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バンクダナモンと共に目指すインドネシアの成長

三菱UFJ フィナンシャル・グループとインドネシアのバンクダナモンが、両社の強みを生かし、インドネシアでのポジション強化に向けて協働を開始。双方の経営陣は、この提携関係について大きなメリットがあると強調。

―――三菱UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)の中期経営計画、新設組織のグローバルコマーシャルバンキング事業本部について

株式会社三菱UFJ銀行
取締役副頭取執行役員
吉川英一

吉川氏:低金利や景気停滞、規制強化の流れを受け、多くの銀行や金融機関は厳しい経営環境にあります。一方で発展を続け、大きな潜在的成長力を持つ国や地域もあり、MUFGは、こうした国や地域で事業基盤の拡大・深耕を図る中期経営計画を策定しました。2018年7月には新たにグローバルコマーシャルバンキング事業本部を設立し、主に米国とASEAN諸国におけるローカル市場においてパートナーバンクと共に、現地に根差した金融サービスを提供しています。MUFGのパートナーバンクは、米国のMUFGユニオンバンク、タイのクルンシィ(アユタヤ銀行)、フィリピンのセキュリティバンク、ベトナムのヴィエティンバンク、そしてインドネシアのバンクダナモンと、いずれも各国で上位行としての事業基盤を有しています。各国の人口を合算すると約8億5000万人と巨大な市場です。MUFGは、昨年12月からのバンクダナモンとの提携により、この市場で外資としては最大の支店網を持つことになります。

―――インドネシアの戦略的位置づけ

PT Bank Danamon Indonesia Tbk
(バンクダナモン)
設 立:1956年
総資産:130億ドル
拠 点:1395支店(関連会社含む)
順 位:国内第5位(利益額)
格 付:BBB*1/AAA(インドネシア)*2
(*1) Fitch長期発行体デフォルト格付
(*2) Fitch長期国内格付
(2018年9月現在)

吉川氏:インドネシアは約2億6000万人の人口を有し若年層が多く、また天然資源に恵まれているほか、政治情勢も安定している有望な市場です。経済規模はASEAN最大で、MUFGにとって戦略的に非常に重要な国です。インドネシアにおけるMUFGの歴史は長く、今年は三菱UFJ銀行の前身の銀行がインドネシアに駐在員事務所を開設して100年目、ジャカルタ支店を開設して50年目に当たります。今や三菱UFJ銀行ジャカルタ支店はインドネシアの外国銀行としては最大です。インドネシアでは長期的成長を見据えインフラ整備のニーズが高まっており、MUFGはプロジェクトファイナンスにおけるリーダーとして、今後もインドネシアの経済発展に貢献していきたいと思います。

―――インドネシアでのパートナーにバンクダナモンを選んだ理由

吉川氏:MUFGがバンクダナモンに魅力を感じたのは、健全な事業基盤、優れた経営陣と社員、全国的な支店網、そして何よりもMUFGの事業との補完性です。三菱UFJ銀行ジャカルタ支店の中心業務は大企業向けの銀行業務ですが、バンクダナモンは個人向けや地場の中堅・中小企業向けの銀行業務が中心であり補完性があります。バンクダナモンとの提携により、同行の支店網や事業基盤を通じてお客さまに幅広いサービスを提供できるようになりました。また、MUFGとバンクダナモンの企業文化は似ている面があると思います。両社とも堅実であり、私たちはバンクダナモンとのパートナーシップにより、お客さまにより良いサービスを提供できると確信しました。

1つのチームとして
インドネシア経済に貢献していく

―――戦略提携を受けた今後の展開

吉川氏:MUFGは米国、アジア各国のパートナーバンクのCEOや経営陣を一堂に集めて定期的に会議を開催しています。各行の強みや経験、課題などについて意見交換し議論する場です。それぞれのベストプラクティスを共有し、シナジーを追求することで、各行のバリューアップを目指しています。7月はFinTechなどのデジタル分野に特化して会議を開催し、非常に活発な議論が交わされました。

PT Bank Danamon Indonesia Tbk
(バンクダナモン)
President Director(頭取)
Sng Seow Wah

Sng氏:MUFGとの協働は私たちの事業機会の拡大につながると思います。例えば、バンクダナモンはインドネシア最大の自動車金融ネットワークを有するにもかかわらず、その強みを生かしきれていませんでした。MUFGによる戦略出資のニュースが伝わると、日本の大手二輪車販売会社との商談が動き始めるなど、目に見える形でシナジーが生まれてくるのを実感しています。

吉川氏:MUFGとバンクダナモンが協働できる範囲は、サプライチェーンファイナンスなどのバンキングサービスから、内部統制・リスク管理などの経営管理の高度化に至るまで幅広いものになると期待しています。

―――MUFGとの提携によるお客さまへのメリット

Sng氏:例えば、ローカルバンクである当行は海外に支店がないため、長年のお客さまが外国進出を検討している際にお客さまのお役に立つことができませんでした。MUFGとの提携により、お客さまがMUFGの国際的なネットワークを利用できるようになりました。

吉川氏:MUFGにとってもメリットがあります。ジャカルタ支店は主に大企業向けバンキングサービスを提供してきましたが、今回の提携により、バンクダナモンを通じて地場のリテールバンキングなどのサービス提供も可能になりました。

インドネシアの銀行として
さらに上を目指す

―――バンクダナモンの実績

Sng氏:当行では過去4年間で事業構造改革を進めてきました。具体的には、これまで当行の強みであったマイクロファイナンスやオートローンなどの分野への依存度を減らし、中堅・中小企業向け貸出やトランザクションバンキングなど新たな成長エンジンを立ち上げることに注力してきました。以前は当行の営業利益の約67%がマイクロファイナンスやオートローンなどの事業によるものでしたが、現在は40%程度です。今後は新たな成長エンジンも含めさらなる事業規模の拡大を目指していきます。

―――MUFGとの提携を受けて、バンクダナモンが目指すもの

Sng氏:当行はインドネシアで第5位(利益額)の銀行です。今後はMUFGと協働してお客さまにより良いサービスを提供し、さらに上を目指します。

吉川氏:バンクダナモンの経営陣や社員の皆さまには、ぜひMUFGの一員であるという意識を持っていただきたいと思います。今後は1つのチームとして協力していけるよう私自身も最善を尽くします。バンクダナモンと共にお客さまに品質の高い金融サービスをお届けし、インドネシア経済のさらなる発展に貢献していきます。

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