コロナ禍によって、製造業のサプライチェーンでは様々な問題が顕在化した。中でもグローバルなサプライチェーンを持つ多くの企業が、ロックダウンなどの影響によってサプライヤーの操業停止や国際物流が滞り、ビジネスの継続が困難になる状況に直面。これによって、SCMのトレンドにも変化が生じている。
製造業におけるパンデミックの影響は、業界間で大きな違いがあった。自動車業界や航空業界で需要が減少する一方、半導体などハイテク業界では需要が急増。さらに、多くの日本企業は、一足早く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広がった中国にサプライチェーンを展開していたため、物資が調達できなくなるところも多くあった。「コロナ禍以前からの課題ではあったのですが、SCMでは、効率(低コスト)とリスク分散のバランスが、各企業にとってこれまで以上に重要になりました。さらに、状況が刻々と変わる中で、意思決定の精度とスピードが企業の業績に直結するようにもなりました」と中西氏は話す。
製造業各社の多くは、販売管理、生産管理など工程ごとの個別の仕組みを既に保有しているが、それぞれの管理が相互につながっていない、つながっていても情報の伝達速度が遅いという課題を抱えていることが多い。このため、市場や供給体制の変化にサプライチェーンや生産現場が迅速に対応することができなかった。だからこそ、対応力を高め、収益を最大化するサプライチェーンと物流の仕組みが求められている(図1)。
では、どのようなアプローチからSCMを実践する仕組みを作れば良いのか。中西氏は「これから求められるSCMの姿は、大きく5つにまとめられます」と言う。
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