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湯治の街で、仕事をしながら体を「癒す」

雪とカルデラに囲まれた街に「篭る」

 肘折トンネルを抜け、ウォータースライダーのようなループ橋を下ると、そこはカルデラに囲まれた別世界。まるで時が止まったかのような懐かしさを感じる街並みと、訪れる人々を一瞬でなじみの客に変えてくれるような暖かい歓迎が待っています。

 雪のしんしんと降り積もるなか、集中して作業に取り組むもよし、思索に吹けるもよし、落ち着いて自分を取り戻し、静かに考えを巡らすには絶好の環境です。普段の喧騒(けんそう)から離れて気分を一新し、リラックスして自分の気持ちをリセットした上で仕事に取り組んだり、アイデアワークを行ったり。時間の使い方は無限に広がります。

 徒歩でも20分程度で端まで行けるコンパクトな街並みは、息抜きや考え事、精神を整えるための散歩にぴったり。特に早朝、まだ薄暗い時間に街を歩けば、もうもうと立ち昇る温泉の湯気がなんとも幻想的な雰囲気で、そこから徐々に光が差し、町に命が吹き込まれていくような様子を見ていると、自然と活力が湧いてきます。

  • 街の全景

カルデラの街として山々に深く囲まれ、隠れ里の風情がある肘折温泉全景

  • 街並み 肘折ダムと源泉
  • レトロなたたずまいの旧郵便局

昭和のまま時が止まったかのような風情のある街並み。街の中心から5分ほど歩くと登録有形文化財である肘折ダムと源泉の見える絶景スポットも(写真:谷本夏、以下同)

田中 敦 教授

山梨大学
総合研究部生命環境学領域社会学科系長
地域社会システム学科長
田中 敦 教授

優秀な人材を確保するには、多様な働き方を認めること

 コロナ禍でテレワークが進み、ワーケーションが注目を集めるようになった。従業員を送り出す企業側の制度整備はまだこれからだが、ワーケーションは特に30代以下の若い人から高い支持を受けており、多様な働き方を求める若く優秀な人材を確保しようとした時に、ワーケーションができる企業の制度設計は急と言えるだろう。

 ワーケーションをする場所を選定する上で大切なのは、食住の面で「中長期」の宿泊ニーズに対応しているかどうかだ。その点肘折温泉は、例えば昔から湯治目的で長期滞在する人向けの価格設定や肩肘張らない適度な食事メニューを用意できる柔軟な宿泊施設が多い。「無理をしない」「自然体でいられる」環境が整っているかが最も大切なワーケーションサイトの条件とするならば、ある意味理想的な場所と言えるだろう。