AI・IoT時代のデータ活用羅針盤 ビッグデータ・コンパス2018

安全性・信頼性を確保しながらデータ活用を促進する東京ガスの挑戦

日本最大で世界でも屈指の都市ガス事業者である東京ガス。同社もまた、2016年4月の電力自由化、2017年4月の都市ガス自由化に伴い、競争激化への対応に迫られていた。デジタル化により新たなサービスを立ち上げる上で障壁となったのが、新システムと基幹システムとの連携だった。同社の基幹システムは社会インフラを支えるエネルギー事業を担っており、新システムとの連携に伴う影響範囲の調査や改修、連携テストなどに膨大な作業が必要となるからだ。
従来のシステム基盤の考え方では、スピードを求めるビジネスのニーズに応えることはできない。同社は現状を打開する解決策として、アプリケーション同士が相互に連携するための仕組みである API( Application Programming Interface )に着目。API を経由することでシステム間を緩やかにつなぎ、既存システムの資産を有効活用した新サービスを短期間で実現できる基盤の構築を目指した。
同社が API 利用のための基盤に採用したのが、オープンストリームが提案した Azure API Management だ。「従来のようにオンプレミスで時間をかけてシステムを構築しているスピード感では、デジタル時代の新サービスで競争優位を確立することはできません」とオープンストリーム 戦略技術推進本部 本部長 両角博之氏は強調する。

株式会社オープンストリーム
システムインテグレーション事業部
戦略技術推進本部 本部長
ITアーキテクト

両角 博之 氏

今回、Azure API Management の利用により必要な機能を組み合わせるだけで実装に要した期間はわずか1週間。同社の情報システム部門はメンテナンスを考える必要もなく、API をどう活用していくかに注力できる。またコスト面では、同社が求めていた機能を標準で備えていたことも採用のポイントとなった。2018年2月に試験運用を開始し、今夏に本格リリースする予定だ。

データ活用により社内はもとより社外とつながることで付加価値を創造

API 利用におけるスムーズな運用は、準備段階でどこまで課題をつぶしておけるかにかかっている。現在、関係者が毎週集まって組織の観点や技術の観点から議論を重ね、課題の洗い出しとその解決に取り組んでいると両角氏は話す。メンバーの間では、特にAPI連携に伴うセキュリティの課題が重要なテーマになっているという。
「オンプレミスにおけるセキュリティポリシーをそのまま適用するのではなく、クラウド化に合わせた対応を検討しています。東京ガス様は組織の観点から現状と課題を洗い出し、オープンストリームと日本マイクロソフトはセキュリティや障害が発生した際の対応などに関して技術的解決策を提示しています」

東京ガスでは社内ネットワーク(右下)とクラウド環境を連携させ、新サービス創出をスムーズにする API 基盤を構築した(日本マイクロソフト事例サイトより)

東京ガスでは、API の利用シーンとしてまず基幹システムと社内システムを連携し、お客様との接点となる地域窓口サービスやお客様向け Web サイトにおける提案力強化を計画している。基幹システムのお客様データを API で呼び出し、既存システムの改修を最小限に抑えながら、迅速に新サービスを立ち上げることで顧客満足度の向上を図ることが狙いだ。
「東京ガス様では API の活用によるグループ企業との一層の連携強化はもとより、将来は顧客データを分析してその結果を第三者に提供するビジネスや、東京ガスの強みを活かしたシェアリングサービスなど、API を拡充し多様なアプリケーションを実現していくことを視野に入れています。API を利用しサイロ化したデータをつなぐことでデータ活用を促進し、競争力の強化や、他社とのコラボレーションによりイノベーションを起こしていくことが今後のテーマとなります。現在、Microsoft Azureで膨大なデータを効率的に蓄積し利用するための仕組みの構築も合わせて進めています」

投資の妥当性を判断する PoC に取り組んだゴルフダイジェスト・オンライン

さらに、ビッグデータや AI を活用した新サービスの立ち上げでは、投資の妥当性をどこで見極めるかが大きな難題となって立ちはだかる。 「日本最大級のゴルフポータルサイト、ゴルフダイジェスト・オンライン様から、AI を利用したある画像解析について『できるかどうか』を見極めてほしいとの相談がありました。自分たちで汎用の AI 製品で試したところ解析の精度が低く、カスタマイズするにしても使いものになるかどうか判断できず、コストばかりかかるのではという懸念をお持ちでした」と両角氏は話しこう続ける。「そこでサンプル画像をご提供いただき、当社の AI を使って検証した結果、より高い精度を出すことができました。現時点での精度と、さらに精度を高めるための仮説を一緒にご提案し、本格的な投資の妥当性を判断するためにスモールスタートの PoC( Proof of Concept、概念実証)をやりましょう、ということでプロジェクトがスタートしました」

