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湯治の街で、仕事をしながら体を「癒す」

職温一体。歴史ある湯治の街で、仕事をしながら体を「癒す」

 温泉街として1200年の歴史を持つ肘折温泉。そこから湧く「ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩温泉」は、古くから湯治場として愛されてきました。疲労回復や神経・筋肉・関節の痛みの緩和その他にも、高い保温効果、古い角質を乳化して洗い流す効果、炭酸ガスによる血管拡張効果など、効能は多種多彩です。

 そうした肘折の湯を、仕事をしながらすぐに楽しめるよう、2021年1月には、街の日帰り温泉施設「肘折いでゆ館」の中にコワーキングスペースを新設。仕事をしながら、気分転換に15秒でお風呂に入れるという、究極の「職温一体」の環境を整備しました。

 コワーキングスペースにはWi-Fi・電源はもちろん、広々としたテーブルとどっしりした椅子、更には大きなモニターやコピー機などが備え付けられており、1人での作業から数人でのグループワークまで、多様な使い方が可能です。

 お風呂は1つ上の階に。仕事をして疲れたり煮詰まったりしたときの気分転換や、仕事が終わったご褒美などに、さっと温泉に浸かれるというのがなんともぜいたく。これぞワーケーションを通り越した「湯治ケーション」という過ごし方です。

 美しい山並みを眺めながら、ゆっくり身体を湯に沈めると、疲労や頭の強張りが溶けていくよう。湯は茶褐色の掛け流しで、入るとすぐに肌がツルツルに。どちらの風呂場にも内湯と寝湯の2種類が。交感神経を刺激して作業に集中したいときは熱めの内湯へ、仕事終わりなどに副交感神経を刺激してリラックスしたいときは少しぬるめの寝湯へゆっくり浸かるのがおすすめ。

 かつて肘を折った老僧がこの地のお湯に浸かったところ、たちまちに傷が癒えたという言い伝えがあります。そんな神秘の力を持ったお湯で心身を癒し、活力をみなぎらせれば、日常と違う思考力が湧いてくることでしょう。

  • オンライン会議
  • 和室でテレワーク
  • 外は雪景色

温泉街の中心部から数分歩くと、コワーキングスペースを備える公共の温泉施設「肘折いでゆ館」が。専用のオフィススペースや畳のある座敷など、好きな空間で。冬なら美しい雪景色を眺めながら仕事も可能(問い合わせ先:肘折いでゆ館内・肘折温泉観光案内所 TEL0233-76-2211)

  • 温泉入り口

施設内には温泉も備え、思い立ったら15秒で温泉に。「職温一体」が自慢

  • 温泉宿のこたつ
  • いろりカフェ

温泉宿でリモートワークをすることも可能。お部屋のコタツや宿のカフェなどで(協力:湯宿元河原湯 TEL0233-76-2259)

早坂 信哉

東京都市大学
人間科学部 教授
温泉療法専門医
早坂 信哉

ストレスの多い働き方に温泉や転地療法の効果を

 別世界に来た感覚のある、隠れ里のようなロケーションと景色。そして、日本の温泉では極めて珍しい、天然の炭酸ガスを豊富に含む温泉で、その泉質は肌にも体にも穏やかで優しい塩分や重曹分を含んだもの。環境省の定める国民保養温泉地にも指定されており、肘折温泉はまさに「保養」にふさわしい場所と言える。

 住み慣れた土地から少し離れて体や心を休める「転地療養」という考え方が昔からある。肘折でワーケーションを行うなら、お湯も景色も、そして地元の人の交流も全てが優しく程よくできる肘折の特性を転地療養に生かし、「心と体が少し疲れた時に、自分をいたわりながら仕事も少しこなす」というスタイルが望ましい。

 私自身産業医として様々な企業の従業員と接しているが、病気というほどではないが多くのストレスを抱えしまい、少し心に疲れを抱えている人は多数いる。こうした人々が仕事を続けながら自分をリフレッシュして、また元気に戻ってこれるような制度の整備が今の企業には求められている。その時に、肘折のような温泉療養地を活用することで、社員の心と体の健康を維持することができるのではないだろうか。