日経ビジネスONLINE SPECIAL

「人」の力による「人」のためのデジタル革新がビジネスを成功に導く

AI(人工知能)やロボットの活用など、デジタルトランスフォーメーション(デジタル革新)によって産業やビジネスは大きく変わり始めている。しかし、自動化や効率化によってビジネスの主役である「人」が存在意義を失っては意味がない。「ヒューマンセントリックな(人間主体の)未来」をビジョンに掲げる富士通の島津めぐみ執行役員常務と、「人」にフォーカスしたデジタル革新のためのプラットフォームを提供するServiceNow Japanの村瀬将思社長に、デジタル革新の在り方について語ってもらった。(聞き手は日経BP総研フェロー・桔梗原富夫)
「人」の力による「人」のためのデジタル革新がビジネスを成功に導く

AI(人工知能)やロボットの活用など、デジタルトランスフォーメーション(デジタル革新)によって産業やビジネスは大きく変わり始めている。しかし、自動化や効率化によってビジネスの主役である「人」が存在意義を失っては意味がない。「ヒューマンセントリックな(人間主体の)未来」をビジョンに掲げる富士通の島津めぐみ執行役員常務と、「人」にフォーカスしたデジタル革新のためのプラットフォームを提供するServiceNow Japanの村瀬将思社長に、デジタル革新の在り方について語ってもらった。(聞き手は日経BP総研フェロー・桔梗原富夫)

「人」あってこそのデジタル革新
求められる意識改革

島津 氏
富士通株式会社
執行役員常務
テクノロジーソリューション部門
デジタルインフラサービスビジネスグループ長
島津めぐみ
1987年富士通入社。インフラサービス事業本部長などを経て2016年、女性としては2人目の執行役員に。富士通製品および他社製品を含めたインフラの運用・保守サービスをグローバルに担務。19年1月より富士通エフ・アイ・ピー代表取締役社長を兼務。
村瀬 氏
ServiceNow Japan株式会社
社長
村瀬将思
1993年TKC入社、2000年iGATE Global Solutions Limited入社、09年日本HPにHP SW、PS事業本部本部長として入社。12年itSMF Japan理事に就任。14年日本HPの HPSW事業統括執行役員常務に就任。2016年1月より現職。

──もはや「デジタル革新」という言葉は日常語となり、日本の企業経営者の間でも「自分事として取り組んでいかなければならない」という意識が芽生えてきているように感じます。そこで改めてお2人に伺いたいのですが、デジタル革新を起こしていくときに必要なことは何でしょうか。

島津執行役員常務(以下、島津):デジタル革新に限らず、あらゆる革新において重要なのはトップのイニシアチブです。経営者自らが「こう変えていくんだ」という強いメッセージを発信することが大切です。

 デジタル革新においては、当然ながら技術やツールを進化させていく必要もあるでしょう。しかし、もっと重要なのは、そうした技術やツールを導入する経営者や、活用する一人一人のマインドチェンジではないかと思っています。

 そこで大切になってくるのは、たんに自動化や効率化を推し進めるのではなく、その中で「人」がいかに活躍し、幸福になれる環境を整えるかという発想を持つことです。

 言うまでもなく、デジタル革新は「人」あっての革新なのですから。

村瀬社長(以下、村瀬):島津さんの言葉には非常に共感します。ServiceNowは2004年に創業したシリコンバレーのIT企業ですが、創業当初から「人」にフォーカスした企業向けのクラウドプラットフォームの提供に取り組んできました。

 今、デジタル革新によって「第4次産業革命」という新しい波が押し寄せています。ITが急速に普及して起こった1990年代の「第3次産業革命」との大きな違いは、飛躍的な技術革新によって、誰もが簡単にテクノロジーを使いこなせるようになったことです。

島津:小さな子どもですらスマートフォンを使いこなす時代ですからね。「人」は「人にしかできないこと」に専念できるようなビジネスの在り方を追求すべきではないでしょうか。

村瀬:その通りだと思います。当社の創業者のフレッド・ルディーは、「企業で働く普通の人々の日常業務の生産性を高めるクラウドベース・プラットフォームを構築する」というビジョンを掲げてServiceNowを設立しました。

 よく「AIやマシンラーニングによって人の仕事が奪われる」と言われますが、われわれがミッションとしているのは、「人にしかできない付加価値の高いFuture of Work(新しい仕事)を生み出す」ことです。

 デジタル革新においても、人にしかできない仕事を生み出していくことが非常に重要で、そのためには島津さんがおっしゃったようなマインドチェンジ、意識改革が必要なのではないかと思います。

「人」あってこそのデジタル革新/次ページではその言葉に込めた2人の想いを掘り下げていく