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知見を引き出し、新たな価値に変えるAI

デジタル化の進展とともに爆発的に増大しているデータをいかに活用していくか――。この課題解決に今後の企業の命運がかかっているといっても過言ではない。なかでも重要なカギを握っているのが、自然言語で書かれた膨大な文書の活用だ。日本語対応を完了したIBM Watson Discoveryを活用することで、目的とする情報のスムーズな検索を実現するほか、大量の文書の中に埋もれていた傾向や知見を導き出し、ビジネスの新たな価値に変えることが可能になる。

自然言語で書かれた大量の文書をAIで読み解く

 急速なデジタル化の進展に伴い、世界のデータ量は爆発的に増大している。「過去2年間でつくられたデータ量は、それ以前につくられた全てのデータ量に匹敵する」とも言われるほどの勢いだ。そして当然のことながら、企業が保有するデータ量も飛躍的に増大している。

 ただ、この大量のデータを単に蓄積しているだけでは、ストレージの容量を食いつぶすだけでしかない。有益な経営資源としていかにビジネスで活用していくかが、企業にとっての重要な課題となっている。

 増大するデータの中身を見てみると、そのかなりの割合を占めているのが様々な報告書やドキュメント、文献、顧客チャネルに寄せられた問い合わせの対応履歴、ブログ、SNSの投稿メッセージなどの文書情報だ。従来型のデータベースでこうした非構造化データを処理することは困難で、自然言語に対する意味レベルでの解析が求められる。さらに言えば、そこから多くの洞察(気づき)や新たな発見を得ることができなければ、経営のタイムリーな意思決定やビジネス現場のアクションにつなげていくことはできない。

 そうした中で注目されているのが、クラウド型AI(人工知能)として提供される知識探索エンジンだ。IBMでは、IBM Cloud環境からDiscoveryというサービスを提供している。

 Discoveryはその名が示すとおり、コグニティブ(認知)・コンピューティングを世界で初めて商用化したWatsonの数あるサービスの1つで、自然言語で記述された膨大な文書を分析し、自然言語による質問に対する回答の検索や関連性の高い知識の探索を支援するクラウド型サービスである。

 日本IBM ワトソンソリューション部長の田中孝氏は、「今年6月に日本語対応が完了したことで、日本企業のお客さまにもDiscoveryのフル機能をすぐに使っていただける環境が整いました」と話す。以降では、Discoveryの強み、同サービスが真価を発揮するユースケースなどについて紹介しよう。

田中 孝 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
ワトソンソリューション部長
田中 孝 氏