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xTECH EXPO 2019レビュー

AIの業務適用を劇的に短縮するには?

日立ハイテクソリューションズ

AI戦略を革新する「AIモデラー」
数クリックでAIモデルを自動生成

AIモデルの作成を人手で行う手法では、1つのテーマ完成に数カ月から数年を要することも珍しくない。これでは急速に変化するビジネス環境に機敏に対応することが難しい。この課題を解消するソリューションが「AI モデラー」だ。データさえあれば、高精度なAIモデルを自動生成する。既に多くの企業が導入し、目を見張る成果を上げている。

AI活用を担う人材の不足
モデル作成の負担が大きな課題に

岡田 吉弘 氏
株式会社日立ハイテクソリューションズ
ITプラットフォーム部
部長
岡田 吉弘

 少子高齢化を背景に日本の労働生産人口は年々減少を続け、高いスキルやノウハウを持つベテラン従業員も定年を迎えて次々と職場を離れていく。労働力不足やスキルの伝承は日本社会に突き付けられた深刻な課題である。この解決策として、近年、AIへの注目が高まっている。しかし、AI活用には課題も多い。まずAIの専門家であるデータサイエンティストが圧倒的に足りない。適切な人材を確保できたとしても、すぐに成果に結び付くとも限らない。分析や予測の精度を高めるためには最適なAIモデルの作成やパラメータの調整などが必要になるからだ。

 この作業自体も大きなボトルネックになっている。データの加工と特徴抽出、そしてAIモデルの作成と精度向上はAIプロジェクトの中で最も重要な作業である。これがプロジェクト全体の工数の8割を占めるとも言われる。「ここに多くの手間と時間を取られ、データ規模によっては、効果創出までに年単位の時間がかかってしまうのです」と日立ハイテクソリューションズの岡田吉弘氏は指摘する。

 ビジネス実装の壁もある。AIの中にはアウトプットを示すだけで「なぜそうなるのか」という理由がわからないものもある。分析プロセスがブラックボックス化されているのだ。「理由がわからなければユーザーを説得することができない。ユーザーを説得できなければ業務への適用や製品化に踏み切ることができない。そこにAIをビジネス実装する上での大きな壁があるのです」と岡田氏は続ける。

AIの業務適用を劇的に短縮
理由までわかる「説明できるAI」

 AI活用を阻む壁を克服するソリューションとなるのが、日立ハイテクソリューションズが提供する「AIモデラー」である。これはボーイング、シスコなどが出資するAIカンパニーの米SparkCognition社が開発したAIモデリングツールをベースにしたもの。その最大の特長は、わずか数クリックのマウス操作だけで、高精度なAIモデルを自動生成できることだ。「データさえあれば、最適なアルゴリズムを選択し、AIモデルを自動で生成します。データを用いて何を解析したいのか。目的が明確になっていれば、あとはAIモデラーが結果を導き出します」と岡田氏は強調する。

 この強みを支えているのが、ディープラーニングと独自アルゴリズムを組み合わせた「Neuroevolution(ニューロエボリューション)」という手法を用いてAIモデルを高速かつ低リソースで組み上げるSparkCognition社の特許技術だ。「準備されたデータを基に多数のAIモデルを自動で作成し、そこからさらにモデル同士を競わせ、より優れたモデルを次々に作成していきます。このサイクルを繰り返していくのです」と岡田氏は説明する。膨大な作業のように思えるが、わずか10分程度で実用化に足る精度のAIモデルが作成されるケースも多いという。

 AIモデルの作成を人手で行う従来手法では、問題解決に数カ月から数年を要することもある。「AIモデラーを使えば、これを数日から数時間まで短縮することが可能です」と岡田氏はメリットを述べる。これまで熟練の技術者が経験と勘で行ってきたリスク対策や未来予測を、データに基づき短期間で実行できるわけだ。

 AIモデラーのもう1つの強みが「説明できるAI」であること。データ間の関係が可視化されるため、結果に対するデータの影響度合いなどを詳しく把握することができる。引用するデータを変えたり、データ量を増やしたりするなどの試行錯誤を根拠に基づいて行えるようになる。

 ユーザーインターフェースは日本語に対応し、AIに詳しくない初心者でも戸惑うことなく利用できる。業務部門のAI活用は現場の担当者に任せることで、データサイエンティストはより高度な分析作業に専念できるようになる。しかも、AIモデラーはクラウド型のサービス。導入が容易で、すぐに使い始めることができる。「自前でインフラを構築・運用する必要がなく、コストも最適化できます」(岡田氏)。クローズドな環境で利用したい顧客には、オンプレミス版の提供も可能だ。

AIモデラーの自動化プロセス
負荷の高いデータ加工やAIモデルの作成、精度向上作業を自動化し、説明可能な結果を導出
AIモデラーの自動化プロセス
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年単位の作業成果を1日で達成
業務の自動化でROIも大幅に向上

 既に多くの企業がAIモデラーを導入し、高いビジネス成果を上げている。ある製造業の企業はAIによる品質予測に取り組んだが、AIモデルの構築におよそ1年を要した。この作業をAIモデラーで実行したところ、1年かかって作成したAIモデルの精度を上回る品質予測をたった1日で実現できたという。

 また、ある金融機関は、ローン貸付業務にAIモデラーを活用。高精度なローン審査業務の自動化が可能になり、ROIを20%向上させることに成功した。この他、ある電力送電事業者は発電所からの電力調達業務をAIモデラーで高度化した。これにより、変動する電力コストや需給バランスを基礎に、最適な調達先の選定作業を効率化でき、電力の安定供給と収益率の向上を実現している。

 高精度かつ説明可能なAIモデルを数クリックで作成する──。この威力を体験してもらうため、日立ハイテクソリューションズではAIモデラーを1週間無償で利用できるトライアルサービスを提供している。「お客様の事業環境の中で、AIモデラーの操作性、スピード感、精度をぜひ実感してください」と話す岡田氏。実導入にあたっては、データのクレンジングなどの準備作業やPoCの実施、環境構築も含めてサポートすることが可能だという。

 企業が持続的な成長を目指す上で、AIは欠かせないソリューションである。しかし、データサイエンティストは不足しており、AIモデルの作成と精度向上には長い時間がかかる。AIモデラーはこの状況を打開し、誰もが簡単にAIを活用できるようになる。日立ハイテクソリューションズはAIモデラーの提供を通じて新しいAI文化を育み、幅広い企業の競争力強化に貢献していく考えだ。

AIモデラーのサービス全体像
高性能GPUサーバーなどで構成されるクラウドサービスで提供し、短期間かつ低コストで導入が可能
AIモデラーのサービス全体像
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