活用実態調査から分かった現実と課題……

SFA/CRMを導入してもなぜ売り上げが拡大しないのか?

蓄積されたデータを活用して適切な施策を打っているか?

前のページで記述した通り、今回の調査で、SFA/CRMを導入して「利用が定着した」と回答した企業は8割を超えたものの、その活用が“収益向上に結び付いている”企業は3割程度にとどまった。SFA/CRMで成果を上げるには、実際に収益を拡大させている企業がSFA/CRMをどのように活用しているのかを分析し、自社の取り組みと照らし合わせて改善を図るのが有効といえる。

では早速、調査で明らかになった、SFA/CRMを使った新規顧客の獲得が「できている企業」と「できていない企業」の違いについて見ていこう。

新規顧客獲得が「できている企業」は、SFA/CRMを活用して「優良顧客、離反顧客の状況を把握し、適切な施策ができている」「データに基づいた効果的な営業戦略の立案」との回答割合が、「できていない企業」に比べて著しく高い。つまり、新規顧客を獲得する際にも、既存顧客の動向を分析しながら営業戦略を立てていることが分かる。

なぜこうした取り組みが有効なのかと言えば、同業の既存顧客による商品・サービスの取引データから類推して、新規顧客をターゲティングできるからだ。過去の取引データがない新規顧客は、ニーズや売り込み方が分からないため、やみくもに見込み顧客にアプローチをかける企業もある。しかし、新規顧客獲得が「できている企業」は、SFA/CRMに蓄積された既存顧客データを活用して、事前に確度の高い顧客に狙いを定めた上で顧客にアプローチ。効率よく新規顧客獲得を成功させているのである。

「データに基づいた効果的な営業戦略の立案」
「優良顧客、離反顧客の状況を把握し、適切な施策ができている」ことに対して圧倒的な差が

Q.

SFA/CRMを導入、利用して達成できていることは何ですか。 【営業部門】(複数回答可)

既存顧客からの売り上げ拡大 できている できていない

データに基づいた効果的な営業戦略の立案、できている、いないの差54%。優良顧客、離反顧客の状況を把握し、適切な施策ができている、できている、いないの差53%
Q.

SFA/CRMを導入、利用して達成できていることは何ですか。【営業部門】(複数回答可)

新規顧客からの売り上げ拡大 できている できていない

データに基づいた効果的な営業戦略の立案、できている、いないの差36%。優良顧客、離反顧客の状況を把握し、適切な施策ができている、できている、いないの差43%

また、多くの企業は、マーケティング部門と営業部門の連携が十分に取れていないケースも多いようだ。マーケティング部門から営業部門に引き継がれたリード(見込み顧客)が、なかなか売り上げにつながらないという悩みを抱える企業も目立つ。リードの基準が不明確であることや、リストが十分に精査されていないことも、新規顧客の“取りこぼし”に結び付きやすいようである。

一方、既存顧客の売り上げの拡大について、「できている企業」はSFA/CRMで顧客情報や案件情報をしっかりと把握し、「データに基づいた効果的な営業戦略の立案」を実践していることが分かった。

既存顧客の売り上げを高めるためには、優良顧客や離反顧客の状況を把握し、それぞれに適した施策を打つことが重要だ。特に優良顧客は、売り上げや利益の大きな割合を占める顧客基盤であるため、しっかりとフォローすることが大切である。離反顧客の動向を探ることは、優良顧客の休眠や離反を防ぐ施策作りに不可欠だ。

以上のように、蓄積された顧客データを活用して効果的な営業施策を打つことは、営業およびマーケティング活動における“常道”と言える。今回の調査では、そうした当たり前の活動を確実に行っている企業が結果を得ているという事実が、改めて判明した。

新規顧客・見込み顧客の増加

Q.

マーケティング部門からのリード(見込み顧客)は 案件につながっていますか。

リードが案件に十分つながっていない86%
Q.

マーケティング部門からのリード(見込み顧客)が 案件につながらない理由は何ですか。(MA)

売り上げにつながるリードの基準が不明確31%、リストが精査されていない29%、リードのターゲットが適していない29%

情報の可視化と共有が売り上げを拡大するためのカギとなる

既存顧客の売り上げ拡大が「できている企業」は、蓄積されたデータをうまく活用していることが分かったが、ではSFA/CRMのどのようなデータに着目しながら施策を打っているのだろうか。

顧客情報については、「できていない企業」に比べて、「直近の販売状況」「顧客に対する過去からの営業活動歴」「購入前から購入後の取引における顧客との接点状況」をしっかり把握していることが分かった。既存顧客の売り上げを拡大するためには、顧客のニーズや購買行動、営業への反応がどのように変化しているのかを精査し、きめ細かくアプローチを変えていくことが重要だ。それがLTV(顧客生涯価値)の向上に結び付く。

既存顧客の売り上げ拡大が「できている企業」は、案件情報もしっかりと管理している。調査結果によると、「できていない企業」と活用の差が特に大きいのは、「製品の売れ筋情報」だ。既存顧客にどんな商品・サービスが売れているのかをリアルタイムに、正確に把握し、売れ筋ごとに顧客をセグメントとして効率的にクロスセルおよびアップセルを図っている。

また、顧客情報がマーケティング部門と営業部門など複数の部門で分散している企業も多いが、部門間でデータを統合することも大切だ。それが、顧客のニーズをより理解し、ターゲットごとに効果的な施策を打つための重要なカギとなる。

販売状況や顧客情報などをリアルタイムで把握し適切なタイミングで顧客へアプローチすることが大切

Q.

SFA/CRMで顧客情報を管理することで把握できていることは何ですか。【営業部門】(複数回答可)

既存顧客からの売り上げ拡大 できている できていない

直近の販売状況、できている、いないの差34%。顧客に対する過去からの営業活動歴、できている、いないの差47%。購入前から購入後の取引における顧客との接点状況、できている、いないの差37%
Q.

SFA/CRMで案件情報を管理することで把握できていることは何ですか。【営業部門】(複数回答可)

既存顧客からの売り上げ拡大 できている できていない

製品の売れ筋情報、できている、
										いないの差43%