製造業でこの最先端の場所に進出している企業はまだ少ない。だが、進出を担当した勇輝氏は展示会に参加し、米国でのチャンスにいち早く気付いた。現在は、現地法人の社長として世界中のチャンスを捉えるために精力的に活動している。

私たちも企業の規模を言い訳にせず、目指す理想を実現するために安全地帯から脱しなければならない。しかも経営者だけが変わればいいのではなく、組織的に一気に飛び出す覚悟が必要な時代に入っている。猶予はそれほどない。(髙橋明希)