消費者の“今”がロボットでわかる!? Robotics as a Service(RaaS)でツナガル、デジタルマーケティング最前線

消費者の“今”がロボットでわかる!? Robotics as a Service(RaaS)でツナガル、デジタルマーケティング最前線

電車の乗り換えや駅周辺のおすすめスポットを、ロボットが案内してくれる。そんな“未来”が、もう始まっている。先陣を切ったのは、現在池袋駅で実証実験中(3月15日まで)の「ロボティクスマーケティング® for ロボホン powered by Oracle Service Cloud」だ。ロボットをマーケティングに活用することで見えてくる地平とは何か──。このソリューションを開発したトランスコスモス株式会社と、Oracle Service Cloudを提供する日本オラクル株式会社、それぞれの担当者4人が熱く語る。
撮影場所:Oracle Digital Hub Tokyo

写真左から:トランスコスモス株式会社 デジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター統括 デジタルトランスフォーメーション本部 データビジネス統括部 IoT技術開発部 ロボティクスマーケティング課 ビジネスアーキテクチャー・AIプランナー 松村 容子氏、 日本オラクル株式会社 アライアンス統括 パートナー営業本部 支社・首都圏営業部 担当マネージャー 下新井田 佳奈氏、 日本オラクル株式会社 クラウド・アプリケーション事業統括 オラクルデジタル CX第一営業部 松田 千枝氏、 トランスコスモス株式会社 デジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター統括 デジタルトランスフォーメーション本部 データビジネス統括部 IoT技術開発部 ロボティクスマーケティング課 ロボティクス・AIエンジニア 岸本 宏典氏

接客データをデジタル化し、
マーケティングに有効活用

ロボティクスマーケティング®とは、ロボットを使ったコミュニケーションであり、そこで得られた情報をマーケティングに活かす新ソリューションだ。トランスコスモスでビジネスアーキテクチャー・AIプランナーを務める松村容子氏は、そのコンセプトをこう語る。

「ロボットは、聴覚、視覚、その他のセンサーを使って多くのデータを取得します。これまでは日報など人の主観が入り限られた内容しか残せなかった接客内容を、ロボットの接客では全量をそのままデジタル化することが可能です。それを蓄積していけば、有用なマーケティングデータ源となるのではないか。そう考えたことが、このソリューションの開発に取り組んだきっかけです」(松村氏)

単に「主観を交えないデータ」を収集するだけなら、他のデバイスでも代用できるだろう。だが、あえて人の形をしたロボットを使うことで集客効果が狙え、ヒューマノイドインターフェースで自然なコミュニケーションから生まれる「感情を可視化したデータ」を得られるところが、ロボティクスマーケティング®の妙味である。

とはいえ、流暢な会話や高度な機械学習をロボット単体で行うには限界がある。そこで、ロボットの知能を支えるエンジンとして採用されたのが、Oracle Service Cloudだ。

「Oracle Service Cloudは、26の特許を含むナレッジデータベースにより、自然言語を使った迅速な顧客対応を可能とするサービスクラウドです。お客様とのやりとりを機械学習することで、より精度の高い回答を用意できるのが特長です。また、発話した内容を品詞に分解して処理する形態素解析エンジンを搭載しているため、自然な言葉で話しかけるだけで正しい回答にたどり着くことができます」と言うのは、日本オラクルでクラウド・アプリケーションの営業を担当する松田千枝氏。

例えば、「浅草『まで』行きたい」「浅草『に』行きたい」のように助詞が変わっても、Oracle Service Cloudなら同じ回答を担保できるというわけだ。さらに、ナレッジにない新しい質問や回答を柔軟に追加できる学習コストの低さも同サービスの強み。機械学習のみに頼らず、必要時には人力によるコントロールを加えることで、より高精度かつ温かみのある対応を実現している。

実証実験(12/7~3/15)池袋駅の様子

4つの活用フェーズで進化する
ロボティクスマーケティング®

トランスコスモスでは、現在シャープのロボホンを中心としたロボティクスマーケティング®を展開している。その一つが、JR東日本グループが実施する「案内AIみんなで育てようプロジェクト」に参画し、池袋駅にて実証実験を行った「ロボティクスマーケティング® for ロボホン powered by Oracle Service Cloud」だ(2018年12月7日~2019年3月15日実施)。

これは歌って踊れるロボホンが、Oracle Service Cloudへ実装したFAQを軸に、駅や近隣案内、乗り換えなどに関する利用者の質問に答え、解決へと導くサービス。タブレットを併用することでストレスのない質疑応答を実現し、聴覚障害者とのコミュニケーションにも配慮した。

