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最終回・やる気を引き出し、サービスと生産性を両立

日経BP総研 中堅・中小企業ラボ

2019年1月21日(月)

東京・武蔵境自動車教習所の髙橋明希社長が、経営者としての腕をさらに磨くため、キーパーソンから「人材採用・育成」「働きがい」などについて学んでいくシリーズ。最終回は、東横イン(東京・大田)の黒田麻衣子社長がゲスト。現在、ホテルを含めたサービス業が抱える大きな課題は「人材の確保」と「生産性の向上」だ。解決のため、働き方についてどのような取り組みや工夫をしているのか。黒田社長に話を聞いた。

地元採用で地域の顔として活躍してもらう

髙橋:2018年だけで新たに20店をオープンされています。現在の稼働状況はいかがですか。

黒田麻衣子社長(以下、黒田):一時期を除き、当社では毎年20店から30店ほど新規オープンしています。20年の東京オリンピックを控え、ライバルは増えていますが、80%を超える客室稼働率を維持しています。

髙橋:新規店が増えれば増えるほど、人材が必要になりますよね。どのように確保されているのですか。

黒田:当社の場合、支配人やスタッフは(店ごとの)地元採用を鉄則としています。既存の社員をほかのエリアから異動させるということはしません。それは創業当初から変わらないスタイルです。ホテルの顔がころころ変わるのはよくありません。地域に密着し、その店の顔、街の顔として活躍してほしい、と考えています。

髙橋:支配人は「経営者」といってもいいくらい、大幅に権限を委譲されていると聞きました。

黒田:支配人には運営の一切を任せています。朝食のメニューやロビー装飾はもちろん、スタッフの採用や教育、評価は支配人の裁量になります。そのほか、設備のメンテナンス、官公庁への届出、諸手続き、商工会などへの参加、営業活動、経理など非常に広い守備範囲があります。店舗ごとの独立採算が基本なので、支配人は業績に対する責任も求められます。支配人の約97%が女性で、平均年齢は48歳くらいです。

 支配人は「一棟を任せてもらえる」「自分が頑張った分だけ返ってくるから、働きがいがある」とよく言ってくれます。

黒田麻衣子(くろだ・まいこ)
黒田麻衣子(くろだ・まいこ)
1976年東京都生まれ。聖心女子大学卒業、立教大学大学院修了。2002年、父の西田憲正氏が経営する東横インに入社。新店立ち上げに携わる。結婚、出産のため05年に退社。08年に副社長として復帰し、12年6月から社長。夫と2女の4人暮らし
写真:菊池一郎

東横イン

東横イン はビジネスホテルチェーンの草分け的存在で、1986年2月に東京・蒲田で1号店をオープン。現在、国内外に288店を構え、総客室数は6万室を超える。国内のホテル運営会社としては最大級。売上高は848億円(2018年3月期)、従業員数は1万1510人(パートを含む。18年3月末現在)。