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少子高齢化社会の労働力を創り出す パレット荷降ろし作業を自動化し、商品をティーチレスで識別 東芝の自動荷降ろしロボット

※記事中の情報につきましては、すべて取材時点のものとなります。
物流需要が増大する一方で、労働力確保が課題となる中、東芝はパレットに積み付けられた飲料などの重量のある梱包箱をコンベアに自動的に投入する「自動荷降ろしロボット」を新たに開発した。郵便区分機などで培った画像認識技術によって、事前の登録や学習のいらないティーチレス運用を実現。既存コンベアラインにも容易に設置できるコンパクトさも特徴である。

ネット通販の利用拡大、スーパーなどが取り扱う商品数の増加、企業間のサプライチェーンの高度化などを背景に、物流の取扱量が急増している。例えば国土交通省が発表した「平成28年度 宅配便取扱実績について」によれば、2016年度の個人向け宅配便取扱個数は2015年度に比べて7.3%増加、40億1861万個にのぼる。

一方で、大きな課題になっているのが物流を支える労働力の確保である。国内の労働力人口が減少していることに加えて、重い物も扱わなければならないので体力的にきつい、倉庫は空調が効いておらず夏は暑く冬は寒い、立ち仕事を強いられる、といった点が敬遠されがちだからだ。

急増する物流需要と不足する労働力という課題の中、切り札と目されているのが自動化やロボット化である。荷物を仕分けするソーティングシステム(ソーター)はすでに多くの物流倉庫に導入されているほか、ピッキングシステムや自走ロボットの導入も加速しつつある。

パレットからの荷降ろしロボットを新たに実用化

柚井 英人 氏
東芝インフラシステムズ株式会社
セキュリティ・自動化システム事業部
ロボティクス・画像セキュリティ事業責任者

今や企業活動や生活にとって不可欠な存在になっている物流の課題を解決しようと、新たな取り組みを進めているのが東芝だ。

「東芝は1967年に、手書きの郵便番号に対応した自動郵便区分機を世界で初めて開発(東芝調べ)するなど、自動化や機械化に取り組んできた歴史があります。物流分野は当社として初めてとなりますが、社会的なニーズも高いと考え、数年前から研究開発を進めてきました」と、東芝インフラシステムズ セキュリティ・自動化システム事業部の柚井英人氏は説明する。

同社が物流業界向けロボットの第一弾として実用化したのが、パレット上の荷物をコンベアへと移し替える自動荷降ろしロボットである(図1)。物流用語でいう「デパレタイズ・ロボット」(de-palletizing robot)あるいは「デパレタイザ」(de-palletizer)に当たる。

350ml缶ビール×24本や2Lペットボトル×6本などの飲料、液体洗剤、5000枚入りのA4コピー用紙など、重さや嵩(かさ)のある箱単位の商品が主な対象だ。

「当社独自の画像認識技術により、梱包箱に印刷されたデザインなどから箱の大きさや積み方などを自動的に認識するのが特徴で、事前の登録や学習が不要な、いわゆるティーチレスでの運用が可能です」と柚井氏は特徴を説明する。

そのほか、商品にキズをつけない独自の把持(はじ)機構や、既存のコンベア脇にも設置が可能な省スペース設計などの特徴を備える。

メーカーや卸からパレット荷姿で入荷した商品を、各店舗別に仕分けして出荷する流通倉庫やターミナル型倉庫に適したロボットで、作業員の負担軽減や荷捌きの効率向上が図れるとして、業界からも注目を集めているという。

続いて、機能や技術の具体的なポイントを見ていこう。

図1 東芝が開発した自動荷降ろしロボット
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● パレットからの荷降ろしロボットを新たに実用化
● 画像認識によりティーチレスでの運用を実現
● 独自の2面把持によって安定したコンベア投入を実現
● メカトロ技術を生かして多様なロボット開発に挑む
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