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先進的な畜産会社がIT人材を募集

畜産ビジネスにおいて、日本有数の規模を誇るノベルズグループ。さらなる飛躍を求め「畜産×IT」に取り組んでいる。いち早くデータ駆動型のマネジメントに転換し、様々な領域での見える化を進めてきた。同社は今、新たな基幹システム構築プロジェクトに取り組んでいる。また、AIやIoTなど先端技術の導入にも積極的だ。そして、「ITで畜産を変革したい」という意欲ある人材を求めている。

基幹システム構築プロジェクト始動
「畜産×IT」で競争力を一層高める

 北海道・十勝に本拠を置くノベルズグループは、畜産ビジネスにおける注目企業である。受精卵生産から、繁殖、分娩、育成、肥育、酪農、バイオガス発電まで幅広い畜産関連事業を展開。しかも、食品加工なども手掛け、自給飼料率向上を目的に近隣農家との委託栽培等も展開している。

 2006年の設立当時から急速な成長を続けて、いまでは肉牛と乳牛合わせて約2万7000頭以上を飼育している。牧場の数も増えて、現在はグループで北海道を中心に国内10の牧場を運営。日本有数の規模を持つ畜産企業となった。

ノベルズグループは「畜産×IT」の先進的な取り組みを続ける日本有数規模の畜産企業だ

 こうした成長を支えているのが、「畜産×IT」の先進的な取り組みである。ノベルズの名倉岳志氏はこう説明する。

 「一般に、畜産の現場では担当者の勘と経験を頼りに大きな価値を生みだしてきました。しかし、時に経営側と現場側とでは意見が対立し、個人の経験や実感を基にした説明に納得できないこともあります。そこで、会社を設立して間もない時期に、データを重視する方向に舵を切りました。以後、10年以上の積み重ねを経て、ノベルズはデータ駆動型のマネジメントを進化させてきました」

株式会社ノベルズ
研究所 副所長

名倉 岳志 氏
株式会社ノベルズ
研究所
情報システム部 部長

西谷 哲也 氏

 現在、ノベルズグループは個別システムや各業務ごとのファイルを利用し、事業の見える化を相当程度まで実現している。しかし、「まだ先があるはず」と名倉氏は言う。さらなる進化に向けて、同社は基幹システムの構築プロジェクトに取り組んでいる。

 「部門ごとの費用や売り上げを把握するレベルの見える化は、すでにできています。しかし、もっと詳細なデータを取得して、統合的な管理や分析のレベルアップを目指しています。そのために、新しい基幹システムづくりに挑戦しています」とノベルズの西谷哲也氏は説明する。

 このプロジェクトを主として担うのが、名倉氏や西谷氏が所属する研究所だ。同研究所のIT部門には現在6人のエンジニアが所属。地元や東京のパートナー企業とともに、基幹システム構築をはじめ様々なプロジェクトに携わっている。

 「畜産×IT」のフロンティアを切り拓く同社のチャレンジは、外部の多くのプロフェッショナルを引き寄せてもいる。その1人が、匠 Business Place代表取締役会長で、ノベルズのICT戦略相談役でもある萩本順三氏である。「私は長年、オブジェクト指向の方法論づくりに関わってきました。日本の畜産を世界に飛躍させようというノベルズグループの志に共感して、プロジェクトへの参画を決めました」と萩本氏は話す。

 もう1人は、情報技術顧問の白石俊平氏。白石氏はテックフィードというスタートアップを経営しており、エンジニアとして技術力はもちろん、エンジニアコミュニティの運営に携わってきた経験も豊富だ。
「ノベルズグループの話を聞いて、私が感銘を受けたのはビジネスそのものの先進性です。ビジネスが一歩も二歩も先を行っているために、今は世の中のITが追いついていない。そこで、先行するビジネスにキャッチアップできるような基幹システムをつくる。それが、今回のプロジェクトの狙いです」と白石氏は話す。

株式会社ノベルズ
ICT戦略相談役
株式会社 匠 Business Place
代表取締役会長

萩本 順三 氏
株式会社ノベルズ
情報技術顧問
株式会社テックフィード
代表取締役

白石 俊平 氏

畜産とITを組み合わせれば、インパクトは非常に大きい

 萩本氏と白石氏以外にも、それぞれの専門分野を持つ多くのプロフェッショナルが、ノベルズグループのチャレンジに共感し参加している。外部で経験を積んだ後、ノベルズグループに入社したエンジニアも少なくない。研究所IT部門の西谷氏もその1人だ。

