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出展企業ならではの出会いが新しいビジネス展開へ~産業交流展/出展ベンチャー企業インタビュー~

出展企業ならではの出会いが新しいビジネス展開へ

東京都などが中小企業振興として開催している「産業交流展」。今年は10月19日~21日で開催予定だ。「情報」「環境」「医療福祉」「機械金属」といっ広い分野にわたり多く企業が出展し、またベンチャー企業の発掘などでも業績がある。今回、電子楽器メーカーのInstaChordと顔認識システムのエイコムという2社のベンチャー企業に出展体験とその成果を語ってもらった。

InstaChord 出展者同士の仲間意識がコラボにつながる

永田 雄一 氏
InstaChord株式会社
代表
永田 雄一

 従来とは一風変わった電子楽器を開発し、製造販売まで行うベンチャー企業InstaChord株式会社 ─── 同社の電子楽器「InstaChord」は、ウクレレくらいのコンパクトなサイズで気軽に抱えられるもので、一見おもちゃのように思うかもしれないが、コードナンバー(世界共通の音楽記号:ナッシュビルナンバー)が割り当てられたボタンを押しながら、パッドを爪弾くだけで誰でも本格的な音楽を奏でることができる電子楽器だ。

 代表の永田雄一によると、同社が目指すのは、世界中のすべての人が演奏を楽しめる世の中にすること。そのために誰もが簡単に演奏できる電子楽器を製造・販売している。

 楽器の演奏には辛い練習が付き物だが、「InstaChord」はそうした練習なしで、すべての人が楽器を奏でる楽しさを体験できる。さらに音楽が本格的なので、演奏のプロたちからも注目されているとのこと。

 電子楽器メーカーであるInstaChordの社員は代表の永田雄一氏ただ一人。そこにデザイン、設計、素材、製造など、それぞれの専門家、専門会社がチームとして参加し、製品の提供体制を整えている。

電子楽器InstaChord
電子楽器InstaChordは、コードナンバーのボタンを押すだけで、初心者でも本格的な音楽を奏でることができる。
きかっけは“世界発信コンペティション”

 昨年の「産業交流展」に出展した経緯について、永田氏は言う。

「楽器メーカーとして世界に発信していこうと思っていたところ、東京都中小企業振興公社が主催する“世界発信コンペティション”というベンチャー企業向けのビジネスコンテストがありまして、これが会社の理想に合うなと思って応募しました。結果として、東京都ベンチャー技術特別賞を受賞させてもらいました。それがきっかけで、産業交流展の“世界発信コンペティション受賞者コーナー”に出展することになりました。このコーナーは、建築関係や食品関係、我々のような電子楽器といった多業種のベンチャー企業が入り混じっていましたけれども、様々な技術や情報に触れられてとても良かったですね」(永田氏)

他業種との交流はベンチャーにとって大切

 「産業交流展」のような展示会は一つの業界に絞ったものではなく多業種に渡る企業が出展していているのが特徴。

「この展示会は、バイヤーというより情報を集めるために見に来る人が多いと思います。ですから最初は直接商談につながるビジネス展開は、正直なところ期待をしていなかったんですね。ところが、まだ世に知られていなくても、優れた技術が出ていますので、その情報収集のために来られた人の熱意は高くて、コラボレーションをする話が持ち上がったのです。今はまだ詳細を話せませんが、とある企業と私たちの技術で新しい物を作ろうという話が進んでいます」(永田氏)

「正確にいうと来場者というより、出展者同士で意気投合したという感じでしょうか。そういう他業種との交流は普段はあまりないので、それは産業交流展に出展して一番良かったことだと思っています」(永田氏)

 「産業交流展」がきっかけで2つの媒体からも取材を受けたという。「それで販売数が上がったり、特に大きな注目につながったわけではありません。ベンチャー企業にとって一足飛びに商談に繋げることは難しいので、記事が掲載されるというのも小さな積み重ねの一つだと思っています」(永田氏)

 誰でも簡単に演奏できる電子楽器を作り続けるInstaChordは、そのための地道な積み重ねを継続させている。永田氏は「そういった小さなことでも、しっかり積み重ねていくことが大事だと思っています」と語る。

