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OBCとIBM、中堅中小企業のDXを支援

中堅・中小企業向け基幹業務(ERP)パッケージ「奉行シリーズ」で高い市場シェアを誇るオービックビジネスコンサルタント(OBC)。同社は日本IBMが提供するIBM CloudやAI(人工知能)などのテクノロジーを活用して、コロナ禍のもとで企業が対応を迫られるクラウド化や業務変革を支援してきた。IBMとのパートナーシップについて、OBCの代表取締役社長の和田成史氏と日本IBM 常務執行役員 パートナー・アライアンス&デジタル・セールス事業本部長の三浦美穂氏にうかがった。

お客様の基幹業務のクラウド化を推進

和田 成史 氏
株式会社オービックビジネスコンサルタント
代表取締役社長
和田 成史 氏

――OBCとIBMの協業についてお聞かせください。

和田IBMとのパートナーシップは20年以上続いています。かつては奉行シリーズをWindowsサーバー上で稼働させるシステムインテグレーション案件をIBMのパートナー企業と協力して数多く手がけました。現在、OBCの奉行シリーズを活用しているお客様は中堅・中小企業を中心に全国各地に広がっています。

 近年は奉行シリーズを利用される企業におけるクラウド化やデジタルトランスフォーメーション(DX)に対するご要望が高まっています。それを受けて2014年にはIBM Cloud上での「奉行V ERP」シリーズの動作サポートを発表しました。現在は各地のパートナー企業と連携し、地域密着で基幹業務のクラウド化やビジネス変革を支援しているところです。

三浦 美穂 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
常務執行役員
パートナー・アライアンス&デジタル・セールス事業本部長
三浦 美穂 氏

三浦OBC様の強みは何といっても市場で圧倒的な人気を博す「奉行シリーズ」というソリューションを通じて、お客様に寄り添ってビジネスの課題解決に取り組まれていることですね。お客様のお困りごとをわかりやすく分類してきめ細かくサポートする「奉行処方箋モデル」はその一例です。

 IBMではそうしたソリューションを裏側で、クラウド基盤などのインフラやAIなどのテクノロジーを通じてOBC様を支えたいという思いです。

働き方改革を経てデジタルトランスフォーメーションへ

――中堅・中小企業における働き方改革の課題は何でしょうか。

和田近年、マイナンバー管理や従業員に対するストレスチェックの義務化、改正労働基準法への対応、さらに消費税率の変更など、組織全体の生産性や従業員の働きやすさの向上に関わる法制度の施行や改正が相次いでいます。社員の就業状況の把握や関係機関への届け出といった各種手続きを効率化するためには個々のシステム間のデータの連携・活用が欠かせません。

 2015年にマイナンバーや勤怠管理、労務管理など既存の奉行アプリケーションを補完する「奉行クラウドEdge」シリーズをリリースしました。さらに2018年以降は順次、「勘定奉行クラウド」など基幹業務に関わる奉行シリーズもクラウド化し、SaaSサービスとして提供することでお客様の業務効率化を支援しています。

和田 成史 氏

三浦お客様の業務に密接に関わる奉行シリーズですから、まさにビジネス変革、DXですね。

和田そのさなかに拡大したのが、新型コロナウイルス感染症でした。総務・経理部門なども在宅勤務やリモートワークをするように働きかけがなされ、DXが一気に加速しています。それだけ企業の現場の皆さまが危機感を持っています。私たちも懸命にサポートしました。

 DX推進の鍵は、「データ」にあります。例えば、奉行シリーズに蓄積された財務データや、外部の金融機関が保有する法人口座の取引データをAPI経由で取り出し、自動仕訳して決算報告書の作成まで自動で行う、ということができます。労務管理に必要な就業データなども「奉行クラウドEdge」シリーズで収集すれば、奉行シリーズに連携させることでデータの重複入力や転記が不要になります。この業務のエッジ化により、ペーパーレス化や業務のテレワークにつながるのです。

パートナー企業を活性化する相談窓口を共同で運営

――とはいえ、クラウドなどの最新技術の利用が難しいと感じる企業も多いのではないでしょうか。

三浦そうしたお悩みを解消するために、中堅・中小企業にサービスを提供されるパートナー企業向けの相談窓口をOBC様と共同運営することにしました。パートナー企業はリセールだけでなく、自社のアセットをSaaS化して提供される業態も増えています。そこでオンプレミスの資産をクラウドに展開するための情報提供や技術検証、教育プログラムなどをOBC様と一緒に展開してまいります。

三浦 美穂 氏

和田共同の相談窓口として、OBCではパートナー企業向けに基幹業務や周辺業務を含む豊富なナレッジをベースとした情報提供、IBMはテクノロジーやインフラなどの支援という役割分担をしています。これによりパートナー企業のどちらの相談にもワンストップで対応できる体制を準備しています。

パートナー企業同士の連携による新たなソリューション

――顧客企業の課題はますます多様化・複雑化しています。どのように支援しますか。

和田これからは様々なレイヤーで特徴を持つ企業同士が緩やかに連携していくことが必要になるでしょう。特定の1社だけで何でもできるという時代ではありません。

 実はそのようにして生まれた連携ソリューションの1つが2020年6月に発表されています。それが、OBCの「商蔵奉行クラウド」とNDIソリューションズが提供する「AI業務アシスタント CB4-商蔵奉行クラウド」とのAPI連携です。スマートフォンから誰でも簡単に販売管理データを活用することで営業活動をスピードアップできる仕組みを提供します。その縁をつくってくれたのが、IBMが2019年7月に開催したアイデア創出コンテスト「DXチャレンジ」でした。

和田 成史 氏

三浦はい。もともとは2017年から毎年開催したIBMの「Watson」を活用したサービスデザイン思考のコンテストでしたが、昨年「DXチャレンジ」と名称を変え、お客様視点で課題を解決するアイデアからソリューションを創ることをテーマとして、OBC様やNDIソリューションズ様をはじめ、多数の企業にご参加いただきました。そこで生まれたアイデアと共創がアプリ開発につながりました。

和田DXチャレンジでは、それぞれの強みを持つ参加企業が1つのチームとして連携することで、一から開発するのではなく、迅速なアジャイル型の開発が可能になりました。

UPtoクラウド

――パートナー企業との連携が、その先にいるお客様の課題解決や顧客満足度向上に必須といえそうですね。

和田私が考えるこれからの社会のキーワードは「つながる・ひろがる」です。強みや特長を持つパートナー企業間のデータやアプリケーションをAPI連携してソリューションとして提供していく。インフラからアプリケーションまで幾層にもレイヤーが重なる垂直統合だけでなく、さらに水平に広がっていく産業構造になっていくと想像しています。

三浦パートナー企業各社の連携による新たなビジネスチャンスの拡大やソリューションの拡充により、結果的にお客様の満足度を高めることをIBMも学ばせていただきました。

和田私どもが「勘定奉行」という名称をソリューションにつけているのは、世界に誇る日本の文化やナレッジに対する敬意を込めています。OBCの強みである業務に関する様々なナレッジを磨き、お客様を感動させるソリューションを、多くのIBMパートナーの皆さまと一緒に世の中に送り出していきたいと思います。

和田 成史 氏、三浦 美穂 氏
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