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xTECH EXPO 2019レビュー

Azure Stack HCI導入の勘所

日本マイクロソフト

世界的な半導体メーカーに学ぶ
日本発Azure Stack HCI導入法

グローバル企業では、日本と本国のIT導入プロセスは異なると言われるが、実際はどうなのか。世界的な半導体メーカーの日本法人マイクロン ジャパンは、米国本社に先駆けてマイクロソフトのハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)である「Azure Stack HCI」の実証試験を実施。ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)の認定サーバーや、充実したサポート体制について説明した。

日本でのHCIの概念検証
既存システムにおける課題

小川 大地 氏
日本ヒューレット・パッカード株式会社
ハイブリッドIT事業統括
テクノロジーエバンジェリスト
小川 大地

 「日本の企業は、様々な点で欧米の企業と違うと言われます。『外資系企業のIT施策は本社が決めるもの』と思っている人も多いようです。しかし本当にそうでしょうか?」。セッションの冒頭、日本ヒューレット・パッカードの小川大地氏はこのように述べ、文化も人種も多種多様なグローバル企業で「Azure Stack HCI」の採用プロジェクトを進めるマイクロン ジャパンの取り組みを紹介した。

 マイクロンは1978年に米国で設立された世界第4位の半導体メーカーで、フォーチュン500にも名を連ねる。世界18カ国に13カ所の製造拠点を構え、社員数は38,000人に上る。「DRAMやSSDをはじめ、高性能・大容量のNVMe 9300など革新的なメモリーおよびストレージシステムを通じ、世界の半導体技術の発展に貢献してきました」とマイクロン ジャパンの江間泰紀氏は述べる。

江間 泰紀 氏
マイクロン ジャパン株式会社
エンジニアリング プラットフォーム&ソリューションズ
シニアシステムマネージャー
江間 泰紀

 同氏の主な仕事はDRAMとSSDの設計・営業拠点のインフラをサポートすることだ。半導体設計のシミュレーションでは大量のサーバーリソースが必要になる。しかし既存の仮想環境では拡張性での限界もあり、今後の製品開発においてさらなる要求に応えるテクノロジーとしては課題を抱えていた。そこで新システムとして着目されたのがAzure Stack HCIだ。

 新しい仮想環境の選定基準として、江間氏は4つのポイントを挙げる。1つ目がハイスピードだ。設計部門からはより高速・高性能な計算能力のあるシステム環境が求められる。2つ目のポイントは前述した拡張性だ。プロジェクトが増えるたびにサーバーやストレージのリソース増強が求められるため、拡張性の高いソリューションが必要となる。3つ目はコスト。ハードウエアの拡充とともにソフトウエアの費用も増大することから、コストの抑制も課題になる。4つ目は管理のしやすいユーザーエクスペリエンス(UX)であること。多数のサーバーを管理する必要がある同社は、誰もが簡単に効率よく管理できる利便性の高いツールを必要とするためだ。

「やり抜く推進力」がカギ
新しいIT基盤の導入プロセス

 こうしたマイクロン ジャパンが持っていた課題を解決するための要件を満たすのがAzure Stack HCIであった。同製品では、ストレージへのアクセスを高速にする最新技術である「RDMA with iWARP」を備えている。江間氏が既存環境で利用している従来型のHCI製品では、ネットワーク性能がボトルネックとなりNVMeなどの超高速SSDのスピードを生かしきれなかったが、この最新技術によって性能の大幅な改善が見込めたという。また江間氏は「多くの企業はゲストOS用にWindows Server 2019 Datacenterライセンスは購入していると思います。その場合、ハイパーバイザーやストレージソフトウエアのコストがかからないのが大きなメリット。サーバーやストレージのリソースを柔軟に増やすことができ、コスト面と拡張性の両面で優位性がありました」と述べる。

 またAzure Stack HCIの管理作業は「Windows Admin Center」で行える。このツールではシステムの状況がグラフィカルに可視化され、誰でも使いやすいUXとなっている。しかも無償のため追加費用は不要だ。

Azure Stack HCIの優位性
ライセンスの追加費用は不要で、アクセス速度を高める最新技術も備えている
Azure Stack HCIの優位性
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 導入を進める江間氏によれば、欧米のITと日本のITにはスケール、スピード、標準化・自動化という点で違いがあるという。マイクロン全体の製造工場も含めた数となると950のホストに1万8500の仮想サーバーとなる。この大規模なシステムを少ない人数で効率よく管理するためには、ハードウエアやソフトウエア、オペレーションまでを標準化し、合わせて自動化のプロセスを取り入れる必要がある。また最初に仕様を決めたがる日本に対し、欧米は大きな規格だけを固めてすぐに動く傾向があるため、スピード感があるという。

 導入のプロセスにも違いはあるのだろうか。江間氏は語る。「導入のプロセス自体は、海外と日本とで実はあまり違いはありません。ただ新技術の導入では、新たなスタンダードをつくって運用、定着させるというミッションがあるので、他チームや既存システムに対して非常に丁寧な調整が必要になります。そのため力強く、かつ粘り強くプロジェクトをやり抜く推進力が重要です」。

導入後のみならず導入前も
HPEの手厚いサポート体制

 Azure Stack HCIの導入検討では、費用対効果を検証するため、マイクロソフトが提供しているベンチマーク・ストレスツールを用いたパフォーマンス計測が行われた。江間氏は「HPEの認定サーバーやRDMAなどの効果により、素晴らしいパフォーマンス結果が出ています」と評価する。

 Azure Stack HCIのグローバル責任者であるマイクロソフトのJeff Woolsey氏は「かつてはラックに多数のサーバーを積み込んでも、10万IOPSのアクセス速度を出すのは大変でした。今はHPEサーバー2台とマイクロンのメモリー、Azure Stack HCIを組み合わせて30万IOPSのパフォーマンスが可能です。コンパクトな構成で大きな性能を容易に発揮できるのです」と強調する。

Jeff Woolsey 氏
Microsoft
Windows Server プロダクトグループ
プリンシパル PMマネージャー
Jeff Woolsey

 導入に際し、江間氏はHPEのサポートが大きな力になったと話す。HPEではマイクロソフト米国本社より認定を受けたAzure Stack HCI対応サーバーをオフィス向けのタワー型サーバーからデータセンター向けのブレードサーバーまで幅広く用意するとともに、導入後の保守サポートはもちろん、導入前のサポート体制も整えている。特に、導入前にもサポートを行う点は、同社の大きな特長だ。

 日本ヒューレット・パッカードの小川大地氏は「Azure Stack HCIは新しい製品なので、まだ情報が少ないところがあります。不足している情報は、我々自身でマイクロソフトの開発部門やサポート部門から直接情報を得るようにしています」と話す。HPE日本法人ではマイクロソフトと独自のバックサポート契約を結んでいるため、マニュアルに書いていない内容についても迅速なサポートできるのだという。

 江間氏は「HPEの手厚いサポートもあり、導入もスムーズに行えました。様々な質問に対してのレスポンスも早く、回答の裏付けとなる情報も提供してくれるので、非常に安心して導入を進めることができました」とHPEのサポート体制を評価する。

 小川氏は「マイクロン ジャパンさんの取り組みからも分かるように、日本からのグローバル展開は可能です。そのためにはコスト、メリットなどを、根拠とともにしっかり論理的に説明できることが重要です」と語り、講演を締めくくった。

HPE 日本法人独自のAzure Stack HCIサポート体制
日本マイクロソフトと独自のバックサポート体制を結び、安心して採用・提案できる環境を整えている
HPE 日本法人独自のAzure Stack HCIサポート体制
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