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庭山一郎氏
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primeNumber
下坂悟氏
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ヤプリ
阿部昌利氏
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ヤプリ
井上魁人氏
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ヤプリ
金子恭之氏
部門のサイロ化を解消するために生まれたRevOps
売り上げを創出する企業のフロント部の先鋭化が進んだことがきっかけで、RevOpsは誕生した。国内BtoBマーケティングの第一人者である庭山 一郎氏は次のように説明する。
「1990年代に生まれたBtoBマーケティングのファネル(顧客が商品購入に至るまでの流れ)を基に、需要喚起のためのMA(Marketing Automation)ツール、パイプライン管理にSFA(Sales Force Automation)ツールと、テクノロジーが進化しました。しかし時を経て、マーケティング強化のためのMOps、セールス強化のためのセールスイネーブルメント、そして既存顧客とのエンゲージメントを強化するカスタマーサクセスが登場します。それぞれが最適化を目指した結果、部門のサイロ化が進んでしまったのです」
このサイロ化の弊害が大きくなったことで生まれたのがRevOpsである。
RevOpsは、企業の収益(Revenue)の最大化を目指すための組織または仕組みを指す言葉である。マーケティング(CMO)・セールス(CSO)・カスタマーサクセス(CCSO)といった各部門の業務プロセスを統合的に管理・調整し一貫したアプローチを取ることで、企業の継続的な成長を実現する。RevOpsを実践する際は、CRO(Chief Revenue Officer:最高収益責任者)を設置するケースもある。
日本企業でRevOpsを進めるべき理由
「各部門で目標・KPI、ツール、データが分断されています。特にデータの分断が起こると、ナーチャリングやリテンションの精度は下がる一方となり、収益に結び付かない状態に陥ります」
サイロ化の弊害についてこう語るのは、企業のデータ活用による収益最大化を支援するデータ領域の専門家集団である、primeNumberで取締役執行役員COOを務める下坂 悟氏である。ここでいうデータの分断は「表記がバラバラで名寄せできない」という問題だけではない。部門ごとに、ビジネス上のデータの定義が異なることも問題となる。
例えばAという商材の顧客企業は、B商材を扱っている部門から見れば「導入前の見込み顧客」になる。長く事業を営んできた企業ならば、こうした部門間の定義の違いは珍しくない。新規顧客を開拓するビジネスモデルではなく、日本の大企業でよく見受けられる既存顧客のアップセル・クロスセルが主軸のモデルでは、従来のBtoBマーケティングのフレームワークではデータとプロセスの分断を加速するだけである。
そのような企業で収益向上を実現するには、各部門でサイロ化している業務・データを横串で連携し、全体最適化したプロセスを構築しなくてはいけない。これこそ日本企業にRevOpsが必要な理由である。
いち早く日本型RevOpsに取り組んだヤプリ
とはいえ、ちまたで提唱されているRevOpsをそのまま自社で展開するのはハードルが高い。場合によっては、マーケ組織がない、もしくは機能していない企業もあり、ビジネス規模やフェーズによってもやり方は異なってくる。
庭山氏は「日本企業にRevOpsは必要ですが、導入に当たっては米国型のRevOpsをそのまま踏襲するのではなく、日本型の独自のRevOpsを実践する必要があります」との見解を示す。また下坂氏は「RevOpsの軸となるデータを活用した組織間連携においては、統合データの整備、組織間でのデータの可視化、そしてデータを活用する文化の醸成と変革という3つが欠かせません」と解説する。
そんな日本型のRevOpsにいち早く取り組んでいる企業が、ノーコードのアプリ開発プラットフォームサービスを手掛けるヤプリである。
ヤプリでは今後の事業に向け、2025年1月に事業推進部を設立した。「事業推進部の大きな役割として期待されているのが、事業全体の課題の把握・可視化と最適化を行うRevOps機能です」とヤプリ ビジネス統括本部事業推進部 事業推進グループの金子 恭之氏は語る。
ヤプリでは以前から部門のサイロ化が課題となっていた。部門間でデータを共有・分析するダッシュボードもあるものの、正確な数値が反映されていない状況だった。
「開発当初、部門ごとにダッシュボードで確認したい指標を決めてもらいました。しかしその指標の定義がバラバラだったため、部門同士で連携しようとすると齟齬が生じたり、うまく引き継ぎができなくて数字が変わってしまったりする状況に陥っていました」(金子氏)
これを解決するため、組織横断で部門間連携を促す取り組みを進めることになり「行き着いたのがRevOpsでした」(同 プロダクト開発本部 データサイエンス室 室長の阿部 昌利氏)
最初に取り組んだのが、リードから受注、既存顧客に至るまでのデータを正確に把握するためのダッシュボードの再作成だった。primeNumberが提供するクラウドETLサービスの「TROCCO」を用いて、Salesforce(SFA)で管理しているデータを分析基盤に収集し、独自のダッシュボードを構築した。
RevOps推進に不可欠なデータ整備を実行し、全社で方針を共有可能に
事業推進部ではデータや用語の定義のバラつきを解消するため、データウェアハウスをはじめとするデータ分析基盤に集約したデータの抽出ロジックやデータラベルの意味を改めて定義し直すことにした。
企業内でデータ活用を定着させるには、データの価値認識を醸成することが重要である。そのためには、ガバナンスを確立して信頼できるデータを整備し、ダッシュボードなどで可視化することで誰でも利用できる形にデータを民主化して、それらの分析からビジネスインパクトを生み出す成功体験を繰り返し作り出すことが近道である。ヤプリもこれを念頭にRevOpsに挑戦したが「ダッシュボード作成とガバナンスを往復しながら同時並行で進めることになりました」と、同 プロダクト開発本部 データサイエンス室の井上 魁人氏は振り返る。阿部氏は「実際にダッシュボードを作成したからこそ、ガバナンスに立ち戻る必要性が見えてくるので、行きつ戻りつしながらも前に進むことができました」と評価する。
こうしてデータを軸に各部門の連携が進み、データが組織の共通言語となったことではじめて、ヤプリは経営陣も含めて会社全員が同じ方向を見て意思決定できる地盤が整った。同じ目線で収益戦略を語れるので、業務スピードも加速し始めている。また、社内ではデータ活用の機運も高まり、データサイエンス室にはデータ活用の相談が多く寄せられるようになった。
ヤプリは今後、部門連携による更なるデータ活用の促進とPDCAの強化・加速を進めるとともに、組織全体の成果とモチベーション向上に向けてRevOpsを推進していく方針である。