 「システムインテグレーターなどで受託開発の仕事をした後、6年ほど前にノベルズグループに入りました。現在注力している基幹システムの構築では、市場にあるデータベース製品やBI製品などを組み合わせながら、ビジネスで必要な各種KPIをすぐに見られるような、そんなシステムづくりを目指しています」(西谷氏)

 今、同社は一層のIT人材強化を進めている。「マネージャクラス、またはそれに準じるエンジニアを若干名募集しています」と名倉氏。勤務地は十勝または東京である。「今回のプロジェクトはアジャイル開発をベースに行います。できれば、スクラムマスターとしての経験のある方。または、いずれはスクラムマスターとして仕事をしたいと考えている、意欲的なエンジニアを募集しています」と萩本氏は語る。

 仕事のフィールドは基幹システムの構築だけではない。例えば、牛の発情期を正確に把握するために、牧場ではIoTデバイスを活用している。牛の日常の動きを見える化することにより、畜産事業の生産性を一層高めることができる。

 ドローンの活用に向けた準備も進めている。広々とした牛舎の中で、ドローンを使ったモニタリングが実現できれば、担当者の負荷は軽減され、より付加価値の高い業務に集中できるはずだ。しかし、先に白石氏が述べたように、現段階ではITが追いついていない。ドローンの制御系ソフトウエアやバッテリーが進化すれば、近い将来、さらなる効率向上が実現するだろう。

 AIの活用にも積極的だ。「多くのデータをAIに読み込ませ、複雑な畜産ビジネスを最適化し続け畜産プラットフォームを強化していきたいと考えています」と名倉氏は話す。

 「ノベルズグループほど、AIやIoTを本気でビジネスに生かそうとしている企業は少ないと思います。広大な牧場に足を運べば分かりますが、そこで人間が見回り、牛の世話をするのは大変なことです。ここにITをうまく組み合わせることができれば、インパクトは非常に大きい。その可能性の大きさに、1人のエンジニアとして興奮しています」と白石氏は声を弾ませる。

地域との共生を重視し、周辺農家と共に耕畜連携を推進

 ノベルズグループは創業以来、いくつもの困難な課題を克服しながら今日の姿をつくり上げてきた。

 例えば、かつては実現困難と考えられていた「交雑種1産取り肥育」。これは黒毛和牛の受精卵を交雑種の雌牛に移植して受胎・出産させ、出産後の母牛を長期肥育した上で出荷するという手法だ。生産性を大きく高める方法だが、これを実践しビジネスとして成立させるのは容易ではない。ノベルズグループはいち早く交雑種1産取り肥育を確立し、畜産業界を驚かせた。

 ブランディングにも積極的だ。同社の「N34」や「十勝ハーブ牛」というブランドは、市場から高い評価を得ている。

ノベルズグループのオリジナル・ブランド牛肉「十勝ハーブ牛」

 こうしたチャレンジの延長上に、「畜産×IT」の加速に向けた各種施策や基幹システム構築のプロジェクトがある。

 一方で、同社は「地域共生」に向けた取り組みにも熱心だ。酪農分野ではバイオガス発電所を設置して電力を供給するだけでなく、有機液肥を生産。これを周囲の畑作農家にも提供している。

売電と同時に有機液肥を生産するバイオガス発電所

 「酪農と発電、畑作をつなげた循環型のモデルを当社では『耕畜連携』と呼んでいます。牧場の周辺農家をはじめ、地域の皆様との関係づくりを、私たちは非常に重視してきました」と名倉氏。十勝から全国、さらに世界へと挑戦を続けるノベルズグループだが、牧場と地域という地に足をつけた姿勢は一貫している。

エンジニア心をくすぐられる職場
 「私はデータベースやUIなどを担当しています。例えば、スマホ向けのアプリでは、Android向けとiOS向けを別々に開発するのではなく、C#を使って一本化しました。自分で提案したことにチャレンジできるのが、一番のやりがいですね」と語るのは、研究所の武石浩氏である。
 また、同研究所の宮本明典氏は先端技術に触れられる環境を気に入っている。「AIやIoT、ドローンなどを活用できるテーマが、ここには数多くあります。そして、こうした技術を活用すれば、大きな効果が見込めることも分かっています。エンジニア心をくすぐる職場といえるでしょう」
 2人とも、十勝での生活も楽しんでいる。職住近接で通勤の苦労がなく、食生活の面では近所から野菜をもらうことも多いとか。子育ての環境も充実しているという。
武石 浩 氏
株式会社ノベルズ
研究所
武石 浩 氏
宮本 明典 氏
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宮本 明典 氏
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