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地元産スギを用いた「日向市庁舎」を訪ねて

2019年3月に完成した宮崎県日向市庁舎は、地元産の木材を内外装にふんだんに用いる。それを可能にしたのは、耐久性の確保を図るための劣化対策と施工性の向上を図るための部材のパネル化だ。屋外木部には高性能木材保護塗料「キシラデコールフォレステージ」を採用。臭気の弱さや乾燥の速さが屋内での塗装を可能にし、部材のパネル化を手助けした。

2階以上の外周にはぐるりと、キャンティレバーで大きく跳ね出したテラスを巡らせる。その所々には105㎜角のスギ材で構成する縦ルーバーを設置。これらの造りで外壁材に雨や日差しが当たるのを防ぐ
テラスには市民の集う場「たまり」を設け、縦横のルーバーで直射光を遮る。「たまり」の床デッキはヒノキ材を用いる。写真左上はスギ材を用いた外壁。床面に近い高さ約64㎝までの部材は、劣化してもすぐに取り替えられるようにパネルを正面からビス留めした。木材保護塗料は「キシラデコールフォレステージ」。「やすらぎ」に「ピニー」を調合し、素材感を生かしながら色味を統一
(建築写真提供 : 内藤廣建築設計事務所)

 庁舎の外周にはぐるりと、大きく跳ね出したテラスが巡る。所々に市民の集う「たまり」と呼ばれる空間。外装材として地元産のスギやヒノキを用いるが、テラスやたまりの空間が雨掛かりになるのを防ぎ、ルーバーが日差しの影響を弱める。部材は将来の取り替えも想定。外装材の劣化には幾重もの対策を施す。

 ここ日向市は、スギの産地として全国に知られる耳川流域の町。全天候型運動施設「サンドーム日向」やJR日向市駅舎など大型の木造建築物が建設され、旧庁舎の建て替えで地元産の木材を用いることは自然な流れだった。

外装材の劣化対策が不可欠
雨掛かりと日差しを避ける

株式会社内藤廣建築設計事務所
取締役
蛭田 和則
内藤廣建築設計事務所では2006年開業のJR日向市駅の設計も担当。同市との関わりは20年以上前からと古い

 内藤・安藤アーク甲斐設計共同企業体の一員として、建築設計を担当したのは内藤廣建築設計事務所取締役の蛭田和則氏。「東日本大震災以降、庁舎には防災拠点としての役割が強く求められています。そのため、鉄筋コンクリート造の免震構造を採用し、地元産の木材は内外装材として利用する計画を立てました」と話す。

 そこで心配になるのは、雨や日差しなどによる木材の劣化だ。敷地の制約から建物が南北に細長くなるため、東西に向く外壁面が広くなり、朝や夕は日差しの影響を真正面から受ける。劣化対策は不可欠だった。

 蛭田氏は「耐久性の確保を考え、大きくテラスを張り出し、外壁はできるだけ雨掛かりにならないようにしました。また東西からの日差しを遮ることも意識しました」と、対策の基本を話す。厳しい環境下に置かれる床デッキや縦ルーバーは、耐候性処理も施した。①酸化亜鉛含浸処理 ②フェノール樹脂加圧注入処理 ③ガラス塗料含浸処理 ④乾式加圧注入処理+木材保護塗料塗布――の4つに無処理を加えた試験体で暴露試験を約1年間実施。経年劣化に加え、薬剤の安全性、外見や形状の変化、過去の実績などを比較・検討した結果、乾式加圧注入処理+木材保護塗料塗布の採用を決めた。

 木材保護塗料は暴露試験で数製品を比較し、最終的には塗装工事会社の提案を踏まえ、屋外木部用高性能木材保護塗料「キシラデコールフォレステージ」を採用した。この塗料は「キシラデコール」と同等の性能を持ちながら低臭性・速乾性も併せ持つ。「木材の風合いを生かし、耐久性の確保を図れる塗料を選びました」(蛭田氏)。

低臭性・速乾性を生かし
パネル化した部材を塗装

 施工性の向上を図る狙いから、内外装材の多くをパネル化。塗装作業は低臭性や速乾性という「フォレステージ」の持ち味を生かし、作業用に借りた倉庫内で現場搬入前に済ませることができた。

 「木材保護塗料の臭いに対し近隣から苦情を受けることがあります。都市部では塗料の臭いが問われることになるでしょう。『キシラデコールフォレステージ』の存在は重宝しそうです」。蛭田氏はそう評価している。

吉川塗装株式会社
専務
吉川 順治
吉川塗装株式会社
取締役常務
吉川 大輔

「倉庫内の作業でも、臭いは気になりませんでした」

 宮崎県内で主に建築塗装を手掛けています。以前から、屋外木部には高性能木材保護塗料「キシラデコール」を使用してきました。日向市庁舎の塗装では「キシラデコール」を使用してきた実績を踏まえ、性能は同等で低臭性・速乾性に優れた高性能木材保護塗料「キシラデコールフォレステージ」の使用を提案しました。
 天井は現場で塗装したものの、ほかの部材はパネル化したものを倉庫内で塗装してから現場に持ち込み、施工するという手順を取りました。倉庫の中でも臭いが気にならなかったうえ、乾くのが早く、塗り終えたパネルを次々に重ねられ、作業効率が上がりました。
 地元の評判は上々です。市民が誇れる日向市を代表する建築物と慕われています。明るく、町の雰囲気に合う、という声もお聞きします。(談)
日向市庁舎
日向市庁舎
所在地/宮崎県日向市本町10-5
敷地面積/21986.91m2
建築面積/3220.41m2
延べ床面積/11572.67m2
構造/鉄筋コンクリート造+プレストレスト鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造(基礎免震構造)
階数/地上4階、塔屋1階
施工期間/2015年12月~19年3月
災害に強く、環境に配慮した、親しまれる庁舎を目指した。市のまちづくりのコンセプトを踏まえ、テラスには小さな中間領域「たまり」を取り込む
木材保護のトータルソリューションパートナー 大阪ガスケミカル株式会社

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