日経XTREND

special talkMUFGのデータ活用戦略にみる
ビジネス変革を起こすための
4つのステップ

データは、めまぐるしく変化する顧客ニーズをつかむための重要な企業資産だ。それにいち早く気づき、DX(デジタルトランスフォーメーション)の要としてデータ活用を積極推進してきたのが三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)である。同社 執行役員CDO(最高データ責任者)兼 経営情報統括部長の櫻井貴之氏と、クラウドデータ分析プラットフォームのリーディング企業であるテラデータの日本法人 代表取締役社長 髙橋倫二氏、日経クロストレンド発行人の杉本昭彦が、日本企業のデータ活用の課題と打開策について議論を交わした。

chapter01

データ活用で既存業務の強化と
新規ビジネスを創出

杉本:データ活用については、多くの経営者がその重要性に気づいているはずですが、積極的にデータ活用を行っている企業はまだ少ないようです。そこで注目したいのがMUFGの取り組みです。今日ほどデータ活用が叫ばれていなかった2014年に、いち早くCDOというポジションを設けられたことには、企業としての先見の明を感じます。

櫻井:ありがとうございます。そもそもCDOは、リーマンショック後、世界の金融機関により正確な経営状況の把握と報告が義務づけられたことに対応して設けたポジションですが、その後の急速なテクノロジーの進化や顧客ニーズの変化とともに、データ活用に重きを置いた役割を担うようになりました。

MUFGは2020年を最終年度とする中期経営計画でデジタライゼーション戦略を構造改革の柱のひとつとしていますが、なかでもデータ活用は非常に重要な項目であり、次の中期経営計画ではさらに重要性が増すものと認識しています。

杉本:CDOである櫻井さんの指揮の下で、MUFGは具体的にどのようなデータ活用に取り組もうとしているのでしょうか。

櫻井:当行におけるデータ活用の方向性は大きく2つに分かれています。1つは、既存業務の効率化やサービス向上を推し進めること。もう1つは、新規ビジネスの創出です。

既存業務では、これまでもデータ活用が行われていなかったわけではありませんが、そのカバー範囲が限定されていたことに課題を感じています。

MUFGは約3400万人の国内個人のお客様と、約120万社の国内法人のお客様がいらっしゃいますが、営業担当者が常にリレーションできているお客様は、そのうちの一部にすぎません。すべてのお客様のニーズや行動を把握し、適切な提案をタイムリーに行っていくためには、データ活用の仕組みを整えて、従来の営業アプローチそのものを変革していかなければならないでしょう。

また、商品やサービスありきで、それをお客様にいかに提案していくかというアプローチが中心だった既存ビジネスに対し、新規ビジネスでは、その発想を完全に逆転させることが必要だと考えています。「お客様は何を必要とされているのか?」とニーズを探り、そこから適切な商品・サービスの開発、提供を行うという取り組みを始めています。

マイナス金利環境への対応策としても、積極的にデータを活用してお客様のニーズを捉えることで、収益性の高い新規ビジネスの立ち上げにつなげたいと思っています。

杉本:金融に限らず、あらゆる業種の企業の中でもMUFGの取り組みはかなり先進的なもののように感じます。次からは、その具体的な取り組みに迫るとともに、データ活用のプロフェッショナルである髙橋さんに、企業が取り組むべきデータ活用の正しいアプローチについて詳しく聞いていきたいと思います。

Profile
櫻井貴之氏
櫻井貴之氏
1994年、三菱銀行(現:三菱UFJ銀行)入社。10年以上にわたりシンガポール支店、米国ユニオンバンクなど海外拠点運営に従事。帰国後はリスク統括部、経営企画部にて本部管理業務を歴任。2020年4月、執行役員CDO兼経営情報統括部長に就任し、データ領域から同行のデジタライゼーション戦略を推し進める
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