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半導体業界には未来の工業技術が先行投入される、SEMICON Japan 2018 でイノベーションの種を探そう

半導体産業は、技術開発にケタ違いの巨額の資金が投入される産業である。そこでは、最新の科学的知見を生かした先端技術が次々と生まれている。しかも、1個のチップを作り出すために必要な技術は、機械、材料、制御、テスト、生産管理、品質管理など幅広く、その1つひとつが高度である。SEMICON Japanは、半導体業界の人たちだけに向けた展示会ではない。あらゆる製造業にイノベーションを生む可能性を秘めた未来技術が数多く出展される。SEMICON Japan 推進委員会の委員長を務める村田機械代表取締役社長の村田大介氏に、世界の半導体産業を取り巻く状況と、あらゆる製造業に新たな気づきと交流の場を提供するSEMICON Japanの価値について聞いた。

村田 大介 氏
村田機械 代表取締役社長

――2018年の半導体業界の状況はいかがでしょうか。

村田 世界半導体市場統計(WSTS)の予測によると、2017年の半導体市場は予想を超える成長を遂げ、4122億米ドルに達しました。2016年には3389億米ドルだったわけですから、たった1年で21.6%成長したことになります。さすがにこの成長のペースは速すぎるだろうということで、2017年秋の時点の予測では、2018年の市場成長率は7.0%にスローダウンするとみていました。これでも立派な成長産業なのですが、2018年春には12.4%成長と、予測が上方修正されました。半導体業界は、引き続き堅調に伸び続けています。これは、私たち製造装置メーカーの肌感覚ともほぼ一致するものです。

応用が多様化し、成長に安定感

――恐ろしいほどの成長ですね。これだけハイペースで成長している要因は。

村田 これまでの半導体業界は、パソコンやスマートフォンなど限られたアプリケーション市場に牽引されてきました。これが今では、自動車、ヘルスケアなど様々な用途で多種多様な半導体が数多く使われています。さらに、5Gの実用化が目前に迫っていますが、通信技術の進化もまた、多くの半導体を必要とします。電子機器で扱うデータ量が増えることがさらに、半導体デバイスの需要を押し上げるという相乗効果を生んでいます。

――市場の牽引役が多様化し、成長に安定感が出たことを考えれば、まだまだ伸びそうですね。

村田 2019年は4.4%成長と、かなり手堅い予測がされています。2019年に中国の半導体工場が次々と稼働し始めることが、需給バランスや市場価格に及ぼす影響を織り込んでいるのでしょう。直近で歴史的急成長を遂げてきたわけですから、しかるべき調整が来て当たり前と考えています。その一方で、予測以上に成長する可能性が依然としてあります。需要の伸びが大きければ、中国の増産部分も容易に吸収されるかもしれません。

成長を支える人材の獲得が必須

――半導体デバイス市場の動きは、製造装置業界にはどのような影響を及ぼすのですか。

村田 中国では、メモリー向けとファンドリー向けの300mmラインの新設が中心です。SEMIの2018年年央の半導体製造装置市場の予測では、2019年の中国市場は2017年比で倍増し、地域別市場規模のトップになるとみています。ただし、世界の製造装置業界の裾野は広がっています。300mm工場の新設だけではなく、パワー半導体やアナログIC、センサーなどを生産するための200mm工場のリニューアル、後工程の自動化など様々な案件が出てきています。先ほどお話ししたような用途の拡大によって、デバイス市場の市況の変化に対する安定性が増しました。これから、韓国や中国の装置メーカーも力をつけてくるでしょう。しかし、商材の多角化は技術を持つ日本の装置メーカーに有利な市場を生むと思います。

――半導体製造装置メーカーは今、何に挑戦すべきだと思われますか。

村田 お客様からの要求は、年々、日々厳しくなる一方です。技術的には、さらなる微細化の追求と環境負荷の軽減が当面の課題です。違った側面から考えると、特に米国、欧州、日本では半導体業界にいかに人材を引き寄せるかが課題になっています。中国など新興国での人材の集まり具合を横目で見れば、長期的競争力を維持する上で欠かせない条件であることは明らかです。さらに、半導体業界以外の応用側の企業、電子部品メーカーなどとの「CONNECT」・つながりを深めることが課題となってきます。

――応用側が描く未来は、半導体デバイスの進化をあてにしている側面があります。半導体業界の責任はますます重くなっていますね。

村田 その通りです。自動車の電子化・電動化、AIの進化などでは、さらに高性能な半導体が求められてきます。さらに生活や仕事に密着したデータを扱う機会が増えれば、万全のセキュリティー対策も求められます。その解決策自体にも半導体の進化が欠かせません。ここにもまた、相乗作用が見みられます。

SEMICON Japanは未来技術見本市

――SEMICON Japan 2018では、誰に、どのようなメッセージを届けるのでしょうか。

村田 商談の場の提供ももちろん大切ですが、様々な業界の人の出会いと交流の場となることをより重視しています。現在の半導体業界は、極めて多様な応用での成長に牽引されて、急成長を遂げています。将来の半導体業界の行方を見通すためには、人々の生活や社会の動きを複眼的に捉らえる視点が重要になるでしょう。より幅広い業界の、より多様な立場の方々に集ってもらい、半導体技術の可能性と、それによって生まれる応用の広がりを肌で感じてもらえる工夫をしています。

――半導体の製造技術は、莫大な開発費を投入して生み出した各分野の最先端を持ち寄って作られています。半導体業界以外の人が来場しても見どころが多そうです。

村田 私どもの会社は、様々な展示会に出展する機会があるのですが、SEMICON Japanほど、多様な業界から来場者が集まる展示会は珍しいと感じています。

 出展する企業の多くは、半導体用の装置や材料だけを作っているわけではありません。他業界に向けても幅広く製品を提供しています。ただし、半導体用の製品に投入されている技術は、その企業の最も進んだ分野である場合が多いと思います。他業界にこれから新技術として展開されるものが、半導体業界に先行投入されていると見ることもできるのです。

 例えば、有名なブランドの日本酒の生産では、雑菌を取り除く工程に半導体用のフィルターの技術が使われていると聞きます。弊社でも様々な業界に向けた物流システムを扱っていますが、クリーン搬送で培った技術が将来、医療や生化学分野での自動化に応用できる日がくるかもしれません。半導体製造に用いられる技術の活用によるイノベーションの可能性は、これからますます増えてくるのではないでしょうか。

――半導体用の技術を応用することで、様々な業界にイノベーションをもたらす可能性があるわけですか。SEMICONJapanは、もはや半導体業界だけにとどまる展示会ではありませんね。

村田 最先端の半導体技術は、他業界にとってブレークスルーの宝庫です。SEMICON Japanの展示は、他業界の人たちが見ても発見が多い展示会だと確信しています。これまでSEMICONJapanに来場したことがない方々も、ぜひ足を運んで未来のイノベーションの種を探していただきたいと思います。

PROFILE
村田 大介(むらた だいすけ)氏
1984年  京セラ株式会社に3年間勤務後
1987年  村田機械株式会社 入社
2003年  代表取締役社長
日本繊維機械協会会長、日本物流システム機器協会副会長、ビジネス機械・情報システム産業協会監事などを務める。