顧客起点のDX

社会のデジタル化が進む現代において、ビジネスで勝つには
自社のデジタルトランスフォーメーション(DX)を成し遂げなければならない。
DXは単なるビジネスプロセスのデジタル化ではなく、イノベーションが必要だ。
新型コロナウイルス感染拡大で事業環境が激変する今、DXは最優先課題と言っても過言ではない。
様々な企業のDXをデータ活用で支えている
データとアナリティクスのリーディング企業であるテラデータは
DX成功には「顧客起点」のアプローチが必要だという。
本シリーズでは、「顧客起点のDX」の核心に迫るとともに、企業が優先すべき取り組みを追求する。

VOL.1 SPECIAL鼎談

DXへの取り組みで
成果を生み出す企業と
うまくいかない
企業の差とは

日本テラデータ株式会社 代表取締役社長 髙橋 倫二氏
IT批評家 尾原 和啓氏
日経BP 日経クロストレンド発行人 杉本 昭彦氏

この記事はリモート取材で作成されました

DXへの取り組みが喫緊の課題となっている今、成功のカギとなるのはデジタル化で集めたデータの活用だろう。ビジネスプロセスや顧客をデータから理解し、ビジネスを最適化する、ひいてはイノベーションを起こさなければならない。だが、アプローチの誤りから、せっかくのデータを生かしきれないケースもあるようだ。今後、オフライン行動さえデータ化され、オフラインがデジタル世界に包含された「アフターデジタル」の時代が訪れると言われる中で、ビジネスで勝ち抜くにはデータをどう活用すべきなのか。日本テラデータ 代表取締役社長の髙橋倫二氏とIT批評家の尾原和啓氏に、日経クロストレンド発行人の杉本昭彦が訊いた。

不十分ながら方向性は正しい。
日本企業のデジタル化

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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今回の鼎談はリモートで行われた。IT批評家の尾原氏はシンガポールから参加。期せずして国境を越えた鼎談が実現した

杉本:尾原さんの著書『アフターデジタル』(ビービット 藤井保文氏との共著、日経BP)では、モバイルやセンサーが偏在すると現実世界にオフラインがなくなり、デジタル世界に包括されるような状況を「アフターデジタル」と呼んでいらっしゃいますよね。

そうした状況へ進んでいくと、まず企業でデジタル化を推進し、その中でも日々生み出される膨大なデジタルデータをいかに活用してイノベーションを起こすか、ということがビジネスにおいてますます重要になるのではないでしょうか。

尾原:その重要性に早い段階で気づき、積極的に活用しているのが中国です。中国ではキャッシュレス社会がいち早く実現しましたが、これは現金をなくすことよりも、決済をデジタル化することで浮かび上がる消費者の行動データや信用データなどを、次のビジネスに生かしていくことに大きな狙いがあります。

さらに、現金の受け渡しがなくなると、例えばコーヒーショップの店員は、もっと丁寧においしいコーヒーを淹れるといった、本来やるべき仕事に専念できるようになります。決済のデジタル化はカスタマーエクスペリエンス(CX)を高めるためにも自然の流れだったのです。

髙橋:そうした中国の状況と比べると、日本のビジネスのデジタル化はかなり遅れています。当社が行った調査によると、「すべての業務がデジタル化されていますか?」との問いに、「はい」と答えた企業が最も多かった国は中国で約20%に上りました。日本では「はい」と答えた企業はゼロです。

とはいえ、正しい手順でデジタル化を進めようとはしています。「どの業務からデジタル化を進めていますか?」という問いについて、欧米や中国では「IT管理」との答えが多数だったのに対し、日本では「顧客サービス」と答える企業が多かったのです。

DXを成功させるためには、顧客起点でのビジネス改善が何よりも大切ですから、日本企業の取り組みの方向性は正しいと思います。大切なことは、デジタル化を着実に進めて、顧客を理解し、イノベーションを起こすデータ活用の方法を見極めることができるか、ということです。手順を間違えることなく、その取り組みに集中投資していくことが必要となります。

私どもテラデータは、そのアプローチとして、「Invest in Answers.」、つまり「答え」に投資すべきであると提唱しています。