日経 xTECH Special

DXの第2章は
これからが本番
検索の力で
日本企業を支える

環境変化をチャンスと捉えるか、
それとも現実を耐え忍ぶのみか

桔梗原 DX推進をはじめ、企業は今、様々な変化への対応が求められています。

大量・多種データから

検索結果瞬時技術で、
DX実現貢献します

Elasticsearch株式会社 日本法人代表 山賀 裕二氏
Elasticsearch株式会社
日本法人代表
山賀 裕二
山賀 そうですね。パンデミックの対応ではリモートワークが急速に普及しました。通勤や移動の時間が減り、生活の充実を感じているビジネスパーソンは多いと思います。ただ、リモートワークの導入を緊急避難的な対策と認識している経営者には、いずれ元に戻したいとの考えも根強いでしょう。DXとの向き合い方にも通じますが、事業環境の変化をチャンスと捉えるか、それとも身をかがめて目の前の現実のみを何とか耐え忍ぼうと考えるか。この認識の違いによって、企業の将来は大きく左右されるはずです。

桔梗原 その意味では、ビジネスリーダーの認識がより問われる時代と言えそうです。DXを成功に導くには「まず経営者のマインドから」ということですね。

山賀 その通りです。経営者はあらゆる変化に目を凝らす必要があります。例えば、気候変動への人々の意識は大きく変わってきましたし、経済や社会の常識も常に変化しています。人々の身近な購買行動で言えば、サブスクリプション(定額課金)サービスの多様化から、「所有」ではなく「体験」に価値を見いだす消費者が増えています。こうした変化をチャンスと捉えて行動していくことです。

サイロ化した複数のシステムでも
検索エンジンで統合・情報可視化

桔梗原 では、どのようなDX支援に取り組んでいるかを教えてください。

山賀 当社のコアとなるサービスは多くのシステムに横串を通す検索エンジンの「Elasticsearch」です。一般的に、複合的な要素を検索に反映させようとすると、システムは複雑化し、検索結果を示すまでの時間も長くなります。Elasticsearchは大量・多種のデータから検索結果を瞬時に導く技術で、UberやTchiketmaster、日本経済新聞社様など、多くのお客様のDXの中で新たな顧客体験(CX)の実現に貢献しています。グローバルでの支援例として、自動車世界大手の独BMW様との取り組みを紹介しましょう。

 BMW様は多くの国・地域で、直営店販売やWeb販売、ディーラー販売など、複数の販売チャネルを運営されています。従来、チャネルごとに在庫管理システムが稼働し、販売情報や修理部品の在庫情報などもシステムが別々に動いていました。そこで、様々なシステムの1つ上の階層にElasticsearchを置き、膨大なデータを一元的に統合、可視化する仕組みを構築しました。

桔梗原 サイロ化したシステムは、日本企業がDXを進める上で大きな課題といわれています。この観点からも興味深いケースですね。BMWはどのような形で、ビジネス価値への転換を実現したのでしょう。

山賀 Elasticsearchの活用によって、国や地域をまたがる複数販売チャネルからお客様視点でタイムリーに必要なデータを得られるようになりました。例えば販売担当者は、販売チャネルに関わらずお客様の希望する仕様の車が自国になくても隣国のこのチャネルにはある、希望車種が白だと納車に半年かかるが黒なら3カ月後に用意できるといった情報を瞬時に把握できるのです。結果、CXを高めるとともに、販売機会を逃さないので収益向上にもつながります。

 グローバルの販売競争が激化する事業環境の変化に向き合い、自らを変革したBMW様における取り組みは、Elasticsearch を活用したDXでビジネス価値を創出した代表的な例といえます。

