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DIS×IBM、日本発グローバルを加速

大手ディストリビューターのダイワボウ情報システム(DIS)が、日本IBMと協業して「DXアプリ開発環境」の提供を開始した。「一度つくれば、どこでも動く」をコンセプトに掲げた、マルチクラウド環境での稼働を可能にするクラウドネイティブアプリの開発環境である。同社はなぜこうした開発環境を提供しようと考えたのか、それは日本のシステム開発にどのような変化をもたらすのか。同社と日本IBMのキーパーソンに話を聞いた。

クラウド抵抗国からの脱却を
支援したい

谷水 茂樹 氏
ダイワボウ情報システム株式会社
経営戦略本部 情報戦略部 部長
谷水 茂樹 氏

――なぜ「DXアプリ開発環境」を提供しようと考えたのでしょうか。

谷水新型コロナ対策でもクラウドサービスが大きな役割を果たしたように、クラウドがIT活用のカギであることは明らかです。既存システムのレガシー化に警鐘を鳴らす「2025の崖」を越えるためにもクラウドの活用は不可欠です。

 しかし、IT支出全体に占めるパブリッククラウドサービス支出の割合やクラウドサービスの成長率から見ると、クラウド普及という点では、日本は「将来的な普及が懸念される抵抗国」に位置付けられています。これは深刻な事態です。

 その要因の一つとして、従来のウォーターフォール型開発からアジャイル型開発への変化に対応できていないことが挙げられています。しかし、アジャイル開発にシフトするには、スキルの取得や頻繁に行われる更新への対応など大きな負担が伴います。その負担を軽減するための開発基盤が必要であると考えました。

三浦 美穂 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
常務執行役員
パートナー・アライアンス&デジタル・セールス事業本部長
三浦 美穂 氏

――開発基盤にIBMのテクノロジーを活用しようとした理由は何でしょうか。

谷水様々なテクノロジーの中で最もオープンなのがIBMのテクノロジーでした。さらにRed Hatの買収によってコンテナベースのアプリの本番プラットフォームであるOpenShiftを統合したことで、オープン化が加速しました。これも大きなきっかけになりました。

三浦DIS様とはパソコンを手がけていた時代には親密な関係にありましたが、最近はつながりが希薄になっていました。改めてご一緒したいと考えていたときにタイミングよくRed Hatの買収があり、今回の話が一気に進みました。

DX(デジタルトランスフォーメーション)に対する機運が高まっている中、双方の強みを生かしたアライアンスを組むことで、世の中に新しい価値が提供できると確信しています。

オープンなスタンスで
クラウド化を推進

――DXアプリ開発環境が提供する価値とはどのようなものでしょうか。

谷水多くのアプリ開発環境は、開発した環境と同じプラットフォーム上で本番稼働させることが前提になっています。企業によっては複数のパブリッククラウドを本番環境として採用しており、本番環境を意識した開発環境の選択は非効率な開発につながりかねません。

 DXアプリ開発環境で開発したアプリはコンテナ化されているので、本番稼働させるクラウドサービスを選びません。「一度つくれば、どこでも動かせる」、ベンダーロックインのない世界が実現できるのです。

クラウドネイティブなアプリを開発する際に足かせになるのが、開発自体ではなく、オープンソースソフトウェアが頻繁に更新されることです。それに対応してアプリの機能を維持して運用し続けるのは大変です。100以上のミドルウェアがコンテナ化されているIBM Cloud Paksは変更に常に対応しているので負担を軽減できます。

辻 泰正 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
パートナー・アライアンス事業本部
ビジネスパートナー事業部
副事業部長 兼ビジネスパートナー営業部長
辻 泰正 氏

――ディストリビューターが開発環境までカバーする必要があるのでしょうか。

谷水ハードウェアやソフトウェアの流通を担ってきたディストリビューターの役割は変わりつつあります。これまでも各社のSaaSやIaaSなどクラウドサービスも手がけてきました。

