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アナログで未来を創る ─多彩なソリューションでエレクトロニクスを支える─  Vol.4 先進的な音の制御を実現する車載用オーディオ・バス「A2B®」

アナログ・デバイセズは車載用オーディオ・バス「A2B®」(Automotive Audio Bus)を開発した。車内に設置した多数のマイクやスピーカーを非シールド・ツイストペア・ケーブル(UTP)を用いて軽量かつ低コストに接続できるのが特徴だ。音声認識エージェント、進化するインフォテイメント、アクティブ・ノイズ・キャンセリング、インカー・コミュニケーションなど、「音」を対象にした先進的なニーズに応えていく。
小野 氏
小野 宏
アナログ・デバイセズ株式会社
オートモーティブソリューションアンドテクノロジー
ディレクター

 「音」を制御してクルマの快適性や利便性を高めようという取り組みが加速している。

 逆相の音で走行音を打ち消すアクティブ・ノイズ・キャンセリング(ANC)、音声認識を使ったボイスコントロール(音声認識エージェント)、前部座席と後部座席間の会話をスムーズにするインカー・コミュニケーション(ICC)などの新しいシステムが高級車を中心に広がってきた。

 家族の会話が弾むとして、インカー・コミュニケーション・システムをオプションで設定したファミリー向けのワンボックス(ミニバン)も登場している。

 「こうしたシステムは複数のマイクとスピーカーで構成されますが、それらと制御ユニットとの間でオーディオ信号をどのようにやりとりするかが課題です。アナログ伝送に適したシールド付きケーブルは太くて重く、映像用に開発されたMOST BUSやEthernet AVBはオーディオに使うにはコスト高になるなど、これまで最適なテクノロジーがありませんでした」と、アナログ・デバイセズの小野 宏氏は指摘する。

 マイクやスピーカーを効率的に接続したいという自動車メーカーのニーズを元に開発されたのが、軽量で安価な非シールド・ツイストペア・ケーブル(UTP)を使ってオーディオ信号を伝送するアナログ・デバイセズの「A2B®」(Automotive Audio Bus)である(図1)。

 A2Bはすでに複数の市販車に搭載されているほか、扱いやすさからセンサーネットワークとしての利用も進んでいる。具体的なスペックを中心に説明しよう。

図1オーディオや音声関連機能の進化に応えるオーディオ専用バス「A2B」。アナログ信号用の太く重いハーネス(左下)を、軽量で安価な非シールド・ツイストペア・ケーブル(UTP)(右下)で置き換えることができる