検索エンジンとオブザーバビリティ、
セキュリティという3つの強み 

桔梗原 検索エンジンの強みについて伺いましたが、Elasticsearchのソリューションのそのほかの特徴も教えてください。

山賀 これまで述べてきた「検索エンジン」のほか、「オブザーバビリティ」と「セキュリティ」の3つが大きな特徴となっています。

桔梗原 オブザーバビリティとは、あまり馴染みのない言葉ですね。「可観測性」などと訳されるようですが。

山賀 デジタル化が進むほど、より大量のデータやログが飛び交います。このようなデータやログを可視化し、一定の条件で抽出し、次のアクションにつなげる必要性が高まってきました。このように、適切に対処するための観察能力をオブザーバビリティといいます。検索エンジンの技術をそのまま適用できる領域です。

 代表的な用途としては、金融機関における不正検知があります。大量の取引データをモニタリングしつつ、怪しい動きがあれば即座に対応して顧客や自社のビジネスを守る。また、銀行のATMや製造設備の稼働状況などを観察し、障害検知や予防保守につなげるのも、オブザーバビリティの領域でしょう。近年、こうした領域での活用事例が増えています。

桔梗原 確かに、検索エンジンの強みがそのまま生かせる領域ですね。企業にとっては、ビジネス価値とのつながりもイメージしやすいと思います。3つ目のセキュリティでは、どのような活用がありますか。

山賀 言うまでもなく、年々サイバー攻撃のリスクは増大する一方です。日々大量に発生するログを監視し、異常値を見つけて即座に対処する必要がありますが、こうしたSIEM(Security Information and Event Management)と呼ばれる領域でもElasticsearchが活用されています。

桔梗原 オブザーバビリティにせよ、セキュリティにせよ、単に可視化するだけでは十分とはいえませんね。リアルタイム性が極めて重要です。

山賀 まさにそこが、Elasticsearchが生きるところです。過去データの収集・分析は広く行われていますが、リアルタイムデータの分析や活用は全く性質の異なるものです。大容量かつ多様なデータから何を選び抜いていくかは、まさに検索の力が問われます。そして、この検索と結果を生かす仕組みづくりによって、新たな事業・サービスの創出にもつなげることができるわけです。DXの典型的なアプローチとなります。

日本市場開拓に向けメンバー増強
多様なパートナーとの関係強化も

桔梗原 今後の成長戦略について教えてください。

山賀 日本法人はお客様のニーズに対応するための人員の拡大が最優先であり、営業や技術、コンサルティング、サポートなどの各分野でメンバーの増強を進めていきます。その際に強みになるのは、Elasticsearchが「分散型企業」であることです。社員が分散していることを前提に、各分野の機能や業務プロセスが設計されているので、世界中の社員は場所にとらわれることなくビジネスに参加して、それぞれが力を発揮しています。日本でも、社員は各地域に分散して働いています。例えば、沖縄には複数のサポート担当者が在住しています。場所だけでなく、働く時間についても柔軟性が高い。オーバーワーク防止の観点を除けば、Elasticsearchには労働時間管理という概念がありません。個々が自分にベストな時間に働くことで、パフォーマンスを高めようという考え方です。

桔梗原 場所と時間についての自由度の高さには、どのような狙いがあるのでしょうか。

山賀 根本にあるテーマは多様性の向上です。場所にとらわれずに多様かつ優秀な人材を採用し、時間に縛られずに仕事をしてもらう。それが、イノベーションや組織の力につながると考えています。

桔梗原 日本市場での存在感をさらに高めるためにはどのような施策をお考えですか。

山賀 オープンソース(OSS)が出発点であるElasticは、グローバル規模で開発エンジニアによる技術コミュニティの活動が非常に盛んです。日本でも多くのエンジニアが、私たちのテクノロジーに関心を持っています。そうしたコミュニティへの支援や、DXによりビジネス価値を追求するビジネスリーダーとの交流機会も増やしていきます。

 また、日本企業のDXを最前線でサポートするSI各社やコンサルティングファーム、クラウドプロバイダーなど様々なパートナーとの協業関係の構築にも力を入れているところです。我々自身が企業のDXの伴走者であるとともに、パートナー企業と共にお客様のビジネスの成功を支援できる存在でありたいと思っています。
関連リンク
お問い合わせ