日経クロステック Special
真のDX実現を目指すIT部門の新常識

企業ITプラットフォーム構築
ERP導入勘所

DXは、終わることのない変革だ。ビジネスの基盤である経理・財務から販売やサプライチェーンに至る業務プロセスが時代の変化に柔軟に対応できなければ、会社そのものも変われない。近年、急速に進化し続けるクラウドERPが求められる所以である。では、クラウドERPの選定や導入に当たっては何に注意すべきなのか? IT調査・コンサルティング会社アイ・ティ・アールの浅利 浩一氏と、ERPをはじめとする多彩なSaaSを提供する日本オラクルのSaaSテクノロジー部 中山 耕一郎氏、ERPクラウドコンサルティング部 片岡 拓也氏が対談した。

DXとERPのクラウド化は表裏一体の関係

片岡 企業がITプラットフォームを再構築する際に、スクラッチ開発や、パッケージに大掛かりなカスタマイズを施した従来のERP(基幹系システム)を「クラウドERP」に置き換えるプロジェクトがとても増えてきました。フロントのシステムはどんどんデジタル化しているのに、バックエンドのシステムがその変化に追いつけないと、DXが思うように進まないことが分かってきたのではないかと考えています。

株式会社アイ・ティ・アール
プリンシパル・アナリスト
浅利 浩一
国内製造業で、生産、販売、調達、物流、会計、人事・給与、製造現場/工程システムなど、エンタープライズ全領域のアプリケーション構築に携わる。2002年より現職。現在は、ERPを中核としたエンタープライズシステム全般、SCM、PLMを担当。

浅利 アイ・ティ・アールが毎年、国内企業を対象に行っているERP市場調査でも、その傾向が鮮明になっています。

 2019年度に新規導入されたERPは、オンプレミス上で動くパッケージシステムが全体の43.7%に上っていましたが、2020年度には34.4%まで減少しています。一方、クラウドERP(IaaS上で動作するパッケージとSaaS)の割合は、56.3%から65.6%に増加しました。2021年度以降は、新たに導入されるERPの実に3分の2以上が、クラウドです。

 もう1つ、これもアイ・ティ・アールが毎年行っている国内企業の「IT投資動向調査」では、最も重要度が高いIT施策は「全社的なデジタルビジネス戦略の策定」。つまりDXに関する戦略でしたが、次いで重要な施策として「基幹系システムのクラウド化の実践」が挙がっています。2022年度の調査結果ですが、この傾向は、ここ数年変わっていません。

 つまり、DXと基幹系システム、すなわちERPのクラウド化はどちらも重要であり、同時に取り組まなければならない、表裏一体の施策であると認識されているようです。

中山 それは非常に興味深い結果ですね。浅利さんは、なぜ、DXとクラウドERP導入の動きが同時に進んでいるとお考えでしょうか。

クラウドERPのデファクト化

アイ・ティ・アールのERP市場調査によると、ERPを新規導入する企業がクラウドERP(IaaS上で動作するパッケージとSaaS)を選択する割合は、年々高まっている。