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GMOあおぞらネット銀行が IBMの次世代型APMを導入した理由

AIで変化を察知、Instanaによる「運用管理の自動化」がもたらす価値とは

GMOあおぞら銀行、IBMのAPMを導入

法人向けの組込型金融サービス(エンベデッド・ファイナンス)に注力するGMOあおぞらネット銀行では、低コストかつスピーディーにアプリケーションをリリースするため、アプリケーションの稼働状況などを可視化するAPM(アプリケーション・パフォーマンス監視)の導入を検討し、「IBM Observability by Instana APM」(以下、Instana)を採用した。なぜInstanaだったのか、他のAPMとの違いはどこにあるのか。日本IBM テクノロジー事業本部の堤 康広氏と平岡 大祐氏にInstanaの優位性について話を聞いた。

「自動化・可視化・費用対効果」が
Instanaを選択した決め手に

 振込業務の自動化、入金消込業務の自動化など法人向けに金融サービスを提供するGMOあおぞらネット銀行が重視するのは、アプリケーションを展開するスピードだ。変化するニーズへの迅速な対応がビジネス拡大のカギとなる。そのために同行ではアプリケーション開発の内製化にこだわってきた。

 しかし、数多くのアプリケーションを次々とリリースすると運用業務に大きな負荷がかかる。APMの導入プロセスを支援した日本IBMの堤 康広氏は「特にアプリケーションのリリース数の増加に伴い、人手での運用設定を行う負荷の課題をお持ちだったようです」と語る。

堤康広 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
データ・AI・オートメーション事業部
堤 康広

 そこで同行では、システムのパフォーマンスのモニタリングを正確に行うAPMを探し始めた。いくつかのAPMを検討して同行が選定したのが、IBMのビジネス・パートナーであるAiritech(エアリテック)が提案した「Instana」だった。2021年12月に導入を決定し、約1カ月後の2022年1月から稼働を開始した。

 採用の決め手となった理由は大きく3つある。「自動化」「可視化」、そして「費用対効果」だ。複雑化しているインフラに対して人手で対応していてはミスも発生しやすい。Instanaは自動で情報を収集し、自動でパフォーマンスを監視する。そこにAIによる分析の機能も付加される。

 Instanaでは、パフォーマンス監視の結果がリアルタイムにダッシュボードで可視化される。マイクロサービス化されたコンポーネントの相互依存関係も含めた全体像がわかりやすくマッピングされて示されるので、システムの知識のないビジネス部門の担当者でも容易に理解することができる。

 さらに他のツールのようなCPUやメモリー単位の課金ではなく、1ホストあたりの固定料金で価格体系がシンプルなため、運用面・費用面でのメリットも大きい。

Instanaのダッシュボード画面
「Instana」
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1秒単位でデータを収集し、
変化にも自動で追従する

平岡大祐 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
AIOpsエバンジェリスト
平岡 大祐

 Instanaは監視サーバーとエージェントというクライアントサーバー型の構成で、SaaSモデルとオンプレミスモデルの両方が提供されている。GMOあおぞらネット銀行はSaaSモデルを採用し、短期間での導入を実現した。金融機関でも採用されていることからも、SaaSモデルのセキュリティーレベルが高いことがわかる。

 導入プロセスもシンプルだ。アカウントを開設してエージェントを管理ホストにコピー・アンド・ペーストでインストールし、ユーザーの権限を設定するだけだ。Instanaのエージェントがデータ収集を自動で開始し、数分でサービスの依存関係などシステムの全体像を把握して「不透明なシステム」を「透明なシステム」に変えてくれる。

 Java、.NET、Python、z/OS、Linux、Windows、MySQL、DB2、SAP HANAなど250を超えるテクノロジーがサポートされており、リリースごとに新しいセンサーが追加される。各種クラウドサービスやKubernetesなどにも対応しているので、メインフレームからクラウドまでインフラ横断でアプリケーションの稼働状況を監視できる。

 導入後はグラフィカルなダッシュボードにすべての情報がリアルタイムに表示される。異常があればアラートが通知され、コンポーネント間の相互依存関係を把握しながら、ドリルダウンして障害の根本的な原因を探ることができる。

 AIOpsエバンジェリストである日本IBMの平岡 大祐氏は「最短1秒の間隔ですべてのトレースを収集し、障害の発生をリアルタイムで把握します」と語る。監視サーバーとのやりとりでは差分データのみを送信するなどの負荷軽減策が施されている。

AIによって変化を察知し、
自動的に障害を通知する

 Instanaの最大の特長は、自動的にすべてのアプリケーションの稼働状況を把握し、リアルタイムで可視化してくれることだ。エージェントを投入するだけで数分後には自動で情報収集を開始し、すべての機能が利用できるようになる。

 堤氏は「エージェントが収集した情報を基に、アプリケーションの配置を自動でマッピングしてくれます。変更があっても自動で最新の状態に更新してくれます。テストコードも不要です。運用の負荷が低減されるだけでなく、人手を介さないのでミスがありません」とそのメリットを強調する。

 しかもインシデントの状況はグラフィカルなダッシュボードで誰でも把握できるので、ビジネス部門も含めて状況を理解して対応策が検討できる。今までのようにWar Roomに集まって情報収集から根本原因、影響範囲などを討議する必要がないため、ダウンタイムを短縮でき、ビジネスへのインパクトを最小化できる。

 AIによる分析の効果も大きい。閾値(しきいち)だけではわからないシステムの通常とは違う動きや予兆を察知して通知してくれるので、事前に対応策を講じることができる。「これまでは問題を見つけることも人手に頼っていました。しかし、Instanaであれば収集したデータをAIが分析してまとめてレポートしてくれます。担当者は1つの管理画面を見るだけです」(平岡氏)。

 検知した変化を障害として通知する方法は2通り用意されている。AIにすべて任せて検知・通知する方法と、装備されているナレッジベースからルールを設定する方法だ。いずれにしてもユーザーはそれ以上の操作は不要で、スキルがなくても監視できる。

Instanaで問題解決するためにドリルダウンする場合の画面遷移例
1.問題のあるイベント・サービスの特定、2.サービスの中から問題のある呼び出しを特定、3.問題のある呼び出しの調査
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競争力の差につながる
パフォーマンス監視力

 堤氏は「Instanaのメリットはスモールスタートができることです。重要なアプリケーションから始めて監視対象を徐々に広げていくことができます」と語る。そのためSaaSモデルへの注目度は高いが、自社の状況に応じてオンプレミスを選択することも可能だ。

 また、Instanaには2つのライセンスが設定されている。250を超えるテクノロジーをカバーしたフル機能を利用できるAPMライセンスと、OSやKubernetes、クラウドなどをモニタリングができるインフラ監視用ライセンスだ。

 機能を試すための手軽な方法も提供されている。メールアドレスを登録するだけで利用できる無料のサンドボックスとデモ環境があり、自社の環境にエージェントを導入してInstanaと接続して2週間無料で機能が試せるフリートライアルもある。

 アプリケーションはモノリシックからコンテナ化されたマイクロサービスへとシフトし、サーバーレスも広がりつつある。開発形態もウォーターフォールからアジャイルへと変化している。こうした新しいアーキテクチャーの環境下ではモニタリングの形態も変わってくるのは当然だろう。

 「DevOpsが広がりアプリケーションのコンテナ化が進むとパフォーマンス監視はますます複雑になり、人手では対応できません。競争に勝ち残るには自動化は避けられません。今から手を打っておくことをお勧めします」と平岡氏は語る。早めの対応が競争優位の確立に結びつくのは間違いない。まずはフリートライアルから試してみてはどうだろうか。

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