 例えば、クラウドサービスでは一般的な月額課金や従量課金に対応した独自プラットフォームを提供していますし、販売促進の仕組みも持っています。こうしたサービスを提供することで、ビジネスパートナーが本業に専念できる環境を整備することも当社の使命です。

 今回のクラウドネイティブなアプリの開発環境は、IBMと協業することで初めて実現することができました。今後は約2万社ある当社のパートナー企業と一緒にその価値を高めていきます。

エコシステムで
新たな価値を創造

――IBMは今回の協業でどのような効果を期待しているのでしょうか。

三浦当社が目指しているのは、パートナー企業とのエコシステムの構築です。グローバルでの組織名称にも「Partner Ecosystem」という言葉が使われています。

 エコシステムは、テクノロジーをオープン化して、パートナー企業と協業することで初めて実現されます。その意味でもDIS様の持つ2万社近いビジネスパートナーは大きな価値があります。

「当社が目指しているのは、パートナー企業とのエコシステムの構築です」

 当社の特約店の数は限られていますが、DIS様を通してIBMのテクノロジーを広く届けることで、全国の先進的なテクノロジー企業との協業も広がると期待しています。

テクノロジーの価値は使ってもらってわかるものです。そこではフレンドリーな関係性が重要です。DIS様が強みとする中堅・中小のビジネスパートナーとの信頼関係のもとでIBMのテクノロジーを広げ、ビジネスパートナーがIBMのテクノロジーを活用して新たなアプリをつくり出すことで真のエコシステムが形成されていくのです。

谷水これまでの当社のビジネスは様々なメーカー製品をパートナー様を通じて展開することが中心でした。これからはこれに加え開発パートナー様のソリューションも展開するなど、エコシステムの核になることを目指していきます。

三浦DIS様とはビジネスパートナー向けの普及活動に取り組み、一緒にマーケットを広げていきます。IBMとしてのパートナーアライアンス事業の変革は、第2、第3のDIS様をつくっていくことです。

エコシステムを広げて
日本発の世界アプリを

――具体的にどのような展開を考えているのでしょうか。

現在、DIS様とNTTデータ様との共催で「IBM DXチャレンジ2020」を開催中です。テクノロジーで世の中の課題を解決するアイデアを募るビジネス開発コンテストです。2019年にも開催しましたが、共催によってさらにパワーアップしています。

 このような活動を通して、当社の持つスキルやビジネスモデルを無償で提供し、新たなビジネスの立ち上げも支援していきます。

「当社の持つスキルやビジネスモデルを無償で提供し、新たなビジネスの立ち上げも支援していきます」

谷水今、世の中ではこれまで以上にテクノロジーの活用が注目されています。それを追い風にして、危機感を持ちながら時期を前倒しして新たな価値を創造していきたいですね。

日本はITの技術力は持っていますが、世界を舞台にチャレンジすることが少ないと思います。こうしたコンテストをいい機会として利用してもらいたいと思います。

――日本発グローバルということでしょうか。

谷水日本には優秀なエンジニアがいます。プログラミング能力も高い。オープン化されたアプリが増えると、市場が広がりディストリビューターとしての役割も増えていきます。大きなチャレンジですが、日本IBMとは日本のITを変革するという想いを共有していきたいと考えています。

「大きなチャレンジですが、日本IBMとは日本のITを変革するという想いを共有していきたいと考えています」

三浦日本のITを支え、そして変えていくという気概を持って、エンジニアの世界進出の手助けができたらと考えています。日本発のテクノロジーが世界に広がることを目指しましょう。

谷水私のモットーは「夢は大きく、行動は小刻みに」です。日本発グローバルを目指すためにも、このDXアプリ開発環境を普及させて、アジャイル型開発へのシフトを一緒に後押ししていきましょう。

※本記事の対談動画はIBM Think Summit Japanのオンデマンドセッションとしてご視聴いただけます
(2020年9月10日〜9月30日まで)
セッション番号:4149 で検索ください。

http://ibm.biz/IBMTSJ2020

※IBM Cloud Paksの詳細はこちら
https://www.ibm.com/jp-ja/cloud/paks

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