桔梗原 検索エンジンの強みについて伺いましたが、Elasticsearchのソリューションのそのほかの特徴も教えてください。
山賀 これまで述べてきた「検索エンジン」のほか、「オブザーバビリティ」と「セキュリティ」の3つが大きな特徴となっています。
桔梗原 オブザーバビリティとは、あまり馴染みのない言葉ですね。「可観測性」などと訳されるようですが。
山賀 デジタル化が進むほど、より大量のデータやログが飛び交います。このようなデータやログを可視化し、一定の条件で抽出し、次のアクションにつなげる必要性が高まってきました。このように、適切に対処するための観察能力をオブザーバビリティといいます。検索エンジンの技術をそのまま適用できる領域です。
代表的な用途としては、金融機関における不正検知があります。大量の取引データをモニタリングしつつ、怪しい動きがあれば即座に対応して顧客や自社のビジネスを守る。また、銀行のATMや製造設備の稼働状況などを観察し、障害検知や予防保守につなげるのも、オブザーバビリティの領域でしょう。近年、こうした領域での活用事例が増えています。
桔梗原 確かに、検索エンジンの強みがそのまま生かせる領域ですね。企業にとっては、ビジネス価値とのつながりもイメージしやすいと思います。3つ目のセキュリティでは、どのような活用がありますか。
山賀 言うまでもなく、年々サイバー攻撃のリスクは増大する一方です。日々大量に発生するログを監視し、異常値を見つけて即座に対処する必要がありますが、こうしたSIEM(Security Information and Event Management)と呼ばれる領域でもElasticsearchが活用されています。
桔梗原 オブザーバビリティにせよ、セキュリティにせよ、単に可視化するだけでは十分とはいえませんね。リアルタイム性が極めて重要です。
山賀 まさにそこが、Elasticsearchが生きるところです。過去データの収集・分析は広く行われていますが、リアルタイムデータの分析や活用は全く性質の異なるものです。大容量かつ多様なデータから何を選び抜いていくかは、まさに検索の力が問われます。そして、この検索と結果を生かす仕組みづくりによって、新たな事業・サービスの創出にもつなげることができるわけです。DXの典型的なアプローチとなります。