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サイバーセキュリティの国際会議

クラウド、IoT、AIといったデジタルテクノロジーが急速なスピードで進展し、インターネット上に「サイバー文明」とも呼ぶべき新たな社会を出現させている。一方で、サイバー犯罪はますます巧妙化し、実空間の経済・社会活動に甚大な被害を及ぼしている。そうしたなかで「安心で持続可能なデジタル社会を目指して」というテーマを掲げた国際会議「Cyber Initiative Tokyo 2018」が、2018年12月11〜12日の2日間にわたって開催された。さまざまな目標の実現や課題解決に向けて繰り広げられたパネルディスカッションや講演のいくつかに注目し、その示唆に富んだ内容のエッセンスを紹介する。

CYBER INITIATIVE TOKYO 2018 開催概要
協賛企業

 現在、全世界の半数を超える人たちがインターネットを使っている。日米欧などの先進国に限れば90%以上だ。2000年時点では10%にも満たなかったことを思えば、劇的な普及のスピードである。そして、このままの勢いが続けば、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会が過ぎた頃には、全世界のほぼすべての人々が何らかのデバイスからインターネットに接続する時代になると予測されている。

 本国際会議「Cyber Initiative Tokyo2018」の座長を務めた村井 純氏(慶應義塾大学環境情報学部教授/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長)は、その時代を「サイバー文明の到来」と表現する。科学や数学から生まれたデジタルテクノロジーが道具として発展し、モノやサービスをつくり、その上に新しい社会が築かれていくのだ。村井氏は、「すべての人類、すべての産業、すべての生活が、このサイバー文明のなかで発展していき、経済や教育、交通、健康、娯楽なども大きく変えていく」と語った。

 もっとも、未来は必ずしもバラ色の夢に包まれているわけではなく、サイバーセキュリティをはじめとするさまざまな課題や懸念も山積している。だからこそ、多くの人が1カ所に集まり、意見を交換し、議論し、学び、それぞれの立場で考えることが重要だ。本国際会議は、まさにそのリアルな交流の場として開催されたものだ。

 2日間にわたる会議を終えて日本マイクロソフトの河野省二氏(技術統括室CSO)は、「安心で持続可能なデジタル社会の実現を、IT企業の立場からデジタルテクノロジーでサポートしていく使命をあらためて認識した」という。

 これを受けて「サイバーセキュリティは終わりのないプロセスであり、常に改善策を追求し続けなければならない」と強調するのは、Kaspersky LabのAnton Shingarev 氏(Vice President of Public Affairs)だ。また、ファイア・アイの千田展也氏(GSI -Intel Support & Services , Senior Intelligence Account Analyst)も、「危険性を野放しにしたままデジタル社会を子どもたちの世代に渡すわけにはいかない。我々が強みとする脅威インテリジェンスを活かし、社会のセキュリティレベル向上に貢献していきたい」と語った。

 そしてPwCコンサルティングの山本直樹氏(パートナー / サイバーセキュリティ・アンド・プライバシー・リーダー)も、「一言でサイバーセキュリティといっても、広範なカテゴリのテーマが存在することを思い知らされた」と振り返りつつ、この日本発の国際会議を通じて世界に向けて情報発信していくことの意義を訴えた。