日経 xTECH Special

人材派遣業界で、創業から順調な成長を続けるウィルグループ。拡大し続ける同社の業務を支える基幹システムが「人材派遣管理システム」である。同社はDX推進の一環として、その基幹システムをクラウドに移行することを決定。移行先は「Oracle Autonomous Cloud」だ。これにより運用管理工数を劇的に低減させて、「攻めのIT」への投資を増やし、DXへの取り組みを加速しようとしている。

運用管理の工数を最小化して攻めのIT投資を加速する

 

株式会社ウィルグループ
執行役員 IT戦略本部長
山下 裕貴

大学卒業後、SIer 3社においてシステム開発を経験。その後、オンライン証券会社においてトレーディングシステムの開発、維持・管理に携わる。2016年より現職。ホールディングス会社のIT部門としてグループのDX推進等を担当。

人手不足や働き方改革、外国人労働者の増加などの動きを受けて、労働力市場を巡る環境は大きく変化しつつある。こうした中、需要の高まりを見せているのが人材派遣業界だ。

日本の労働者派遣市場は、世界金融危機が起きた2008年度をピークに減少に転じたが、2010年代半ばから再び上昇基調にある*¹ 。ただ、2017年度でもピーク時の8~9割という水準にとどまる。そんな環境下で、人材派遣事業を主力とするウィルグループは成長の一途をたどっている。2008年度に130億円だった売上高は、2018年度に1000億円を突破した。

*¹厚生労働省「労働者派遣事業報告書の集計結果」による推計

競争力を支える差別化要素について、同社の山下裕貴氏はこう説明する。

「重要なポイントの一つが『ハイブリッド派遣』です。当社が業界に先駆けて導入した仕組みで、当社社員と派遣スタッフを一つの職場に一緒に派遣するという仕組みになります。社員による効果的なスタッフ教育が可能になり、現場のコミュニケーションも円滑化します。現場の活性化や業務の質向上はもちろん、離職率の低下にもつながります」

ハイブリッド派遣は顧客からも好評で、より責任範囲が広く付加価値の高い請負契約に移行するケースも多いという。加えて、対象業務の広さもウィルグループの強みだ。販売やコールセンター、工場、介護、エンジニアなど幅広いカテゴリーをカバーしているので、顧客に対してワンストップサービスを提供することができる。

いま、同社の事業はASEANおよびオセアニア地域を中心に海外にも拡大しつつある。このような事業の拡大が続く中で、業務を支えるITの刷新が大きな経営課題として浮上した。証券会社で長くITに携わった経験を持つ山下氏がウィルグループに入社した背景には、こうした状況への危機意識があったようだ。

「当社はITの専門家がいなかったということもあり、IT分野の理解が追い付いていないという状況でした。そこで、2016年6月に私が入社し、IT戦略作りから運用管理まで統括しています」と山下氏。入社して間もない翌7月に、新基幹システムとして「人材派遣管理システム」が稼働を始めるというタイミングだった。

「2016年7月以前の旧基幹システムには、業務処理の統制などガバナンス面の懸念、ユーザーの増加によるパフォーマンスの低下という2つの課題があったと聞いています」

新しい人材派遣管理システムはオンプレミス環境で動いている。そして、稼働から数年後に、同社はクラウド化の検討に入った。クラウドの技術やサービスの進化を取り入れつつ、「攻めのIT投資」へと舵を切ろうという判断だった。

「当社のIT部門は小規模で、外部スタッフを含めて15名程度です。この人数で運用管理をしながら、新規サービスを開発するのは難しい。運用管理の負荷はできるだけ減らしたいと考えました」

そして、数あるクラウドサービスの中から「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud」を選定した。次ページでは、その理由と自律型クラウドサービスを活用したビジネス戦略に迫る。

2016年7月から稼働の現行基幹システム。一部でクラウドを活用しているが、中核部分はオンプレミス環境に置かれている。アプリケーションは国産パッケージをカスタマイズしたもの。2020年にこれら基幹システムのすべてがOracle Autonomous Data Warehouse Cloudに移行する予定だ。

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