プレイド代表取締役CEO 倉橋健太氏特別インタビュー

日経クロストレンド発行人・杉本が訊く なぜ今、CX(顧客体験)向上が経営課題とされているのか?

写真:プレイド代表取締役 倉橋健太氏

「どうすれば、インターネット上でユーザーを正しく理解できるのか?」という問題意識から、ユーザーを「一人ひとりの人」として可視化することに取り組んでいるのがプレイドである。「人」を可視化することによって、企業が顧客に対してより良いCX(顧客体験)を提供できる仕組みづくりとは何か。代表取締役CEOの倉橋健太氏に、日経クロストレンド発行人の杉本昭彦が迫る。

プレイドのミッションは「人」の価値を最大化すること

従来マーケティングにおいて主流だった数値分析やデータ解析ではなく、デジタルマーケティングでも顧客を「人」として認識・分析し、サービスや体験の価値を上げることを目指すプレイド。「人の価値を最大化することで、世の中に良い体験を増やしていくことが企業ミッション」と倉橋氏は語る。CXに積極投資する企業ほど業績にも結び付いているという調査結果もあり(※)、CX向上はマーケターにとどまらず、今や企業経営においても大きな課題になりつつある。

※Source: June 21, 2016, “Customer Experience Drives Revenue Growth, 2016” Forrester report
https://go.forrester.com/wp-content/uploads/Forrester-Data_Better-Customer-Experience-Higher-Revenue-Growth.pdf

写真:倉橋 健太 氏
プレイド
代表取締役CEO
倉橋 健太

大学を卒業後、楽天株式会社に新卒入社。楽天市場におけるWebディレクション、マーケティング、モバイル戦略、広告戦略等、多岐にわたる領域を担当し、楽天市場事業の成長に貢献。 2011年にプレイドを創業。2015年3月にCX Platform「KARTE」をリリース。EC・人材・不動産・金融など幅広い業種で導入が進んでおり、サービス開始から4年でのべ42億ユーザーを解析。国内有数のSaaSスタートアップとして、圧倒的な成長を続けている。主な表彰として、デロイトトーマツFast50 2018 第3位、Forbes Cloud/SaaS Ranking2018 4位、他

杉本:「データによって人の価値を最大化する」という企業ミッションは、どこから生まれたのでしょうか。

倉橋氏:もともと私は楽天市場でディレクションやマーケティングを行っていたのですが、ユーザーから収集・分析したデータが活用される場面が世の中にはあまりにも少ないと感じていました。インターネットの世界では、物事を定量で計測できるという利点がある一方、仕事の対象がどうしても「数字」になってしまい、その数字を構成している「人」や、人が織り成す行動の「文脈」が見えにくくなってしまいます。

この文脈への洞察が欠落した状態で価値を提供しようとしても、真の意味でのCX向上にはつながりません。今、インターネットの世界ではユーザーの選択肢がどんどん広がっていて、価値のコモディティ化が進んでいます。その中で生き残っていくのはユーザーとしっかりとつながりをつくることができる企業です。提供する価値を、誰のどんな「文脈」に届けていくのか。ここに企業の哲学が反映されていくでしょう。私たちはあらゆる企業の仕事の対象を数字から「人」へ回帰させることを事業の目的にしています。

数字ではなく、人の「文脈」を重視 人を軸にCXを創出する

プレイドは、ユーザーの本質を暗黙的に示すのは膨大なデータに蓄積された数億人の行動ログではないかと考え、その行動ログを「Action Graph」と呼んでいる。Action Graphという行動の履歴を見ていくと、ある行動が起きた原因やその人の行動の傾向がわかってくる。それをリアルタイムに紐解くことができれば、今持っている悩み、探しているものは何かといった、ユーザーの「今」を捉えることができる。「顧客の『今』を汲み取り、届けるべき情報やサービスを最適化することを目指している」と倉橋氏は語る。パーソナライズされた情報を届けることで、対面接客のような質の高いコミュニケーションが可能になっていくという。

写真:杉本 昭彦 氏
日経クロストレンド発行人
杉本 昭彦

日経BP社で調査部門などを経て、雑誌「日経ネットナビ」、日本経済新聞社東京編集局産業部などでインターネット業界の取材を長年続ける。2018年4月より日経クロストレンド開発長 兼 日経クロストレンド副編集長、19年4月より現職。日本ディープラーニング協会G検定(ジェネラリスト検定)合格。

杉本:インターネットの世界で「人」を見るというのは、どういうことなのでしょうか。

倉橋氏:デジタルマーケティングの初期においては、マーケティングの結果はPV(ページビュー)やクリック数で計測されてきました。その後、誘導した顧客をいかにコンバージョンするかという点が着目されるようになり、今後はLTV(ライフ・タイム・バリュー)が重要な指標になってくると考えられています。

しかし、多くの企業がコンバージョンを生むために利用しているMA(マーケティングオートメーション)などのツールやカスタマージャーニーなどの手法は、どれもユーザーの行動を何らかのパターンに当てはめ、パフォーマンスの効率化を図るものが多いのです。

企業と顧客の持続的な関係性の指標であるLTVを最大化させるためにはもっと個人としての「人」の文脈に沿ったCXを積み重ねることが必要です。

写真:対談の様子

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