エイコムコストパフォーマンスの良さと他社との交流が魅力

飯塚 吉純 氏
エイコム株式会社
代表取締役
飯塚 吉純

 デジタルサイネージを中核に顔認識を用いたマーケティングサービスを展開するエイコム。低価格で簡単に使える顔認識ソフト「BeeSight」を開発している。セキュリティ認証というよりは、企業としてはデジタルサイネージに力を入れており、その付加価値として顔認識を活用したマーケティングの技術に取り組んでいるという。デジタルサイネージの画面に来場客の顔が映ると、お客の性別、年齢、心理状態などを瞬時に判別して、顔の横に情報がポップアップしていく。店舗における人々の滞留傾向や接客とといった、あくまでもマーケティングに関わるサービスを中心に事業展開している。

 同社はここ数年に渡り「産業交流展」に出展している。その理由を代表取締役・飯塚吉純氏に聞いた。「様々な業種が集まる産業交流展には、思いもかけない出会いがあり、非常に勉強になっています」(飯塚氏)。

 産業交流展には「情報」や「環境」「医療福祉」「機械・金属」といった幅広い分野から出展者が集まる。さらに、東京都が提供する様々なアワードの受賞企業、プロジェクト参加企業など、選りすぐりの出展者がブースを構える。そうした新しい情報が集まる産業交流展は「当社にとって、とても重要な展示会になっています」(飯塚氏)というのだ。

エイコム株式会社の展示ブース
顔認識ソフト「BeeSight」は、店頭や雑踏などで客の顔から年齢や性別、心理状態などを判別して瞬時にマーケティングに反映するシステム。
リーズナブルな出展料、東京都関係者との人脈づくりも

 さらに飯塚氏は、産業交流展は他の展示会とは違った価値があると語る。

「当社は通常、展示会には200万円ぐらいのイメージで出展しています。それが産業交流展ですと、非常にリーズナブルな金額で出展することができます。普通の展示会には費用が高くて出展できないという企業も多いですが、産業交青流展はコストパフォーマンスがよく、そういう企業も参加しやすいのではないでしょうか。さらに様々な形でPR、告知のサービスを受けられます。抜群に良い展示会だと思っています。それと東京都と大きく関係した展示会ですので、東京都中小企業振興公社などの方々と改めてごあいさつできるなど、人脈作りや情報交換できる点でも良いイベントだと考えています」(飯塚氏)

「出展に関して具体的に言うと、一昨年までは一小間で出展していたんですけれども、展示数が多いと展示しきれないということで、昨年は二小間使わせていただきました。それが大正解でして、商談スペースもできますし、映像ディスプレイなども余裕を持って設置できます。ですので、今年出展を考えている企業には、二小間をお薦めします」(飯塚氏)

ベンチャー企業が技術をアピールし、他社とコラボできる環境

 多くの企業が出展しやすいと言う飯塚氏は、さらに「産業交流展」の特徴の一つとなっている他業種とのコラボレーションについて次のように言う。

「来場者との商談はもちろんですが、出展社同士の交流も盛んです。私自身、会期中には他社のブースを見て回り情報を集めたりしました。そんな中で以前の展示会でお会いした方に挨拶したり、新しい出会いもありました。昨年だとそういった企業、3社ほどとコラボレーションが決まって現在話が進んでいます。来場者との商談だけではなく、出展社同士の交流を生み出しているというのは、産業交流展の大きな魅力です」(飯塚氏)

 飯塚氏は、今後の産業交流展にさらなる期待の言葉をかける。「2022年、来場者をさらに増やし、華やかな展示会になるよう頑張っていただきたいですね。出展者としては若い、力のあるベンチャー企業にぜひ参加してほしいものです。いろんな企業と出会えるのを楽しみにしています」(飯塚氏)

産業交流展は、個性あふれる中小企業等の優れた技術や製品を一堂に展示し、販路拡大、企業間連携の実現、情報収集・交換のビジネスチャンスを提供します。

公式サイト
https://www.sangyo-koryuten.tokyo/