そして AI を利用した業務プロセス改革ではオペレーションの観点も重要になると両角氏は付け加える。「画像解析の導入により従来の業務を変えないといけなかったり、画像収集の手間が発生したりすると、かえって業務効率が低下することになりかねません。普段の業務プロセスの延長線上で画像解析の精度向上につながる画像データ収集の仕組みをご提案しました」
同プロジェクトでは Microsoft Azure を使って速やかに PoC を実施。必要な時に必要なだけ利用できるクラウドの利用は、ビジネス化を見極めるトライアルに最適だ。現在ゴルフダイジェスト・オンラインでは、オープンストリームと一緒に実用化に向けた課題を1つ1つ解決し、画像解析による新サービスリリースに着々と歩を進めている。

PoC の先へ進むために新サービスが創出するビジネスインパクトの可視化を

投資判断を決定するのが難しいことから、PoCで止まってしまう企業が多いのも現状といえるだろう。そこを超えていくために必要なことは何か? これまでの実績に基づく知見から、両角氏はひとつの見解を述べた。
「ある企業の研究開発部門と次世代自動販売機のコンセプトを考えた際、“将来の自動販売機はこう変わっていく”という世界観を表現したコンセプトビデオをつくりました。そのコンセプトビデオが投資判断の材料の1つとなり実現まで漕ぎ着けることができました。ゴルフダイジェスト・オンライン様の画像解析においても、エンドユーザーの利用シーンを体験できるプロトタイプをつくりました。PoC に関して検証結果で終わるのではなく、コンセプトビデオやプロトタイプなどを用い、経営層に対しても、そのサービスが世に出た時のビジネスインパクトを可視化・共有することが大切です」
加えてビッグデータや AI を活用した新サービスの事業拡大では、リリース後も継続して進化させていくことが欠かせない。「リリース後、データの収集・蓄積による精度向上や、ユーザーからの改善要望への迅速な対応が必要となることから、クラウド上で PDCA サイクルを短期間で回すことのできる基盤の構築が求められます。Microsoft Azure の場合、マイクロソフトがお客様のプロジェクトに積極的に参加するなど、ビジネス戦略を共有しながら深い議論を重ねることができ、お客様は安心してクラウドを利用することができます。現場密着のビジネススタイルをとる当社とマイクロソフトの姿勢は非常に近いものがあると感じますね」
2000年に創業したオープンストリームは、ビジネスを意識した問題解決力と確かな実績に裏付けられた技術力のもと、お客様と一緒に取り組む現場密着型のビジネススタイルを強みとする。オープンストリームとマイクロソフトは現場視点を大切に、新しいビジネスモデルの創造にチャレンジする企業の挑戦を支援していく。

ビジネスアイデアの具現化やコンセプト創りの段階から気軽にご相談してほしい、と語ってくれた両角氏。

関連リンク

東京ガス様の事例詳細はこちら

「システム間を緩やかにつなぐ API ゲートウェイ を Azure で実現、既存システムの資産を有効活用した新サービスを短期間で立ち上げられる基盤を確立」

https://customers.microsoft.com/ja-jp/story/toyko-gas-azure-api-management-functions-storage-log-analytic-jp-japan

情報技術と社員力でお客様のビジネスを成功に導く、戦略システム開発のオープンストリーム

http://www.opst.co.jp/

オープンストリームの Cloud Everywhere 提供メニュー「Red Hat on Azure によるDevOps 開発」

https://www.microsoft.com/ja-jp/cloud-platform/cloud-everywhere

日本マイクロソフトの AI ×ビッグデータ活用ソリューション

https://azure.microsoft.com/ja-jp/solutions/big-data/

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  • 安全性・信頼性を確保しながらデータ活用を促進する東京ガスの挑戦
  • データ活用により社内はもとより社外とつながることで付加価値を創造
  • 投資の妥当性を判断する PoC に取り組んだゴルフダイジェスト・オンライン
  • PoC の先へ進むために新サービスが創出するビジネスインパクトの可視化を

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