日経xTREND SPECIAL

複雑な状況下でいかにしてマーケティングを成功させるのか? デジタル時代を生きるマーケターにおくる3つの鍵

消費者理解を進める上でデジタルテクノロジーが重要な手段の1つとなった今、従来のマーケティング手法だけでは立ち行かなくなってきた。デジタル時代の複雑な状況下で、いかにマーケティングを成功させるか。「デジタル時代を生きるマーケターにおくる3つの鍵」をテーマに、P&Gジャパンや資生堂などでブランドマネジメントやマーケティング組織の構築を行ってきた音部大輔氏と、トレジャーデータのマーケティング担当ディレクター堀内健后氏、そして日経クロストレンド発行人である杉本昭彦による鼎談をお届けする。

3年後にどうなっていたいのか?
大切なのは、目的を明確化すること

杉本:マーケターの仕事は、昔はテレビCMのような大きな施策を一発うって、あとは営業がしっかり売れば成功でした。ところが今はそれだけじゃなくてSNSなどデジタルなものがどんどん出てきて、スマホサイトや自社サイト、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)に営業まで、連続的かつ包括的なつながりが必要な時代になりました。そうしたものが複雑に絡み合った状況下で、どのようにしてマーケティングを進めていけばいいのでしょうか。

音部 氏
音部大輔
クー・マーケティング・カンパニー
代表取締役
P&Gジャパンに17年在籍し、資生堂ジャパンではCMOを務めるなど25年以上にわたりブランドマネジメントやマーケティング組織の構築に従事。2018年1月より現職。博士(経営学 神戸大学)

音部:まず真っ先に取り組むべきは、例えば3年後にどうなっていたら我々のゲームは勝ちなのかを明示すること。つまり、目的を明確化すること。それが1つめの鍵です。「どこに行きたいのか、どういう演奏をしたいのか」が分からないと先へは進めません。ただ、目の前にある手段を連携させればいいというものではないですよね。

堀内:手段か目的か、というのは我々にとっても難しいテーマで、DMPやCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)を作る、データを統合することが目的化してしまうケースがある。するとそれができたときに、これを使ってやりたかったことは何だったのか? という事態に陥ることがあります。

杉本:ついマーケターとしてはDMPやCDPといった新しいツールが登場すれば使ってみたくなる心理も分からなくないですが、単にそういうことではないと。

堀内 氏
堀内健后
トレジャーデータ株式会社
マーケティング担当ディレクター
東京大学大学院修士課程修了。日本アイ・ビー・エム株式会社、マネックス証券株式会社などで幅広い経験を積む。2013年にトレジャーデータへ入社。PRやマーケティング、事業開発までを担当する

堀内:テクノロジーの進化によって、目的を果たすための手段も進歩していくと思うんです。ネットワークが重要になったり機能が変化して、それに伴って戦略や組織もガラッと変わる。ですから何のためにそのサービスを使えばいいのか、我々としてはセミナーや具体的な事例を紹介することで理解を深めていただくよう取り組んでいます。

音部:誰も未来を予想することはできないですからね。でも、例えば今3%あるシェアを6%にしたいのか、10%にしたいのかでやり方は全く変わってくる。何となく成長したいではなく、「なぜ6%なのか」「なぜ10%なのか」、そして「なぜならば」をできるだけ具体的にイメージすることができれば、そこに至るプロセスの全体像を把握することに役立つのではないかと思います。

マーケティングを成功させるために重要な第1ステップは目的を明確にすることだという。その目的をかなえるために必要な残り2つの鍵とは何なのか? 次ページでは、より具体的な話を掘り下げていく。