日経クロステック Special
増え続ける脅威にこう備える

製造業DX今なすべきセキュリティ

製造業のデジタル化により作業効率は飛躍的に上がった。しかし、工場などの現場がサイバー攻撃を受けると生産がストップしてしまう恐れもある。製造業のDXとセキュリティはどう両立させるべきか? 横河電機 デジタル戦略本部 副本部長の塩﨑哲夫氏と、ServiceNow Japan ソリューションセールス統括本部 デジタルワークフロー事業本部 部長の森田成紀氏が語り合った。

OTとITのデータを統合して
新しいサービスの価値を提供

森田 本日はよろしくお願いします。製造業向けの業務変革やビジネス変革のためのデジタルソリューションを日々提案していますが、とくにこの数年、日本の製造業のDXは急速に進んでいると実感しています。横河電機では、どのようにDXに取り組んでおられるのでしょうか。

横河電機株式会社
デジタル戦略本部
副本部長
塩﨑 哲夫

40年以上にわたり、ITサービスに従事。富士通ではグローバルクラウドの展開やセキュリティサービスに従事。Sonyでもグループ全体のセキュリティ強化を担当。横河電機では、Yokogawa Cloudの展開とグローバルセキュリティを担当。

塩﨑 当社は2018年の中期経営戦略で、DXを経営戦略の中核に据え、デジタル技術の活用による成長機会の創出と成長基盤の確立に取り組むことを表明しています。それを実現するため、「従来の製造業から、OT(オペレーショナル・テクノロジー)とITが統合されたワールドクラスのソリューションサービス・カンパニーに変革する」という、横河グループとしてのDXビジョンを掲げました。

 当社の製品である計測・制御装置や工場全体を稼働させるOTのデータと、営業やバックヤードなどの業務を司るITのデータを統合させることで、新しいサービスの価値をお客様に提供することを目指しています。

森田 OTとITのデータ統合は、現在どの程度進んでいますか。

塩﨑 既に国内事業では、「OT/ITデータレイク」を設け、それぞれのデータが1つに集約される体制を整えています。今後は、これをグローバルに展開し、世界中の製造拠点でデータドリブンなオペレーションを実現できるようにする計画です。

 また、現段階ではデータ統合と、それによるオペレーションの集約化が実現したところですが、今後はAIやマシンラーニングを活用したオペレーションの自動化、さらには自律化へと進化を目指しています。

森田 そもそも塩﨑さんは、横河電機のような製造業がDXに取り組むことには、どのような意義があるとお考えでしょうか。

塩﨑 例えば工場では、センサやカメラといったIoTデバイスからの情報で製造装置の稼働状況が可視化され、それをAIが分析・制御することで品質や工程が改善できることが大きな効果の一つだと思います。属人的だった工程管理が標準化されることで、生産効率の改善やリードタイムの短縮が実現しますし、データレイクに蓄積された過去の障害記録をマシンラーニングさせれば、予兆保全の精度も上がります。

 さらには、現場に作業員がいなくても、カメラとネットワークを使って稼働状況を監視したり、制御したりするといったリモートオペレーションも可能となります。

森田 本当に様々な可能性が広がっているわけですね。ところで、そうしたDXを推進するためには、ネットワークを経由して襲ってくる外部からの攻撃にいかに対処するかが非常に重要だと思います。

塩﨑 おっしゃる通りです。DXの推進とセキュリティ強化は、セットで取り組まなければなりません。

森田 具体的にどのように取り組んでおられるのか、詳しく教えてください。