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最終回・やる気を引き出し、サービスと生産性を両立

稼働率は顧客満足のバロメーター

髙橋:メリハリのある働き方ですが、なかなかハードそうですね。

黒田:もちろん「そんなハードワークはできない」という人もいます。ただ、「これに慣れると、この働き方がやめられない」って多くの人が言いますね。

 「出勤日の一晩だけ、子供を家族に見てもらえればいいから助かる。保育園に預けて出勤して、勤務明けの日の夕方に子供を迎えに行く。その後はずっと一緒にいられるのがいい」という子育て中のスタッフもいます。

 とはいえ、年齢を重ねるにつれ、25時間連続勤務が体力的にきつくなるのも事実です。大事なスタッフに働き続けてもらうためにも、それ以外の働き方も提供しなければいけないと考えています。

 いずれにせよ、これから先は柔軟性のある働き方ができない職場では、人材が確保できないでしょう。例えば、家庭の事情などで、毎週何曜日と決めて働きたい人もいます。これまでフロントの場合、シフトで月8回入るというルールでしたが、特に忙しい土曜日に来てもらうだけでもいい。そうした勤務形態を今、一部の店舗で試験的に始めるところです。

 また、店舗運営に関するさまざまな数字をすべてのスタッフが把握しているのも生産性の向上につながっているのかなと思っています。

髙橋:それはすごいですね。

黒田:パートのスタッフも自分の店舗の客室稼働率を答えられます。なぜなら、それが自分たちの給料に直結するからです。

 客室稼働率は顧客満足のバロメーターです。だから稼働率の向上には力を入れています。一定の客室稼働率を超えると、支配人から駐車場係まで店舗のスタッフ全員に基本給に応じた「稼働率連動奨励金」を支給するのです。

 それも半年分まとめてボーナスと合算ではなく、毎月支給しています。先月達成した稼働率の奨励金を、今月もらえるわけです。スタッフのモチベーションアップにつながっていると思います。

客室稼働率に応じた奨励金を毎月支給し、スタッフのやる気を引き出している

髙橋:自分たちの頑張りが、月次の決算賞与のような形ですぐ得られるのがいいですね。稼働率を全店で上げていくために、各店の成功体験や失敗体験は全社で共有しているのですか。

黒田:毎月、店舗の支配人がエリアごとに集まり、会議をしています。その中で自店舗の数字を発表して、支配人同士で指摘したり、指導したり。そこで失敗や成功の体験も共有します。

 3カ月に1回は全国の支配人が会議に集まります。その際、お客様から日々届くアンケートの中から、ワーストのワーストを選んで店舗名とともに発表します。

 このアンケートは、本社社員が当番制で読み、ベストとワーストを毎日選んでいます。3カ月に1回は、ここでワーストに選ばれたアンケートを役員も含めて全員で読み返し、ワーストの中のワーストを選んでいます。店舗名は挙げますが、どの店でも起こり得ることとして受け止め、どうしたらこういう失敗を避けられたかを考える機会にしています。

髙橋:実際に現場で起きているケースに基づいて議論すると、勉強になりますね。アンケートはどのぐらい集まるのですか。

黒田:年間の宿泊客数は1900万人ぐらいで、アンケートの回収数は約24万件です。ホテルの中では多いほうだと言われますね。