「ロボティクスマーケティング® for ロボホン powered by Oracle Service Cloud」のイメージ図

「ロボティクスマーケティング® for ロボホン powered by Oracle Service Cloudには4つの活用フェーズがあり、現在はロボホンによる声がけで集客をしつつ、Webと連携して情報提供やデータ収集を行っている段階です」と、トランスコスモスでロボティクス・AIエンジニアを担当する岸本宏典氏。

「今後はオラクル製品の拡張機能を導入し、さらなる顧客満足度の向上を目指します」と言うのは、日本オラクルでアライアンス統括を担う下新井田佳奈氏。「具体的には、他のOracle Cloudサービスと連携し、音声や動画、画面共有などでリアルタイムのコミュニケーション機能を提供する『O2Oフェーズ』、お客様との詳細な会話を実現する『コンシェルジュフェーズ』への移行を急速に進めていきます」

ロボットを通じて蓄積した接客データは、クラウドサービスやデータベース、AIなどの各種APIと連携することで、ロボットの機能拡張や、WebサイトのFAQやコールセンターなど他の顧客チャネルへの応対に反映することが可能だ。活用フェーズが進むにつれ、新しいサービスを取り込みながら着々と進化していく点も、「ロボティクスマーケティング® for ロボホン powered by Oracle Service Cloud」の魅力といえるだろう。

撮影の舞台となったのは、2019年1月に東京本社内に新たなデジタルセールス拠点として開設された
「Oracle Digital Hub Tokyo」。数寄屋造りをデザインコンセプトとした、3フロア構造となっている。

キーパーソンが語る
ロボティクスマーケティング®の未来

今回集まった4人は、ロボティクスマーケティング®にとことん惚れ込み、自信と情熱をもって開発、営業に当たっている。それだけに、今後の展開にかける期待も大きい。そこで、ひとりひとりにその展望をうかがった。

下新井田氏 今回の実証実験の事例で得た手応えをもとに、駅や空港などの公共交通機関をはじめ大手デパート、銀行、保険会社、市役所など、幅広いF2F自動化領域への導入を目指します。他のOracle Cloudサービスと連携すれば、ロボホンの画面共有機能を介して対面との同等のやりとりが可能になります。例えば損保会社にその場で車の破損箇所を見せることで手続きを迅速化したり、銀行の対面取引を遠隔で行ったりすることなども実現できるかもしれません。そのためにも、「ロボティクスマーケティング® for ロボホン powered by Oracle Service Cloud」のブランド化を推進し、トランスコスモスと日本オラクルはRobotics as a Service(RaaS)の協業をより強化していきたいと考えています。

松田氏 ロボティクスの魅力は効率・自動化ばかりではありません。ロボホンのようなコンパクトで親しみやすいロボットを使うことで、よりホスピタリティの高いサービスを実現できます。そのメリットを活かし、一般消費者向けだけではなく、企業での活用も考えています。海外進出の機会や外国人就業者も増えている今の日本企業において、多言語対応の本ソリューションがお役に立てる場面は多いのではないでしょうか。

松村氏 目指しているのは、介護・福祉の市場。この分野では作業ロボットだけでなく、コミュニケーションロボットへの期待が大きく高まっています。例えば患者さんや入居者さんとの会話をデジタル化したものとその方の生体データの関連性をAIで分析・予測し、その結果をもとに対応の検討やケアプラン作成時の参考にするというようなことも可能になります。データを活用することで介護の負担軽減や職員のスキルの均質化を図るとともに、利用者やその家族にも満足していただけるサービスを提供する一助になるということも、ロボティクスマーケティング®の可能性の一つと考えています。

岸本氏 エンジニアの使命は、ロボットが持つ魅力をさらに引き出していくこと。その一例が、現在取り組んでいるディープラーニングを用いた属性認識機能です。これは対面したお客様の年齢や性別などを瞬時に認識するもので、そのデータは属性ごとの行動や興味対象の分析に役立ちます。ロボホンに今搭載しようとしているのは、アジア系の顔でも高精度を出せることと、ネットワークを介さずに0.1秒毎に属性認識する高精度な機能。こうしたロボットをエッジコンピューティングとして利用した尖った性能と、Oracle Service Cloudをはじめとする各種クラウドの優位性をミックスさせることで、他では決して実現できない唯一無二のソリューションに育てていきたいですね。

鉄道各社・空港でのインバウンド対応ソリューションに活用され、2019年、2020年の国際的スポーツイベントへ向けての接客インバウンド対応にも期待される「「ロボティクスマーケティング® for ロボホン powered by Oracle Service Cloud」。その活躍フィールドは、今後ますます広がっていくに違いない。