日経クロステック Special

アナログで未来を創る ─多彩なソリューションでエレクトロニクスを支える─  Vol.3 48Vマイルド・ハイブリッドを効率化する双方向DC/DCコンバータソリューション

2021年から強化されたEUの排出ガス規制を背景に、欧州を中心に48Vマイルド・ハイブリッドの市場が拡大しつつある。電源ICを中心に車載用半導体を手掛けてきたアナログ・デバイセズは、48V系統と従来の12V系統を結ぶ双方向のDC/DCコンバータソリューションを提供中だ。95%を超える高い変換効率、優れた応答性、回路の小型化など、さまざまな特長を備えている。
亀元 氏
亀元 政秀
アナログ・デバイセズ株式会社
リージョナルオートモーティブセールス
ディレクター

 温暖化ガスの排出削減を目的としたEU(欧州連合)の燃費規制が2021年1月1日からさらに強化され、欧州で新車を販売する場合、メーカー平均のCO2排出量を走行1kmあたり95g以下に抑えなければならなくなった。2020年までの規制値130gに比べ、3割近い削減を必要とする値である。

 メーカー平均で95g/km以下を達成するには、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)などの販売比率を高めていく必要があるが、そういった車種を新たにラインアップするのは簡単ではない。

 その代わり、欧州の自動車メーカーが選択したのが、既存車両の構造を流用しながら燃費を改善できる「48Vマイルド・ハイブリッド(MHV)」である。

 リチウムイオン・バッテリや電気二重層キャパシタなど小容量の二次電池を搭載しておき、燃費が悪化する発進時や加速時にモーターでアシストしてエンジンの負荷を減らすとともに、減速時にはオルタネーターで発電して二次電池に回生エネルギーを蓄える仕組みだ(図1)。減速時や停車中にエンジンを止める制御が併用されることもある。エンジンだけの場合に比べて10%から20%の燃費向上が期待できるとされる。

 なお48Vマイルド・ハイブリッド車には、スターターモーター、アシストモーター、およびオルタネータ(発電機)の3つの役割を備えた、48V対応のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)が一般に搭載される。

 二次電池とISG間の電力損失を減らすことを目的に、ドイツの自動車メーカー数社によって「LV148」として規格化されたのが48V系である。ISGの大容量化に適するとともに、通常の12Vに比べて損失が1/16に下がるため、太く重いハーネスや大型のコネクタを用いなくても済む。高電圧ではないため安全確保も比較的容易だ。

 この48Vマイルド・ハイブリッドを実現するにあたって、既存の12V系との電力のやりとりが課題になると、アナログ・デバイセズの亀元政秀氏は指摘する。その詳細と解決策を次に紹介しよう。

図148Vマイルド・ハイブリッドの概略構成。発進時と加速時は48VバッテリからISGに電力を供給しモーターでアシストし(右)、減速時はISGで発電した電力で48Vバッテリと12Vバッテリを充電する(左)