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xTECH EXPO 2018レビュー

日経 xTECH EXPO レビュー

デジタル技術の進化とともに社会・産業の変革が急速に進む中、大型イベント「日経 xTECH EXPO(クロステック・エキスポ)2018」が開催された。エンタープライズICTやクラウド、AIなどのテクノロジー分野に加え、ものづくり、建設、金融、ヘルスケアといった様々な産業のビジネス変革にまでフォーカスした展示や講演を通じ、技術とビジネスのクロス領域で起こるイノベーションの最前線を体感できるイベントとなった。

基調講演10月17日(水)

安全・快適な空の旅を実現する
人財とテクノロジーの融合

赤坂 祐二 氏
日本航空株式会社
代表取締役社長
赤坂 祐二

 日本航空はテクノロジーを活用した働き方改革を推進している。「働き方改革で得た生産性向上の成果やリソースを、新たな価値創造やイノベーションにつなげ、このサイクルを回していきます」と日本航空の赤坂祐二氏は話す。

 赤坂氏はまず働き方改革に向けた整備プロジェクトを紹介。専用のモバイルアプリを導入し、整備業務のプロセス変革や航空機の整備品質と定時運航の向上を目指したものだ。従来は整備士がオフィスで整備の事前準備をし、整備終了後は報告書を作成していた。

 「モバイルアプリの導入後はすべての作業が整備現場で行えるようになりました。作業現場とオフィス間の移動やオフィスでのドキュメントワークから整備士を解放することで、働き方改革につながっています」と赤坂氏は成果を説明する。

 そうして捻出した整備のリソースを新たな価値創造につなげる一例として、予防整備の取り組みを説明した。航空機の運航時に収集されるセンサーデータを活用して故障予測分析を行い、故障する前に部品を交換するなどの予防整備を可能とするものだ。「データアナリストの分析に整備士の知見を組み合わせることが重要」として、予防整備のプロジェクトには整備士が参加している。 

 そして、品川に開設した「JALイノベーションラボ」を紹介。空港や機内を模したスペースを設け、社員のアイデアを検証したり、パートナーと協働して新サービスを検討したりするなど、「新しい付加価値やビジネスを創出するイノベーションの場」と赤坂氏は述べた。

基調講演10月18日(木)

生産性向上と働き方改革で
最大限のパフォーマンスを発揮

髙田 旭人 氏
株式会社ジャパネットホールディングス
代表取締役社長 兼 CEO
髙田 旭人

 ジャパネットホールディングスの戦略は、カタログなどのペーパーメディア、テレビ、ネット、ラジオを活用した「メディアミックス」、商品を絞り込んで徹底的に販売する「少品種多量販売」、商品の仕入れからアフターフォローまで自社で責任を持つ「自前主義」、教育サポート体制の充実など長く働ける環境づくりの「社風」にある。「これらの戦略と特徴を活かし、グループ全体を通してお客様への貢献を実現しています」とジャパネットホールディングスの髙田旭人氏は強調する。

 そして、「生産性は投入資源の成果を最大化すること」と述べる髙田氏は、その方法を説明。仕事の選択と集中で生産性を高める範囲を決めることや、投資資源削減のためのシステムの活用や、フリーデスク化など職場環境の改善、成果を高めるための働き方改革の取り組みを話した。

 ジャパネットグループでは、(1)仕事の生産性を上げ最大限のパフォーマンスを発揮する、(2)プライベートを充実させて、人生を豊かにする、(3)従業員一人ひとりが成長し、世の中に貢献できる人・企業を目指すことを掲げている。

 従業員のプライベートを充実させるために、勤怠ルールの改善や、最大16連休のスーパーリフレッシュ休暇導入、健康経営の推進などの制度を設ける。例えば勤怠ルールの改善策として、インターバル制度や週2回のノー残業デー、退館時間の徹底を進める。「従業員が働きやすい職場環境づくりに向け、徹底的に働き方改革を進めています」と髙田氏は取り組みを話した。

基調講演10月19日(金)

安全・快適なモビリティ社会に向け
トヨタが目指す自動運転の未来

James Kuffner 氏
Toyota Research Institute-Advanced Development,Inc.
CEO
James Kuffner

 Toyota Research Institute-Advanced Development(TRI-AD)は、自動運転技術の先行開発分野での技術開発を促進するため、2018年に東京に設立された。そのCEOを務めるJames Kuffner氏は、トヨタはAIや情報通信技術、生産技術、モビリティアプリなどを組み合わせ「新たなモビリティソリューションを世界に提供していく」という。そして、移動手段をサービスとして提供するMaaS(Mobility as a Service)では、自動運転がカギを握ると指摘した。

 トヨタの自動運転への取り組みの一環として、AI技術などの開発拠点となる米国TRIの活動を紹介。AIや自動運転、ロボティクスなどの技術の研究を通じ、だれもが安心して安全・自由に、より豊かに暮らせる社会の実現を目指している。

 続いて、自動運転のコア技術となる認識、予測、判断を実現するセンシング技術について解説。最新のセンシング技術を搭載したTRIプラットフォーム3.0では、「レーダーやセンサー、カメラなどで情報を収集し、それらの情報を融合することで車の周囲の状況を推定します。さらに地図情報などを組み合わせることで自動運転を可能にします」とKuffner氏は話した。将来、MaaSの自動運転技術が普及するようになれば、都市のデザインも変わるという。シェアリングにより車の稼働率が上がるので、駐車場を有効活用することも可能だ。

 今後についてKuffner氏は、「安全・快適なモビリティ社会の実現に向け、トヨタブランドにふさわしい自動運転のソフトウエア開発を進めていきます」と語った。

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