なぜ日本企業のDXは
欧米より遅れているのか
クラウドアプリケーション(SaaS)の普及やIoTによるマシンデータの活用などにより、企業のデジタル化が加速している。
しかし、基幹システムなど、ミッションクリティカルなシステムは、多くの企業で古くからのインフラのまま運用されており、機動的なデータ活用ができない状態が続いていた。とくに、ITインフラの抜本的なモダナイゼーションが急速に進む欧米企業と比べて、日本企業は基幹システムのクラウド移行は後れを取っているという。日本オラクルの竹爪慎治氏は、次のように語る。
日本オラクル
クラウド・エンジニアリング統括
常務執行役員
竹爪 慎治 氏
クラウド・エンジニアリング統括
常務執行役員
竹爪 慎治 氏
京都大学大学院 工学研究科修士課程修了後、国内大手SIerを経て、2000年日本オラクル入社。コンサルティング、新規事業開発、営業などを経て、16年には執行役員 クラウドプラットフォーム戦略統括就任。21年より現職。

「ある調査ではDXに取り組む企業は日本では約5割程度なのに対し、米国は約8割に達しています。またパンデミック、技術の発展、ESG/SDGsといった外部環境の変化がビジネスチャンスだと見る企業の比率も、米国に比べてすべて日本は半分以下と低い水準です。欧米と比べると、日本のDXはまだ後れを取っている状況だと思います」(竹爪氏)
その原因はどこにあるか。竹爪氏は、日本の企業ITの構造に一因があると語る。「9割近い日本企業が、ソフトウェアを受託開発で利用しています。一方欧米では、自社開発やパッケージの利用が合わせて約7割と多く、日本とは対照的です。そのため、迅速にシステムを導入できるメリットがあり、エンドユーザーのITスキルも高いと思っています」。
日本はシステム開発と運用を外部のシステム会社に依存してきたことで、社内にデジタル化を推進するためのリソースが不足しており、それがDXの進展を遅らせる要因となっているというのだ。
ではどうすれば、クラウド移行への不安を取り除き、データドリブンな企業になることができるのか。その方法論を聞いた。