日経クロステック Special

生きたデータがビジネスのスピードを上げる 新世代型CMDBが日本企業に俊敏性と対応力をもたらす

ビジネスのスピードは加速度的に速くなっている。企業はビジネス環境の変化に対応するために、データやテクノロジーを活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革することが必要となる。その際に頼りになる存在が企業全体で統一されたデータだが、この統一したデータの一つがCMDB(構成管理データベース)である。しかし、従来からあるCMDBでは、求められる俊敏さに対応できないという。その理由は何か。

多くの企業のDXが
成功しているとは言えない現実

高橋 氏
ServiceNow Japan合同会社
マーケティング本部
プロダクトマーケティング部 部長
高橋卓也
15年以上のセキュリティに関わるプリセールスエンジニア、プロジェクトマネージャー等の経験を有す。その後シマンテックにてセキュリティ運用に関わるソリューション開発に携わり、現在はServiceNow Japanにてプロダクトマーケティングとして従事する。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、会社に通勤して同僚や取引先と顔を合わせて仕事をするという働き方が難しくなった。その半面、リモートワークや在宅勤務による、新しい働き方は定着したが、この1年でDXが素晴らしく進んだわけではない。小手先のリモートワークのツールを導入したり、電子承認のツールを入れたりという話が多く、飛躍的に生産性が向上したという話は少ない。つまり特定の部署、目の前のデジタル化にとどまっているケースが多いということだ。

 なぜそこに落ち込んでいってしまうのか。ServiceNow Japanの高橋卓也氏は、次のように語る。

 「業務の担当者が、自身で扱える情報の中で効率化を考えると、その範囲は限られてきます。これは、所属する組織内での検討に閉じてしまうことが原因だと考えられます」

 自分の裁量の範疇を超える情報に触れることは、権限がないためできない。そうすると、どうしても目の前のデータについてだけどうにかしようということになる。それでは結局サイロ化が進んでしまい、その間を横断するデジタル化は難しくなってしまう。このサイロ化された状態を解消するためには、組織内で共有可能なデータと、それらのデータを横断的に利用することができるプラットフォームが必要となる。

 この統一されたデータの一つとして一般的に利用されているのがCMDB(構成管理データベース)である。本来であればCMDBを使えば企業全体に関連する情報を連携・活用することができる。

 しかし、前述の通り、多くの組織ではサイロ化が進んでおり本来CMDBに取り込まれるべきデータが部門の中で閉じてしまっていて、結果として各部門単位のCMDBとなっている状況にある。これでは企業全体を見渡せるデータのプラットフォームとしては活用できない。

 さらに、CMDBの話になると、それ自体を作ることが目的になっているケースをよく耳にすると高橋氏は指摘する。

 「CMDB構築に際してよく聞く課題は、CMDBに完璧なもの、つまり100%のデータが入っていることを目指しているケースが見られます。しかし、ITが縦割り組織の中でバラバラに管理されている状況もあり、部門間をまたいだデータの収集には非常に苦労してしまう。そのため、次第にデータを収集することが目的化してしまい、そのデータを『何に活用するのか』という点が置き去りにされてしまっているケースがあります。結果的に、いつまで経ってもデータの更新を続けているだけで利用されず、完成しないCMDBと揶揄されてしまいます」(高橋氏)

 作ることが目的化してしまい、データがまとまらずに頓挫したり、データの中身が実態に合わなくなったデータベースは結局放置され、いずれ破棄されてしまう。そのため、CMDBと聞くと「既に持っているけど、役に立っていない」という印象を持っている企業が多いというのだ。

 これらのCMDBに対する課題を一度に解決する方法はあるのか? また、企業にとって本当に使えるデータベースは、どうやって構築し、どのような効果をもたらすのだろうか? 次のページから詳しく見ていこう。