日経ビジネスONLINE SPECIAL

感動のあるサービスを止めないためには?

「モノ」から「コト」の時代にITサービスマネジメントが求められる理由

消費者ニーズが「モノ」から「コト」重視へと変わる中で、今までどおりのサービスを提供するだけでは、消費者に感動を与えられない時代になっている。さまざまな気配りやサプライズを用意して、顧客に満足してもらえるようなサービスを再定義することが必要だ。そのための基盤として欠かせないのがITサービスマネジメントである。
「モノ」から「コト」の時代にITサービスマネジメントが求められる理由

消費者ニーズが「モノ」から「コト」重視へと変わる中で、今までどおりのサービスを提供するだけでは、消費者に感動を与えられない時代になっている。さまざまな気配りやサプライズを用意して、顧客に満足してもらえるようなサービスを再定義することが必要だ。そのための基盤として欠かせないのがITサービスマネジメントである。

「モノ」から「コト」へ消費者の意識はどう変わったのか?

久納 氏
ServiceNow Japan株式会社
ソリューションコンサルティング統括本部
第二ソリューションコンサルティング本部
本部長/ITSMエバンジェリスト
久納 信之
P&Gにて長年、国内外のシステム構築、導入プロジェクト、ITオペレーションに従事。1999年からはITILを実践し、ITSMの標準化と効率化に取り組む。その後、日本HPや、日本IBMにおいてITSMコンサルタント、エバンジェリストとしての活動を得て、現在に至る。

 単に性能のいい「モノ」を提供するだけでは、今の消費者には満足してもらえない。それを買うとき、あるいは使うときに、どれだけ特別な体験が得られるかという「コト」のほうがより重要だ。──これが、「モノ」から「コト」へと消費者ニーズが変化していることについて語られるときの典型的な説明である。

 しかし、「なぜそのような変化が起こっているのか?」という背景については、あまりよく知られていないようだ。変化の本質を見抜いて、それに適応するサービスを提供し続けなければ、これからのビジネス競争を勝ち抜くことはできないだろう。

 「『コト』重視の消費傾向が強まっている理由は単純で、もはや『モノ』はあふれているから。スマートフォンの普及もあり、誰もがいつでもどこでも、欲しい『モノ』を手軽に手に入れられる時代になりました。『モノ』のスペックが多少良いぐらいでは、もはや消費者は心を動かされません」

 そう語るのは、「コト」体験の提供に欠かせないプラットフォームやソリューションを提供する、ServiceNow Japanソリューションコンサルティング本部 エバンジェリストの久納信之氏である。

 「しかも、プラットフォームの登場によって、さまざまな事業者が相互にサービスを融通し、補完し合える環境が整ってきました。1つの会社だけでは限られた範囲のサービスしか提供できませんが、他社のサービスを組み入れれば、今までにない付加価値がプラスされ、消費者により大きな感動を与えられる。こうしたテクノロジーの進化が、『モノ』から『コト』へのシフトを加速させているのです」(久納氏)

鉾木氏
ServiceNow Japan株式会社
ビジネス推進担当部長
鉾木 敦司
日本HPに19年間勤務。顧客システム開発プロジェクト、ハードウェア・プリセールス、ソフトウェア・プリセールス、プリセールス・マネージャー、ソフトウェアビジネス開発に従事。2017年より現職。

 一方、「体験重視の消費が定着してきたことで、『サービス』という言葉の定義や範囲にも大きな変化が起こっています」と語るのは、同社ビジネス推進担当部の鉾木敦司氏である。

 「分かりやすくプロ野球観戦を例に挙げてみましょう。元来、プロ野球の球団が提供するサービスは『試合を見せること』でした。しかし、いい試合さえすればファンは満足してくれるというのは過去の常識になりつつあります。今では試合を見せるだけでなく、スタジアム周辺に家族連れやカップル向けの“遊び場”を整備している球団や、スタジアムを巨大なビアホールだと思って地ビールを楽しんでほしいという球団、その日の試合終了時刻に合わせて帰りの電車のダイヤを即座に調整している球団すらあります。より大きな感動や新しい感動を提供するため、サービスの定義が『試合を見せる』という本来の枠からどんどん広がっているのです」(鉾木氏)

 では、そうした変化に対応しながら、顧客に感動を提供し続けるためにはどんな考え方や仕組みが不可欠なのだろうか? 次のページから詳しく解説しよう。

「コト」体験を円滑に提供するには顧客エンゲージメントの再構築が不可欠/顧客に感動を与える考え方や仕組みを分かりやすく解説!