日経クロステック Special

なぜ利用者が30倍に急増しても安定的なサービスが維持できたのか? Zoomがオラクルクラウドを選んだ理由

「セキュリティ・ファースト」を評価して
オラクルクラウドを選定

 「つながりやすくて、切れない」というZoomのメリットは、ビジネスにかかわるコミュニケーションを円滑に進めるために欠かせないものだ。これを担保するため、Zoomは以前から、安定的な通信を可能にするインフラを整えてきた。

 「もともと、世界17カ所にサーバーを置き、それぞれを連携させることで、1カ所のサーバーに負荷が集中しないような仕組みを構築していました。それでも対応し切れない場合は、複数のパブリッククラウドを組み合わせて、柔軟に拡張できる設計にしていました」と佐賀氏は説明する。

 しかし、新型コロナの感染拡大とともに予想を超える勢いでサービス需要が伸びた結果、Zoomはさらなるインフラ拡張を、急いで実行する必要に迫られた。

 そこで同社が選んだのは、オラクルが提供するパブリッククラウド「Oracle Cloud Infrastructure」(以下、OCI)であった。

 オラクルは、データ利活用ソリューションのベンダーとしてよく知られているが、じつは、コンピューティングからストレージ、ネットワークに至るまでのサービスを包括したパブリッククラウドも提供している。

 しかも同社が提供する「OCI」は他のパブリッククラウドよりも優位な点が多く、Zoomはそれを高く評価して2020年4月に採用を決定したのである。

 Zoomの創業者であるエリック・S・ユアンCEOは、「(2020年4月時点で)Zoomの1日当たりの会議参加者数は3億人に到達するなど、サービス需要の急激な増加に対応するため、クラウドのキャパシティを直ちに追加する必要に迫られました。いくつかの選択肢の中から、パフォーマンス、拡張性、信頼性、卓越したクラウド・セキュリティに利点があることから『OCI』を選定しました」と高く評価する。

 中でもZoomが重視したのはセキュリティの高さである。佐賀氏は「セキュリティはどれか1つだけが良ければ良いというものではなく、サービスやネットワークなどのインフラ含めてチームワークで実現するものです。サービスそのものがセキュアなだけでなく、そのサービスが乗るインフラ自体もセキュアである必要がある」と語る。

 セキュリティ・ファーストを設計思想に持つ「OCI」は、ハードやネットワークなどのインフラはもちろん、オラクルが得意とするデータ管理に至るまで、他のパブリッククラウドにはない最新技術も採り入れて万全のセキュリティ機能を実装している。

 佐賀氏は「エンタープライズ向けのサービスに注力しているZoomにとって、安全・安心なコミュニケーション環境を整えることは何よりも重要です。その点、同じくエンタープライズ向けソリューションで高い信頼を得ているオラクルのセキュリティの堅牢さは、我々にとって願ってもないものでした」と語る。

堅牢なセキュリティの実現

堅牢なセキュリティの実現
「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)は、セキュリティ・ファーストを設計思想に持ち、堅牢なセキュリティを実現したパブリッククラウドだ。

数時間で数十万人分に対応
拡張性の高さも大きな決め手に

 さらにZoomが高く評価したのは、「OCI」の拡張性の高さと、それを速やかに実現できる圧倒的なスピード感であった。

 実際、同社が「OCI」を選定してから、サービスのキャパシティを拡大するまでの時間の短さには目を見張るものがあった。

 ユアンCEOは「構築からわずか数時間で展開を完了し、Zoomで同時に会議に参加する数十万人をサポートできるようになりました。フル運用が実現した現在、Zoomは『OCI』上で数百万人が同時参加しても対応可能なキャパシティを確保しています」とコメントしている。

 これほど短期間で大きなキャパシティを確保したのだから、利用者数が急増しても「つながりやすくて、切れない」環境を維持できたのも納得である。

 しかも、キャパシティの拡張とともに高まりやすい安全性への懸念も、万全のセキュリティ性能を持つ「OCI」なら最小限に抑えられたはずだ。結果的にZoomは、急増するサービス需要への柔軟な対応によって、他のWeb会議システムを大きく上回る成長を実現した。

 また、「OCI」はセキュリティや拡張性が優れているだけでなく、コストパフォーマンスの高さにおいても優れている。高スペックのリソースを低価格(例えば他社クラウドに比べて、コンピューティングの価格は約3割、ストレージとネットワークは9割以上も低価格※2020年8月現在)で提供しているだけでなく、SLA(サービス品質保証)に担保された高性能なサービスがサポート料金込みの価格で提供される。

 今回のZoomのようにキャパシティや通信量が急激に増えると、クラウドの利用コストも大幅に膨らむことになるが、その意味でも、コストパフォーマンスが高い「OCI」はベストな選択肢だったのだろう。

 佐賀氏は、「新型コロナによる需要の拡大はひとまず落ち着きましたが、今後も何らかの変化によって急激に需要が伸びる局面が訪れるでしょう。また、当社は今後、Web会議と従来のビデオ会議システム、内線電話などを一体化した新たなサービスプラットフォームや、家庭向けのWeb会議用ソリューション「Zoom for Home」をリリースし、これらのサービスやプロダクトの普及とともに、より大きなキャパシティが求められることになるはずです。OCIをパブリッククラウドでは最も安全なクラウドと認識していますので、セキュリティと拡張性の高い『OCI』を活用すれば、そうした変化にも十分に対応できると期待しています」と語る。

 また、「エンタープライズ向けのソリューションに注力しているオラクルは、業務効率化や生産性向上のため、シンプルな機能や操作性を徹底追求しているそうですが、これはZoomが目指している価値観に通じるものがあります。同じ価値観を共有するパートナーとして、これからも一緒に、エンタープライズのお客様に安全なサービスを提供していきたいですね」と佐賀氏は語った。

より良いサービスを適切な価格で提供

より良いサービスを適切な価格で提供
「OCI」は、エンタープライズ向けに安心して利用することができるパブリッククラウドだ。性能面ではSLAによりサービスレベルが保証されており、価格面においてもサポートサービス費用が含まれているためコストパフォーマンスが非常に高い。